中島敦の作。初出:昭和17年2月「文学界」 野村萬斎によって演劇化されている。高校の現代文(高2)頻出作。
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だいぶ前に読んでみた。 長男が次男に向けてかけた言葉に愛を感じた。 人生の荒波にのまれ溺れかけている次男に、「人生は長いよ。だけど本気で何かを成し遂げようと思ったら、短い場合もある。高校の教科書に載っていた山月記読んでみるといいよ。若いうちに悩めるだけ悩んでおけばいい。」 私は灯台になれたらなって思ったものです。 早速買ってきて次男と私と読んでみました。 自分本位に生きてきた才能ある男性が虎になってしまう話なんですが、こんな言葉をある男に残しました。 「人生は何事をも為さぬにはあまりに長いが、何事かを為すにはあまりに短い」 自分のことに当てはめて考えてみると、確かにずっと続けてきた介護の仕事に…
商於 商於(しょうお)の地とは中島敦「山月記」の舞台となる地名であり、これもまた現在の河南省にある。 李徴の友人、監察御史である陳郡の袁惨がここに宿った。袁惨は勅命を奉じて嶺南に使いする途上であったが早朝人食い虎が出るので出発を遅らせようという駅吏の言葉を振り切って出立し変わり果てた旧友に遭うのである。 嶺南とは今でいう華南の地であり唐の時代であればまだまだ瘴癘が猛威をふるう未開の地ではなかったか。関中の長安から南の地に行くわけであるから最短のルートは函谷関を過ぎて黄河沿いに行くのではなしに、長安を出て藍田から武関を経て南陽に抜け南下する路である。函谷関が関中の表玄関なら、武関はバックドアだ。…
虢略 虢略(かくりゃく)と言えば高校国語教材の定番である中島敦の「山月記」に出てくる地名である。虎に変身して異類の身と成り果てた隴西の李徴の蟄居先であった。 この地名は現在はなく、新たに霊宝市の名を以て呼ばれている。旧霊宝県城はそれこそ弘農河を挟んで「魏函谷関」擬定地の対岸(東岸)にあったが三門峡ダムの建設に伴い県治を虢略に移して現在に至るという。 虢略はなんとも古雅な地名であり、そちらを残して欲しかったが鉄道線路も山側(すなわち虢略近く)に移転して霊宝駅を造った以上そうするしかなかったのであろう。
日曜日、 毎朝聞いている、本の要約サイト「フライヤー」の要約。少なくとも、必ず1日1冊は新しい本の要約が出ており、ほとんどのものが耳読可能だ。 この前の金曜日だったかな。基本的にはビジネス本の要約が多いのだけれど、その日の要約は「山月記」だった。中島敦の作品である。 めちゃくちゃ懐かしい。中学生か高校生の時、現代文か何かの教科書に載っていた気がする。教科書に載るくらい有名なのだが、それくらい短時間で読めるということなのだ。だから、要約もほとんど本文全てと言っても良いくらい、かなり濃い内容になっていた。 主人公の李徴が虎になってしまう話だ。かなりシンプルに言うとこうなるのだが、ただ印象的なセリフ…
私は中学までは主に歴史小説を読んでいたのですが、高校に上がって、いわゆる純文学小説を読むようになりました。 それは、教科書に載っていた中島敦「山月記」や太宰治「富嶽百景」に触れたからというのもあります。 それ以降は書店で自ら本を選び自分の知らなかった世界や自分の持っていない感性を新鮮に読むようになりました。 並行して歴史物も読んではいましたが。 そんな一種の原初の読書体験を思い出しているうち、「山月記」を教科書掲載文も合わせて四回目ほどの再読をしてみたくなりました。 文庫本ですと12ページほどの長さです。 約二十年ぶりに、どう読めたか、感じたか、考えたことなどを記してみたいと思います。 中島敦…
中島敦の短編小説「山月記」は、唐代に詩人となる夢を叶えられず、虎になってしまった男・李徴の物語である。この作品は、中島のデビュー作であり、彼の代表作として知られている。 「山月記」の主人公・李徴は、幼い頃から詩才に恵まれ、将来は名詩人になることを夢見ていた。しかし、李徴は生来の臆病さと尊大な羞恥心から、詩作に没頭することができず、いつしかその夢は叶わないものとなってしまった。 ある日、李徴は友人の袁傪と共に旅に出た。しかし、旅の途中で李徴は突然、虎に変身してしまう。李徴は、自分を変身させたのは、詩作への情熱を捨てた自分への天罰であると悟る。 虎となった李徴は、荒野で生きていくことを余儀なくされ…
京都大学について知っていることは少ない。 京都大学の敷地に行ったのは・・・10年ほど前だろうか。 川沿いに吹く透明な風がまだ冷たいころ。 京都大学の方を含む研究班に入れていただき、班の会議に呼ばれて行くことになったのだ。 京都大学に行ったのは、その、ただ一度である(と思う)。 もとより京都に馴染みがない。 新幹線に乗れば早いが、心理的には遠い都市、京都。 わたしは外国育ちのせいもあるが、あまり日本的なものに対する馴染みや、親しみがない。日本という国への愛が少ないのかもしれない。京都について熱く語る人の多さは、わたしからますます京都を遠ざけ、その地が何枚ものヴェールに包まれた謎めいた土地であると…
Audibleで聴いた本を3つ紹介します アラフォーに入って今更ながら自らの人間力を高めたい そんな野望を持ち、古典文学を読み出しました
人生とは生きるには長すぎるけど何事か成すには短すぎる。 あわせてよみたい ランキング 人生とは生きるには長すぎるけど何事か成すには短すぎる。 ちょっと今から恐ろしい話をするけど、2023年はこれからあと実質3か月程度しかないよ。ヤバない? 山月記の言葉を引用するけど「人生とは生きるには長すぎるけど何事か成すには短すぎる」。この言葉を噛み締めて骨身にまで染み込ませておく必要があるよな。何も考えずにぼんやりと生きていると、あっという間にタイムオーバーがきて不満を抱えたままに死んでいくこともあるかもしれない。 一体、自分がこの人生で何を成したいのかというのは、今の歳になってもさっぱりと分からない。ひ…
おめおめってなんだよ!ちょっとしめしめ感もある。お年寄りのおめおめは自虐のイメージで、「こんな老いぼれがおめおめと生き残ってしまった…」とよく老兵が話しているシーンがマンガにある。若い人が関わる場面は上司の叱責とかのイメージで「よくもおめおめと顔を出せたな」「どのつらさげて…」みたいな感じ。ドラマの影響が強い。 この言葉には「なんだかおいしい思いをした」的な、「あははうふふ感」を感じる。ちょっとことばに引きずられて飴系のおいしいものとかをもらって美味しい思いをするようなイメージ。これまたどんな漫画の効果音にも出たことがないような語感だ。 「おめおめ」から感じるイメージ(おいしい思い) で、調べ…
心が弱るとは、なんだか常に落ち込んだ気分であるとか、楽しかったはずのことがあまり楽しくないとか、そういうことであろう。 そんな中で、差別的だと感じていた発言や、いわゆる陰謀論などと呼ばれている主張に触れると、思いの外すんなりと受け入れている自分がいる。 そうか、そういうこともあるかもな。と思いながら主張を読み終え、まるでそれが既知の事実であるかのようにそれを前提とした主張を他人にし始めたりする。 心の衰弱は恐ろしい。 目に見えないし、自分でその変化に気づけているうちはまだいいが、山月記のように、いつしか虎である時間の方が長くなってしまっているかもしれない。 そんな時の精神状態を思うと、正論であ…
※この記事は広告を含みます にゃんこたんです 昨日の記事で、小野不由美さんの最新作を昨年と書いてしまったのですが、なんと令和元年と5年前でした 失礼いたしましたnyankotanturezure.hatenablog.com 訂正済みです 歳をとるのが早いわけですよ…5年前なんてあっという間でした 一日一日は長く感じたのですが、気づいたらもう5年10年とたっているわけですよ その間に何かを成したのなら良かったのですが、何もないと「何やってたんだろう」なんて思ってしまいます 今がそう思っているところです 計画を立てて毎日を過ごさなければ、こうなってしまうのかと思ってしまいました 先日に、10年後…
拳児 (5) (小学館文庫 ふC 5) 作者:藤原 芳秀,松田 隆智 小学館 Amazon 3月31日の視聴 ・『ゲームゲノム「ライバル〜ストリートファイター〜」』 →ゲストは横山裕と、ゲームクリエイター・中山貴之。中山さん、格闘ゲーム作りたくてカプコンに…変態だな。 →へー、いまは「投げ」とかあんのね。 →ゲーセンの対戦式だと、負けると100円無駄になんのかー。 →“BEAST”梅原大吾だ! →ストIIのキャッチコピー「俺より強い奴に、会いに行く」。うひょー。 →最新作「ストリートファイター6」のゲームモード。1人プレイ用のRPGみたいな。ゲーム内キャラクターに教われるの?サイコーだな。 →…
よいこのみんな〜! 今日は絵かき歌で遊ぼうね! 小春お姉さんといっしょに描いてみよう! どんな絵が出来上がるかは描いてみてのお楽しみ! さっそくやってみよう! お山が2つありました〜♪ 下にはまんまる金魚鉢〜♪ まるで豊頬の美少年だね〜♪ レーズンが2粒泳いでる〜♪ トンビが回転しながら狙ってる〜♪ (速い! 速すぎる!!)(合いの手) え〜っと...トンビがなんか丸いの持ってるね〜♪ (ハムかな?)(サラミかも!)(合いの手) 額と両頬に歴戦の傷跡〜♪ (好きなくらい描いてよい)(あればあるだけかっこいいから) 凛々しい眉毛〜が、雄々しいね〜♪ 眼光も鋭いね〜♪ お山にかまぼこを埋めれば、あ…
こんにちは天狗Aです。 なんか三字熟語って不遇じゃないか?と思う。 神椿の曲ばかり聞いてるからかもしれないが、曲のタイトルで使われるのは二字熟語が多く感じる。 それに、漫画などでの必殺技は四字熟語ばかりではなかろうか? そうでもないですかね? まあ兎に角三字熟語は不遇な気がする。 しかしながら三字熟語は良い。三音って若干響きや見た目が奇妙で良い。 例えば猿真似。最高である。 真骨頂。最高である。 阿片窟。意味はともあれ響きは良い。 対抗馬。かっこいい。 自動車。そこそこ速い。 新幹線。速い。 飛行機。もっと速い。 山月記。読んだこと無い。 不死身。なりたい。そしてふ、じ、み、と若干当て字っぽい…
はじめまして、Noraです! 今回は私のおすすめの本を紹介したいと思います。本とは言っても、イラストに関連する本です。 皆さんは「乙女の本棚」というシリーズをご存知でしょうか? このシリーズは、芥川龍之介などの有名な作家さんの小説にこれまた有名なイラストレーターさんが挿絵をつけた絵本のシリーズです。 小説が好きな人もイラストが好きな人も楽しめます。 すでに20冊以上も出ているので、気になるものが見つかると思います。私のお気に入りは「山月記 中島敦+ねこ助」「死後の恋 夢野久作+ホノジロトヲジ」「檸檬 梶井基次郎+げみ」などです。 図書館などにもあるので、是非読んでみてください!
面倒な仕事が入ってきたので指示書を書くのが遅くなった。12時半ごろに始まり、新入社員の研修や、チェックアウトの遅いお客様の清掃を誰に振るかなど、イレギュラーな事があったのでてこずった。1週間後の予約の確認作業を少しだけ進めた。日記を書く前に、よく過去の記憶を思い出す作業をするのだが、その暇もなく休憩になってしまった。 仕事のない日は日記に消極的で、仕事の日の方が、積極的に書くことが多い。段々と、日記が作業に戻りつつある。わざわざ思い出さなくても日記が書けるようになったのが最近の成長だ。これから簿記の続きを勉強する。3時1分。 13個の段落があり、一つの段落の項目がかなりばらつきがある。昨日の夜…
起きたら13:20過ぎ、もう3限が始まっている。学校に行くのを諦め、スマホ見たりぼけーーーーっとしたりしたあと以前から読もうと思っていた『山月記』を読む。短編なのですぐ読み終わる。なんか思い当たる節がありすぎて心にずしっと来る。「尊大な羞恥心」や「臆病な自尊心」などのフレーズも刺さったが、李徴の自嘲癖が妙にリアルで自分と似たようなところを感じてしまうこともまた刺さる。自嘲は自分の欠点を他人に言われるのが怖いからそれを避けるために、あらかじめ自分で自分の欠点を白状する行為である。他人に欠点を言われる程度で傷つけられるほどの自尊心を持っていることの証明である。自分も相手に笑ってもらうために自嘲をす…
今日から5勤だよ~。乗り切れそうな気がしないよ~。 あと今日の作業割り当て、予定ではクソだったけど、今の私よ、どうだーい? そんなこんなで2024年春アニメ、その1話視聴の感想です。 今日からどんどんお送りしていきたいと思います! 毎回、書いていますが、毎クール、新アニメが一気に始まる時期ってのは心がわくわくしますね。ふふ。 ただ春クール、本当に見たい作品が多すぎるので・・・絞り込むのが苦労しそうだ。 ちなみに。今回の記事では『クソアニメ』と言う単語が登場しています。 この単語に敏感な方は読まれない方が良いかと思いますので、ご注意いただければ。 ではでは。2024年春アニメ感想、トップバッター…
中島敦といえば明治・大正・昭和と33年の短い人生で3つの時代を生きた日本を代表する作家である。中学校の教科書にも登場した記憶がある方も多いはずだ。 今回取り上げた短編の名手中島敦の『山月記』『名人伝』『悟浄出世』『文字禍』は、いずれも中短編。 虎に変身してしまった詩人がその人生を憂う『山月記』は芥川龍之介の『藪の中』を彷彿させる作風で、蚤の心臓を射貫くテクニックを磨いた弓の名人が弓を射ずに標的を倒す技を究める『名人伝』は「核の抑止力」を想起させ、西遊記の中で最もキャラの立っていない沙悟浄に自問自答を続ける哲学者(河童)として光を当てた『悟浄出世』に思わずほくそ笑み、文字の研究に人生を費やした老…
どうも、読書記録ノート代わりにブログを書いている、ゆかりごはんです。 この記事では、面白かった面白くなかったにかかわらず、とりあえず今週読了した小説を記録がてら軽くまとめようと思う。僕が今週読んだ小説は、以下の4作である。 『かがみの孤城』辻村深月 あなたを、助けたい。学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。生きづらさを感じているすべての…
服部研究室に提出された卒論題目一覧です。
宇宙の果ての本屋 現代中華SF傑作選 作者:顧適,何夕,韓松,宝樹,陸秋槎,陳楸帆,王晋康,王侃瑜,程婧波,梁清散,万象峰年,譚楷,趙海虹,昼温,江波 新紀元社 Amazon 中国SFは「三体」が面白かったので短編アンソロジーにも手を出してみました。10点満点で読書会参加者の平均点が最も高かったのは、王晋康「水星播種」(平均9点)でした。今回の「誰得賞」です。読書会の主な声は以下のとおり。点数は個人的な点数で、参加者の平均点ではありません。
現代文で、1年間に2回くらい、物語の創作をする授業があった。 私はこの課題が大嫌いだった。 特に伝えたいメッセージがあるわけでもなく、何もないところから物語を考えるのは苦痛だし、何より、好きな先生にセンスの無さを露呈してしまうことが嫌で仕方なかった。(これは創作の授業に限らず、教科書に載っている小説を読んで、感想を書かされるときにも思っていた。) 考える時間はあったのに、こんなにつまらない、ありきたりな話を書いたのだと思われるのが怖くて、何か面白いものを捻り出せないかと提出期限のギリギリまで粘ってみたこともあるけれど、結局はオチがどうしても思いつかなかったり、作品の仕上がりが気に入らなかったり…