友情で書かれた手紙には友情で酬《むく》いることにして、 源氏が来れば人づてで話す程度のことにしたいとお思いになって、 御自身は神に奉仕していた間怠っていた仏勤めを、 取り返しうるほど 十分にできる尼になりたいとも願っておいでになるのであるが、 この際にわかにそうしたことをするのも源氏へ済まない、 反抗的の行為であるとも必ず言われるであろうと、 世間が作る噂というものの苦しさを経験されたお心からお思いになった。 女房たちが源氏に買収されてどんな行為をするかもしれぬという懸念から 女王はその人たちに対してもお気をお許しにならなかった。 そして追い追い宗教的な生活へ進んでお行きになるのであった。 女…