『世界システム論講義 – ヨーロッパと近代世界 -』 川北 稔著, 筑摩書房, 2016 世界システム論とは、ウォーラーステインが提唱した歴史理論である。世界システム論では、近代世界を一つの巨大な生き物のように考え、近代の世界史をそうした有機体の展開過程としてとらえる見方である。つまり、近代世界は一つのまとまったシステムであることから歴史は「国」を単位として動くのではなく、すべての国の動向は、世界システムの動きの一部でしかないのだ。 近代世界システムは、十六世紀に、西ヨーロッパ諸国を「中核」、ラテンアメリカや東ヨーロッパを「周辺」として成立した。ここで、「中核」とは、世界的な規模での分業体制か…