手紙作者:山本 昌代岩波書店Amazon ずっと続くもの、たいくつなもの、それが日常だと思っていたというより、思い込もうとしていた。最近、病気して、日常がくるりと回転していつもと違う顔をみせた。それを非日常と言ってもいいけど、ある日大きく変わるのはあくまで結果であって、変化の種はすでに日常の中にある。あるけど、それに気がつかない(ふりをしている)。こわいからだ。 淡々とした日常に不意に影がさす。その程度の日の陰りとして描かれるものもあれば、目をそむけたくなるような暴力がむき出しになることもある。作品によって程度の差はあるが、山本昌代が描いてきたのは、せんじ詰めれば、こういうことかなと思う。山本…