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平均律

(音楽)
へいきんりつ

純正律や中全音律の最大の難点だった「転調に弱い」ことを解決するため、考えだされた音律。
その音の高さの決め方は単純で、1オクターブ内の音の高さを12に等分割し、それを半音とする。これを特に「12等分平均律」と呼ぶ場合もある。
これにより、特にピアノなどで、一定の調律でどんな調の曲も、曲の中の転調にも対応できるようになった。
しかし、転調が容易になった反面、もともと平均律を用いていない音楽(民謡、民族音楽、黒人音楽 etc.)の演奏の場合には、平均律では本来の表現をすることが難しくなってしまうかもしれない。


J.S.バッハは「平均律クラヴィーア曲集」を遺しているが、ここで言われている「平均律」は、現在の12等分平均律とは違って、「全ての調を演奏できるようにほどよく調整された」という程度の意味だったとする説が有力である。そこで、これを現在の12等分平均律と区別するために「不等分平均律」と呼ぶ場合がある。
不等分平均律にはたくさんのバリエーションがあるが、「ヴェルクマイスターの調律法」や「ヴァロッティ・ヤングの調律法」は現在も一部の愛好家に用いられている。最近の電子ピアノではこれらの調律法に切り替えられるものが増えてきている。
なお、合唱や管弦楽、吹奏楽では、1音ごとに音高をコントロールすることが可能なので、必ずしも平均律では演奏されない。


では実際にピアノの1オクターヴを平均律で調律する例を挙げる。
普通は上行四度と下行五度を駆使して、
A→(四度)→D→(五度)→G→(四度)→C(五度)→F→(四度)→A♯→(四度)→D♯→(五度)→G♯→(四度)→C♯→(五度)→F♯→(四度)→B→(四度)→E
の順に音高をたどっていく。
このとき単純に純正な響きをたどっていくと、最後のE−A間で大きなウルフ(半音の1/4程のうなり)ができてしまう。
よって、全ての四度は純正より広く、全ての五度は純正より狭く、わずかなうなり(半音の1/50)を設けることで、平均律の考えである大きなウルフを12等分する。


関連用語
→音律
→ピタゴラス音律
→純正律
→中全音律


参考文献
「音のなんでも小事典」P.123
音のなんでも小事典―脳が音を聴くしくみから超音波顕微鏡まで (ブルーバックス)
「楽典 理論と実習」P.15-16
楽典―理論と実習

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