生年〜没年:1907〜1996
略歴: 京都市生れ。明治大学卒。 一九四七年、「宝石」の第一回懸賞に入選した「殺人演出」を発表。五一年、「社会部記者」ほかで探偵作家クラブ賞を受賞。一連の東京日報物のほか、庄司部長刑事のシリーズなど人情味あふれるキャラクターを活躍させた。五八年から六六年までのNHKドラマ「事件記者」の脚本を単独執筆した。「上を見るな」ほか多数の推理小説があり、時代小説や少年少女向き小説も多い。探偵作家クラブ時代に幹事長を務め、七一年より一期二年、日本推理作家協会理事長。
『事件記者』NHK総合、昭和三十三年(1958)~昭和四十一年(1966)放送。 警視庁記者クラブをおもな舞台に、新聞各社の社会部記者たちが「特ダネ」目指して知恵と行動力とを尽しあう群像劇。毎回事件発端から解決までの筋立てだが、仲間でもあり狐と狸の化かしあいでもある各社の対抗意識が面白く、人気を博した。 警察捜査員からいかにして情報を引出すかに苦心しながらも、時に事件解決に協力して報道管制の条件にも応じる。稀には警察を出し抜いて独自の取材成果を挙げ通報協力。代りに記者発表の前に「特ダネ」提供を約束させる交換条件の駆引きもあって、子ども視聴者にとっては、へぇ世の中にはかようなこともあるのかと興味…
これはそもそも一昨年の8月8日に「祖母の蔵書()西村京太郎」と題して書き始め、その後、昨年7月18日に2冊追加してそのままになっていた。よって以下、新たに見出し【西村京太郎】を追加して以後の本文に見える「昨年」は2022年である。 【西村京太郎】 祖母は推理小説が好きだったが、西村京太郎の作品はバラバラに何冊か掘り出しただけで、どうも好みではなかったようだ。 次の本は昨年の8月8日にメモしている。 ・祥伝社文庫 に 1-6『殺人者は北へ向かう』平成11年7月20日 初版第1刷発行・定価533円・286頁殺人者は北へ向かう (ノン・ポシェット に 1-6)作者:西村 京太郎祥伝社Amazon※ …
真夜中の密室 (飛天文庫 や 3-1 密室殺人傑作選) 作者:山村 美紗 飛天出版 Amazon 昭和30年代から昭和60年代にかけて発表された8作をまとめたアンソロジー。メンツは山村美紗、高木彬光、中町信、泡坂妻夫、大谷羊太郎、天城一、島田一男、鮎川哲也で、個人的に面白い感じの集まりというか、社会派台頭時代にも本格を書き継いでいたメンツという感じ。天城、鮎川の物はそれぞれの短編集で読んでいた。 密室殺人というファンタジーをどのようにして現代的な舞台と結びつけるかも含めて、それぞれの取り組みがみられるのも本書の楽しみかもしれない。 それでは、以下各編の感想。 山村美紗『呪われた密室』 トップバ…
埼玉県民の日というよくわからない日が一年に一度あり、納得はいかないが小中学校が休みになる。仕事は休みにならない。秋口に小学生の留守番はごみ捨ての間の短い時間でも虐待だとか穏やかでないニュースがあり、びびって早々に休みをとっていたので、ついでにげんちゃんの保育園も休ませて、小学生を四人誘ったら、もうひとりお母さんもきてくれることになり、こども10人をつれて、花やしきにいくことにした。駅でも電車内でも花やしきでも知り合いに会い、埼玉県民が大挙して押し寄せたらしい花やしきはものすごい混雑だった。げんちゃんがカーニバルというぐるぐる回る乗り物が気に入ってしまい、へろへろしながら連続で乗った。昼は外でラ…
『悲劇への特急券 鉄道ミステリ傑作選〈昭和国鉄編Ⅱ〉』佳多山大地編(双葉文庫) 第一集がトラベル・ミステリーの作者による傑作集だったのに対し、第二集である本書にはトラベル・ミステリー作家に限らない鉄道ミステリが集められていました。 「探偵小説」横溝正史(1946)★★★★☆ ――あれは戦争前の話、かれこれ十年もまえになるかしら。あたし小説家のM先生の御招待で東北本線のN温泉へスキーにいったんです。その時分のあたしはまだ駆け出しの歌手でしたけれど、皆様、鮎川さん、鮎川さん、と可愛がってくださいました。探偵作家の里見先生と洋画家の野坂さんと一緒に、三時の汽車でかえることにしたのですが、雪崩のために…
(本書のトリックのほか、『幽霊男』、人形佐七シリーズ短編、アガサ・クリスティの長編小説の内容に触れていますので、ご注意ください。) 『魔女の暦』は、1958年に東京文芸社から刊行された『金田一耕助推理全集3』に「鏡が浦の殺人」とともに収録された書下ろし長編である[i]。といっても、1956年に雑誌に掲載された同名の短編小説が原型[ii]で、例によって、短編の長編化作品のひとつということになる。さらに、これも恒例のように、捕物帳にオリジナルがあり[iii]、横溝得意の三次活用の好例である。 ストリップ劇場を舞台に、金田一に送られてきた殺人予告状のとおりに、三人の女優(ストリッパー)が殺害されてい…
一条真也です。『怪異猟奇ミステリー全史』風間賢二著(新潮選書)を読みました。著者は、1953年、東京都生まれ。英米文学翻訳家、幻想文学研究家、アンソロジスト。首都大学東京、明治大学、青山学院大学非常勤講師。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業。早川書房勤務を経て、フリー。早川書房在職中に、『ハヤカワ文庫』で、ファンタジーの叢書、ハヤカワ文庫FTを創設。また、翻訳ホラー小説の叢書『モダンホラー・セレクション』を企画した。1998年、『ホラー小説大全』で第51回日本推理作家協会賞評論その他の部門受賞。 本書の帯 本書の帯には、「心霊主義 疑似科学 進化論・退化論 エログロ 変態性欲――。西洋のあらゆる…
文藝春秋社で『諸君!』や『文學界』の編集長を務めた経歴を有する「昭和史の達人」が、満州国について記した作品です。ただし既に書き尽くされた感のある満州国の建国期と崩壊期は避け、満州国13年の歴史の中で比較的安定していた時期に焦点を合わせています。映画の「グランドホテル形式」に倣った、満州国に滞在歴のある36人の列伝から見えてくるものは何なのでしょう。国籍法を定めなかった満州国においては、全ての日本人は「ゲスト」にすぎないのです。ひとりひとりの内容まで踏み込むと長くなるので、タイトルだけ列挙しておきます。 1.昭和13年秋、小林秀雄が満州の曠野でこぼした不覚の涙 2.小林秀雄を満洲に呼んだ男・岡田…
海外の女流推理小説家については6月5日付(067)に纏めてある。 【ビル・プロンジーニ】 プロンジーニは4冊あったので独立させようかとも思ったのだが、何せ知識がない。よって他の作家と一緒に纏めることとした。 ・名無しの探偵シリーズ ・新潮文庫2772/赤163=4『死角』高見浩 訳 昭和五十六年 九 月二十五日 発 行・昭和五十九年 十 月 十 五 日 四 刷・定価400円・303頁*1 死角 (新潮文庫 フ 12-4 名無しの探偵シリーズ)作者:ビル プロンジーニ新潮社Amazon カバー背表紙には(フ 12 4)とある。整理番号の過渡期だった訳である。 ・新潮文庫2958/赤163-5『脅…
トルストイ「クロイツェル・ソナタ」を読む (第2回) 「クロイツェル・ソナタ」とアガサ・クリスティのとある中篇/短篇小説とシェイクスピアの『オセロ』 - KJ's Books and Music 日本でいまだにクリスティ*1をエラリー・クイーン*2やジョン・ディクスン・カー*3より下に見るミステリファンが少なからず残っているのに対し、クリスティの本国イギリスはもちろん、クイーンの本国であるアメリカでもクイーンやカーの人気は彼らの没後に急落したのに対してクリスティの人気は今も衰えることがないらしいことも興味深い。 「ある意味どうでもいい話」ですが、 1)日本ではクリスティをエラリー・クイーンやジ…
以上、『事件記者』(日活1959:山崎德次郎)より 『事件記者』(日活1959:山崎德次郎)を、国立映画アーカイブ(NFAJ)長瀬記念ホール OZUにて見る。「逝ける映画人を偲んで 2021-2022」特集の1本。同時上映『警視庁物語 遺留品なし』(東映東京1959:村山新治)、310円。事件記者(54分・35mm・白黒) 追悼:(出演)沢本忠雄(菅)、柳瀬志郎(六方組の乾分) NEW(ニュープリント) NHKのTVドラマ「事件記者」の映画化第1弾。品川駅で銃撃事件が発生し、警視庁記者クラブの記者たちはスクープ合戦にしのぎを削る。シリーズを通して一人前に成長する新米記者・菅を演じた沢本忠雄は、…
5月15日 誕生日の全国35万人の皆さん、おめでとうございます (拙句)幸福な日々の一日賀茂祭 雅舟 【花】シキザキベゴニア(シュウカイドウ科) 【花言葉】幸福な日々 【短歌】散りながら咲く四季咲きのベゴニアの今日を明日をしあわせにして 鳥海昭子 ひとつの花が散ってもまた新たな花を咲かせるシキザキ ベゴニア。ずっと咲き続けているかぎり、「幸福な日々」 は続いていくような気がします。 【季語】 ベゴニア シュウカイドウ かざしぐさ 葵祭【俳句】 ベゴニアの多情多恨や日の射して 加納 立子 かざしぐさ若き勅使の冠に 谷中 隆子 地に落ちし葵踏みゆく祭かな 正岡 子規 【三行詩】「我を祭るに葵をかず…