差止請求権は、特許権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対して、その侵害の停止又は予防を請求することができる権利をいう。
損害賠償請求の場合とくらべると、損害額の決定をするまでに時間がかかることが多いのと比べ、問題となるのが、特許発明の技術的範囲に入るかどうかだけであるので、勝負の決着が早いとのメリットがある。
先日、「ラインセンス契約」のセミナーを受講した。 個人的なメモをここでまとめておきたい。 ライセンサーは可能な限り商標登録をしておくことが「無難」である。 サブライセンス権とは「権利の又貸し」のこと。特許権の専用実施権者であってもサブライセンス権を当然に有せず、必要な場合は明示的に得ておく必要がある。 独占的通常実施権とは、契約上、他の者に実施させたないという特約を付加した権利のこと。通常の「独占ライセンス」とはこちらを指すことが多いが、これはあくまで契約上の合意に過ぎないため、差止請求権や損害賠償請求権を行使できない可能性もある。 ライセンスフィーは、売上高比例+ミニマムギャランティを設定す…
●はじめに タイトルの通り、ユニクロとSHEINの訴訟について調べてみました。 結論から言うと、こうです。 (1)意匠権についてユニクロはおそらく登録していない (2)争点となる条文 (2-1)不正競争防止法第二条第一項第一号(いわゆる周知表示混同惹起行為) ユニクロバッグの周知性がポイント (2ー2)第二条第一項第三号(いわゆる商品形態模倣行為) バッグの形がありふれているかがポイント 本文はこの下から始まります。少しでも参考になれば幸いです。 ●本文 2024年1月16日 ユニクロが、SHEINブランドを展開する会社を不正競争防止法に違反するとして模倣商品の販売停止と損害賠償を求め提訴した…
乙:今日の問題は、令和3年予備試験憲法第3問アです。 表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして(中略)ア.裁判所による出版物の頒布等の事前差止めは,憲法第21条第2項にいう検閲に当たり原則として禁じられるが,出版等の表現の自由が個人の名誉の保護と衝突する場合には,厳格かつ明確な要件の下,例外的に事前差止めが許容されることがある。 甲先生、よろしくお願いします! こ、甲先生!? 甲:I never knew that you were two sided 出典:https://genius.com/Soda-blonde-boys-lyrics 感想:…
(不正競争防止法等の一部を改正する法律) 今年の通常国会で成立した法律のうち、デジタル関係の法改正を見ていく17回目です。今回は、閣法54号として提出された「不正競争防止法等の一部を改正する法律」について見てみます。 提出理由は、以下の通りです。 知的財産の適切な保護及び知的財産制度の利便性の向上並びに国内外における事業者間の公正な競争の確保を図るため、他人の商品の形態の模倣となる対象行為の拡充及び商標権者の同意に基づく類似する商標の登録制度の創設を行うとともに、意匠の新規性喪失の例外の適用に係る証明手続の簡素化及び特許等の国際出願に係る優先権主張の手続の電子化を行うほか、外国公務員贈賄罪の罰…
平成16年8月30日最高裁判所第三小法廷決定 裁判要旨 甲社と乙社らとの間で乙社らグループから甲社グループに対する乙社の営業の移転等から成る事業再編等に関して交わされた基本合意書中に,第三者との間で基本合意の目的と抵触し得る取引等に係る協議を行わないことなどを相互に約する旨の条項があり,甲社が,乙社らにおいてこの条項に違反したことなどを理由として,乙社らが第三者との間で上記営業の移転等に関する協議を行うことなどの差止めを求める仮処分命令の申立てをした場合において,乙社らが上記条項に違反することにより甲社が被る損害は,上記基本合意に基づく最終的な合意が成立するとの期待が侵害されることによるものに…
昭和60年12月20日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 一定の地域の代表と主張して、環境権に基づき火力発電所の操業の差止め等を請求する訴訟を提起、追行している者は、当該地域の住民からの授権により訴訟追行権を取得するなど任意的訴訟担当の要件を具備していない以上、当該訴訟につき原告適格を有しない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/871/062871_hanrei.pdf 一 職権をもつて上告人らの当事者適格について調査すると、以下のとおりである。 1 記録によれば、上告人らの主張にかかる本件訴訟の請求の原因の概要は、次のとおりであること…
平成19年11月8日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において特許製品を譲渡した場合には,当該特許製品については特許権はその目的を達成したものとして消尽し,特許権の効力は,当該特許製品の使用,譲渡等には及ばず,特許権者は,当該特許製品について特許権を行使することは許されない。 2 特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ,それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,特許権を行使することが許される。 …