1995年3月20日朝の通勤時間帯、営団地下鉄(現東京メトロ)日比谷線、丸ノ内線、千代田線の車両内にて猛毒のサリンが撒かれた。地下鉄サリン事件である。オウム真理教教祖・麻原彰晃の指示を受けた幹部構成員らが各線の車内でサリンを散布。乗客ら約30人がサリン中毒で死亡、6500人以上がサリン中毒症の傷害を負い、今も重篤な後遺症に苦しんでいる被害者も少なくない。 本書はオウム真理教信者が起こした一連の事件を、主人公の医師や警察関係者を架空の人物に置き換えた「フィクション」として構成した作品である。が、それ以外はすべて事実に基づいている。 本作は地下鉄サリン事件の1年前に発生した松本サリン事件で幕を開け…