文芸・演劇評論家。1956年、宮城県生まれ。夫は志賀隆生。
東京女子大学大学院文学研究科博士課程修了。 1920年代以降の文芸を中心に、演劇、ミステリ、少女文化等も含めた幅広い評論活動を展開。近年は宝塚歌劇に関する著作が多い。
著書『少女日和』(青弓社)、『蘭の季節』(深夜叢書社)、『彼等の昭和――長谷川海太郎・りん二郎・濬(しゅん)・四郎』(白水社、サントリー学芸賞)、『宝塚』(講談社選書メチエ)など。
★『関西探偵/捕物作家クラブ会報』集成(全四冊)が完結し、別冊に解題として、浜田雄介さんが「『探偵小説ニュースDSnews』―占領期の新興出版社と探偵小説界―」「『探偵小説を愉しむ会会報』―白石潔と新聞人たちのアプローチ―」を、小松史生子さんが「関西探偵作家クラブの創設―本格派の牙城として」、谷口基さんが「『KB OF MWJ(Kansai Branch pf Mystery Wraiter of Japan)=日本探偵作家クラブ関西支部会報』No.25(1957年8月)~Mo/50(1960年1月)」、川崎賢子さんが「『日本関西作家クラブ関西支部会報』No.1(1954年12月)~No.24…
★ 川崎賢子さんが、川崎賢子編 『左川ちか詩集』(岩波文庫)の解説をお書きになりました。 ・『左川ちか詩集』、岩波書店、2023年9月15日発行、720円+税 ※岩波書店のHPも、御覧ください。 www.iwanami.co.jp
★ 川崎賢子さん、沢田安史さん、谷口基さんらが編集された『定本 夢野久作全集』第8巻が刊行されました。川崎賢子さん、沢田安史さん、谷口基さんが第8巻の解題をお書きになっています。また、沢田安史さんが「夢野久作著作年譜」「夢野久作年譜」を編まれています。 ・『定本 夢野久作全集』第8巻、西原和海・川崎賢子・沢田安史・谷口基編集、国書刊行会、2022年11月24日発行、14,000円(本体価格)+税 定本 夢野久作全集 (第8巻) 作者:夢野久作 国書刊行会 Amazon ※詳しくは、国書刊行会HPをご覧下さい。 www.kokusho.co.jp
★ 川崎賢子さんが、9月5日(月)から行われる KUNILABO2022年9月期人文学講座「宝塚:日本モダニズムの軌跡を考える(全4回)」の講師をされます。 ・宝塚:日本モダニズムの軌跡を考える(全4回) 初回日時 2022年9月5日 (月) 19:30 - 21:00 日程 9月‐12月の第1月曜日(9/5、10/3、11/7、12/5) 場所 オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座 →YouTubeにて見逃し配信あり (受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く) 【※本講座は、著作権の関係で、第4回のみ見逃し配信がありません。何卒ご了承くださ…
★ 川崎賢子さん、小松史生子さん、谷口基さん、浜田雄介さんが、9月4日(日)に立教大学で行われる公開シンポジウム「雑誌『宝石』と戦後日本の探偵小説」に講師として登壇されます。 ・公開シンポジウム「雑誌『宝石』と戦後日本の探偵小説」 期日 9月4日(日) 13:00~18:00 場所 立教大学池袋キャンパス 14号館3階 D301教室 主催 立教大学文学部文学科共催 立教大学日本文学会 江戸川乱歩記念大衆文化研究センター 科学研究費(基盤研究B) 「近代日本探偵小説研究の基盤整備:資料の調査・保存・公開とその活用」 (代表:浜田雄介、2019-2022) 申し込み 事前申し込み不要・参加費無料 …
★ 川崎賢子さんが、「[連載 1]『カリガリ博士』:百年の衝撃」([連載]『キネマ旬報』を読む」)を文生書院のHPに寄稿されました。 ※文生書院のHPも、ご覧ください。 www.bunsei.co.jp
★ 川崎賢子さんが、『宝塚 変容を続ける「日本モダニズム」』(岩波現代文庫 学術442)を上梓されました。 ・『宝塚 変容を続ける「日本モダニズム」』、岩波書店、A6判並製510ページ、2022年2月15日発行、定価1,820円+税 ※岩波書店のHPも、ご覧ください。 www.iwanami.co.jp
★ 川崎賢子さんが、「尾崎翠 ーー表現主義映画に魅せられて」を『季刊文科』87号(鳥影社)に寄稿されました。 ・『季刊文科』87号、鳥影社、2022年1月31日発行、1,650円(税込) ※鳥影社のHPも、ご覧ください。 www.choeisha.com
詩集といわれるジャンルの本を開いてみると、なるほど、「1ページに記されている文字数」は小説や学術書よりも少ない。なんとなく目に優しく、すぐに読み進めることができそうな気がしてくる。 実際には、そんなこともない場合がほとんどである。少なくとも私という読み手にとってはページの余白は解釈の余白でもあり、詩においてテキストを読んでから考えを巡らす時間はときに学術書のそれよりも長くなる(基本的に“説明”の比重が少ない形式なので、これは妥当なのかもしれない)。 一方、詩は人間が書くものなので、書いた人のバックグラウンドや時代的なバックグラウンドが重要な補助線になってくれる。読解のための時間を惜しまずに「勉…
手塚治虫の初期の習作のいくつかは、文庫全集の1冊で読むことができるようになった。それらを読むと、可愛らしい少年少女は登場しないことに気づく。大人たちばかりが出てくるストーリーである。女性は、羽根が生えて空を飛んだりするが、洋装の大人である。男性は、美形ではなく、中にはグロテスクな顔立ちの人物が目立つ。 それは一つの違和感であったのだが、そのとき思ったのは、日本の昭和モダニズムの「エログロナンセンス」という言葉だった。手塚治虫の基本にあるものは、昭和モダニズムではないかと思った。 晩年の作、という言い方は一般にはされないが、グロテスクを感じることがあり、好みではなくなったように思ったのだが、手塚…
取り急ぎ記録……。 ●李龍徳『死にたくなったら電話して』河出文庫 www.kawade.co.jp ●波田野節子『李光洙ー韓国近代文学の祖と「親日」の烙印』中公新書 www.chuko.co.jp ●持田叙子編『安岡章太郎短篇集』岩波文庫 www.iwanami.co.jp ●川崎賢子編『左川ちか詩集』岩波文庫 www.iwanami.co.jp ●草間小鳥子『源流のある町』七月堂 www.shichigatsudo.co.jp ●現代詩文庫15『富岡多恵子詩集』思潮社 iss.ndl.go.jp ●アントニオ・タブッキ 須賀敦子訳『インド夜想曲』白水社 www.hakusuisha.co.j…
宝塚 変容を続ける「日本モダニズム」 (岩波現代文庫 学術442)作者:川崎 賢子岩波書店Amazon ヅカも、もう賞味期限切れだから、スキャンダルがバクロされるのかねえ。文化研究のネタになる一方で、あんなものと密かに嘲笑されてもいる。いっそ、道化として、日本文化に咲いた仇花として、融通無碍に振舞えたらよかったのだろうけれども、女たちの欲望を引き受けすぎたのが祟ったのじゃないか。
季節のモノクル 病んで黄熟した秋は窓硝子をよろめくアラビヤ文字。すべての時は此処を行つたり来たりして、彼らの虚栄心と音響をはこぶ。雲が雄鶏の思想や雁来紅を燃やしてゐる。鍵盤のうへを指は空気を弾く。音楽は慟哭へとひびいてさまよふ。またいろ褪せて一日が残され、死の一群が停滞してゐる。 一「佐川ちか詩集」 川崎賢子 編 岩波文庫 【情について】 初対面の人を恐れずにいたい。本当は人のことは大好きなのに、誰に対しても片思いな気がする。同じだけの愛情を返してほしい。でも、返されたらそれはそれで、重いし怖い。 人を愛し、それが受け入れられるのは、人に愛されることよりもずっと幸福に違いない。 ♤ 隣にいるの…
左川ちか詩集 (岩波文庫 緑232-1) 岩波書店 Amazon 『左川ちか詩集』 左川ちか著 川崎賢子編を読む。 中学の時、現代国語の教科書に西脇順三郎の詩が載っていた。そのモダンさ、日本語の豊饒さに眼をひらかされた。新潮文庫から出ていた西脇の詩集を買って、よくわからないまま読んでいた。 この詩集もそうだ。モダンさがキラキラしている。しなやかな感性から生まれる言葉がナイフのように尖っている。卓越した言葉のモンタージュとでも言おうか。なんだけど修辞に秘められた作者のエロスやパトス。それに、やられたのかもね。 どこかバタくさいのは、彼女が北海道・余市の出身もあるのだろう。彼女の兄と伊藤整が親友で…
ビッグコミックオリジナル連載『前科者』に出て来る本。 国書刊行会は、"National Book Publishing Company"とでも訳すのでしょうか。古今東西のあらゆる奇書を訳す出版社のイメージですので、逆に、英文サイトもなければ英語ほか、他言語のウィキペディアもない、よく見るとおそろしくドメスティックな会社だったという。 漢字の社名なので、漢字文化圏に共通する社名なんじゃんという話もありましょうが、通じるのはもちろん通じますが、表記に関して、厳密には、大陸ですと《国书刊行会》、〈书〉が簡体字ですし、台湾香港韓国ですと「國書刊行會」、〈國〉と〈會〉が繁體字ですので、「国書刊行会」とい…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 現役の作家のなかにも熱狂的なファンの少なくない、鬼才、久生十蘭の精粋を、おもに戦後に発表された短篇から厳選。世界短篇小説コンクールで第一席を獲得した「母子像」、幻想性豊かな「黄泉から」、戦争の記憶が鮮明な「蝶の絵」「復活祭」など、巧緻な構成と密度の高さが鮮烈な印象を残す全15篇。 異端作家として名を残す久生十蘭(1902-1957)は北海道の函館で生まれました。母は船問屋(商船取引の積荷管理や船主との契約取次など)を営む家の次女で、父はその番頭頭でしたが、幼少期の殆どを母方の祖父の元で養育されました。荒くれた素行の悪さが目立つ学生で、函館中学…
前回、長尾辰夫の『シベリヤ詩集』を取り上げたのだが、長谷川四郎の『シベリヤ物語』に言及しないわけにはいかない。しかもこの二冊は詩集と小説の違いはあるにしても、出版は昭和二十七年と同じで、前者が二月に対して、後者は八月に刊行されている。やはり『シベリヤ物語』の出版にしても、高杉一郎の『極光のかげに』のベストセラー化と不可分であろう。 (筑摩書房版) これはいうまでもないけれど、長谷川の長兄は『近代出版史探索Ⅳ』616の谷譲次(牧逸馬、林不忘)、次兄は画家の潾二郎、三兄は『同Ⅴ』884の長谷川濬で、四郎も含めた長谷川四兄弟雄に関しては川崎賢子『彼等の昭和』(白水社)が好著として挙げられる。私たちの…