リアリズム(realism)
「(関連する)いかなる事物もあらゆる認識から独立に存在する」、または、「(関連する)あらゆる命題は真か偽かのどちらかだ」、という考え方を採用する立場のこと。自覚的にであるかどうかは特に関係しない。
これよりも「弱い」実在論を採る人たちもおり、そうした立場と対比するために、この「強い」実在論は「形而上学的実在論」と呼ばれることもある。
実在、真実在、非実在、科学的実在論、反実在論、概念実在論(実念論)、素朴実在論
ノミナリズム(唯名論)、概念論、観念論、イデアリスム、唯心論、形而上学、実体、実存 リスト::哲学関連
読んだ本 菅原潤『マルクス・ガブリエルの哲学』人文書院 (2023) アナニヨ・バッタチャリヤ『未来から来た男 ジョン・フォン・ノイマン』みすず書房 (2023) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『未来から来た男』 メモ フォン・ノイマン (1903-1957) 1929年 ハンブルク大学に就職 "そのあいだも、彼は集合論と同様、量子力学をまるごと数学的本質にまで還元する仕事に忙しかった。" P49 (『未来から来た男』) 物理学の発展には哲学が間接的に貢献してきた歴史があったことが分かった。 ラッセルのパラドックスはこのブログで何回も触れ…
読んだ本 野本和幸『フレーゲ・ルネサンス:言語・論理・数学の哲学への招待』東京大学出版会 (2023) ガンディ『獄中からの手紙』岩波文庫 (2010) 宮台真司『崩壊を加速させよ:「社会」が沈んで「世界」が浮上する映画批評2011→2020』blueprint (2021) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『崩壊を加速させよ』を久しぶりに読んだ。 パラパラとページをめくると「社会がなぜクソなのかを考察せよ」という面白い題名が目に入った。 "社会を生きる以上は言語的に構築されたシステムの自己運動から逃れられない。" P321 (『崩壊を加速…
実在論ブームと、オブジェクト指向存在論 日本では2010年代の後半あたりから紹介され、一部でちょっとしたブームとなっていた哲学のジャンルが「実在論」である。「事物が存在する」というのはどういうことか? 我々が「存在する」と思っているものは本当に存在するのか? というようなことを考える哲学だ。(分野が分野なのでさりげないブームではあるが) このジャンルの中で最も目立っていたのが思弁的実在論と呼ばれる潮流で、カンタン・メイヤスーがその代表的な論者である。このメイヤスーに関しては以前の記事で紹介したのでそちらを参照されたい。 pikabia.hatenablog.com そしてまた別の潮流が、今回取…
読んだ本 引用元:版元ドットコム つづきをよみすすめた。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ なし ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 二周目は以前と違った視点で考えるようになった。 太古の人間は神が全てで世界の中心は神だった。 それがデカルト以後、「機械的」な自然(物理学的な法則に基づいて宇宙はただ機械のように自動的に運動しているという見方)が中心であるという見方にシフトする。 個人的には、…
Realist. リアリスト
言葉の意味に対応するものが実在(≒存在)しているという立場のことをいうみたいである。 「犬」という言葉がある。そしてあちらで散歩しているワンちゃんも存在している。 実在論を別名「唯名論」とも呼ぶみたいである。 そして、この唯名論は現代哲学でもまだ決着がついていない。 つまりは、「鶏が先か卵が先か」問題と重なる。 言葉が先か。実在が先か。 直感では、先に犬がいて、人間があとから名付けたと思う。 「関係」「調節」とった言葉はどうだろう。 これもまた、先にそういう現象があったから人間があとから名付けた。 しかし。 ここで池田晶子氏はこのように突っ込むだろう。 「それを我々は名付ける前から知っているか…
マルクス・ガブリエルといえば『私は脳ではない』が有名だ。 新実在論を唱える、現代の若き天才哲学者と呼ばれる。 この方と池田晶子氏が共通の考えを持っていることが分かった。 池田氏は深海魚に眼がない生き物がいることを指摘してこう言う。 「光が先にあって、そこから眼が生まれた」 光がない深海には眼が要らない。故に眼がない魚がいても不思議ではない。 この考えを応用させていく。 つまり、先に「考え」があり、「精神」があり、そこから「脳」が生まれた。 この論理構造は決しておかしなものではない。 マルクス・ガブリエルの本は難しくてまだ読めていないが、このことがわかった僕は、彼の本に興味が湧いた。 哲学は独自…
現代思想界の新星・メイヤスー カンタン・メイヤスーの名前が「思弁的実在論」というジャンル名とともに聞こえてきたのがいつだったかあまり覚えていないが、2016年に人文書院から『有限性の後で 偶然性の必然性についての試論』が千葉雅也・大橋完太郎・星野太訳で刊行された時には「ついに登場!!」という雰囲気だったと思う。 後に「新しい実在論」などと呼ばれることになる、日本では2010年代後半に特に盛り上がった新潮流が徐々に伝わって来ており、その代表選手として翻訳されたような感じだった。 有限性の後で: 偶然性の必然性についての試論 作者:カンタン メイヤスー 人文書院 Amazon そもそも哲学や現代思…
奇跡論法とは「ある科学理論について,現在の科学の成功はその科学理論が経験的に妥当でなければ奇跡になってしまうから,その科学理論は経験的に妥当なはずだろう」という,科学理論の経験的妥当性(ないしは科学理論の指示対象の実在性)を擁護する議論である.以下ではこの議論の数式による定式化を試みる(cf. Sprenger (2016)). なお,奇跡論法を含めた科学的実在論争については以下の戸田山の本に詳しい. 科学的実在論を擁護する 作者:戸田山 和久 名古屋大学出版会 Amazon :科学(理論)の(予測や説明の)成功 :科学理論が経験的に妥当 として,奇跡論法を考える.奇跡論法の中心的前提は以下の…
三角形。 街にはいたるところに三角形がある。 ブランドの看板。 アプリのロゴ。 ペットボトルのマーク。 これを皆三角形と当たり前のように思っている。 何故か。 厳密には長さが違う、大きさが違う。 にもかかわらず。 プラトンさんは「イデア」があるからと考えた。 三角形のイデアを皆持っている。だから皆、わかるのだと。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 目の前の物質は何者なのか。 例えば石。 あくまで、光を通して、網膜を通して、知覚として僕たちはそれを「石」と呼ぶ。 じゃあ、「僕」がいなければ「石」は存在しないのか? 否。 他の人間がいれば「石」は存在する。 じゃあ、人間が…
エマニュエル・トッドやマルクス・ガブリエル、フランシス・フクヤマらの知見がアンソロジーのように詰め込まれた一冊は、「戦争、AI、ヒューマニティの未来」という副題が添えられている。ウクライナやパレスチナでは戦いが起こり、生成AIが人間の領域に進出することによって、変わりつつある世の中の枠組みを読み解くヒントが随所に散りばめられた内容だ。 ダイバーシティ&インクルージョンの観点では、属性によるセグメンテーションを行うことによって、かえって多様化が阻害されるという問題が提起されている。マイノリティに配慮しているようでも、結果的にその人を型に嵌めることになり、かえって残酷な状況に追い込んでしまうという…
エドマンド・バーク『崇高と美の観念の起源』みすず書房 (1999) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 三重の意味で物足りないものであった。 まずひとつは、文体がやや読みにくい。何を言いたいのか分からない点も少なくなかった。 次に、あくまで主観的な主張から外に行かない。もっと必要な考察があるはずなのに、どこかさらりと終えている印象を抱いた。 自身の力不足もあり、本書からどれくらい引き出しを得られたか、再度ふりかえってみると、やはり物足りない気がしてならない。 しばらく再読はするつもりもなく、本書の読書時間のなかでは次に読む古典は決まらず、模索す…
問題と目的 人を助ける、援助するという事が人間社会の中の制度となった歴史は、医療や法律といった人間社会の古くからある制度に比べ新しくまだしっかりとした構造とはいえないと考えられます。古くは、宗教がその多くを担っており、寺院や教会などの施設では、神の代わりに手当て(care)と、歓待(hospitality)をしていたと考えられます。また、法律の制度の成り立ちからは神の代りに人を裁くという、神(権威)の代行者(あるいは預言者)という構造をみることができます。 例えば、対話による援助技術のひとつであるカウンセリングでいえば、パーソンズらの職業ガイダンス運動、ピアーズの精神保健運動、知能検査の発展と…
哲学は永遠の問いに答えを求め続ける学問です。その中で、最も基本的かつ奥深い問いの一つが「1とは何か」です。この記事では、哲学がこの問題にどのようにアプローチし、考察するかを解き明かしていきます。 数学的基盤からの出発 「1」と聞いて多くの人が最初に思い浮かべるのは、数学的な概念でしょう。数学における「1」は単位、始点、または基礎として機能します。しかし、哲学の世界では、この「1」が持つ意味はもっと深い次元に及びます。プラトンはイデア(形相)の世界において、最高の善としての「一」を考え、これが宇宙の秩序と調和の源泉であるとしました。アリストテレスもまた、物事の本質や存在の根底にある「一」を探求し…
昨日の投稿から、奇蹟がないのが古典的な物理学、奇蹟だらけなのが宗教、特にカトリック教会、という対照的な違いが明らかになりましたが、そうだとすれば、物理学とカトリック教会は世界について真っ向から対立する考えをもつことになります。よくよく考えるとこの真っ向からの対立は誇張したものと言うより、私たち人間がもつ二つの根本的に異なる資質が素直に表れていると考えることができます。一つの資質は飽くことなき好奇心で、真理をとことん知りたいという本能です。別の資質は絶対的なものへの希求、憧れであり、救いや愛を求めるという本能です。奇蹟の本性を知り、それを説明したいという知的探求心と、奇蹟を通じて神に帰依するとい…
唯名論と実在論は、中世ヨーロッパから現代まで語り継がれてきた思想です。 この記事では、唯名論と実在論について具体例を交えながらわかりやすく解説します。 また、唯名論と実在論の代表的な哲学者やおすすめの入門書を紹介します。 唯名論と実在論がどのような思想か 唯名論と実在論の代表的な哲学者 唯名論と実在論のおすすめ入門書 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 唯名論とは? 唯名論の代表的な哲学者 ウィリアム・オッカム(オッカムのウィリアム) 実在論とは? 実在論の代表的な哲学者 トマス・アクィナス (おまけ)中世ヨーロッパの普遍論争 …
一言:疑わしきは刑事司法の外側で社会制裁。これ政治が動くべき社会問題です Photo by いらすとや 記事タイトル 文芸春秋総局長、松本人志問題は「刑事事件として立件するのは不可能」「客観的な証拠はない」と発言引用:Yahoo!ニュース(アーカイブ)2024.03.04驚きを禁じ得ないニュース。 認識されてたんですね‥➠立件するのは不可能!➠客観的な証拠はない!しかしまあそれはそれとして、少なくとも第一弾の話でいうと、書き手視点なら当事者から直接得た情報かもしれないが、(読み手視点だとどうしたって)あれ客観的証拠のない伝聞情報にしかならんて普通わかるじゃないすか。そうすると、伝聞を頼りに(一…
1大人と中学生に 言葉を使って考え、議論するのが人の特徴。それをヒントにアリストテレスがつくり出した三段論法中心の論理学はギリシャ語という自然言語の表現形式をフル活用してつくられています。実験を工夫する代わりに、言葉とその表現を徹底して信頼したのがアリストテレスです。彼は様々な存在を分類整理するためにカテゴリーを設け、実体、分量、性質、関係、場所、時間、位置、状態、能動、所動を挙げています。それらは言語表現から抽出された存在の基本的特徴です。文の中で主語になるのが実体、9個の様相はいずれも述語を使って表現されます。 では、アリストテレスの「実体」とは何か?それは、「これ」、「あれ」と代名詞を使…
なぜ科学を語ってすれ違うのか――ソーカル事件を超えて 作者:ジェームズ・ロバート・ブラウン みすず書房 Amazon 大学院生の頃に読み,その後もいくどか手に取って参照したであろうこの本を,先日改めて読んでいたところ,びっくりしたというか,自分のあまりの不勉強さを恥じたのだが,実証主義というのは反実在論の一種だったんですね。神でないわれわれ人間が到達しうる真理というのは直接的な観察に基づくもののみであり,観察に基づかない命題(理論命題)というのももちろんあってもいいのだが,それはあくまで観察可能な現象を組織立てて説明・予測するという役割を果たすものに過ぎず,この世界の実在を正しく捉えた真理など…
興福寺は南都七大寺の一つで、法相宗の大本山。藤原鎌足とその子不比等ゆかりの寺院です。興福寺の北円堂は藤原不比等の1周忌にあたる721(養老5)年に元正天皇の命で長屋王によって建立され、1180(治承4)年の焼失後、1210(承元4)年頃に再建されました。本尊の弥勒如来坐像(国宝)を中心に、無著・世親菩薩立像(国宝)、木心乾漆四天王立像などが安置されています。釈迦入滅後約千年を経た5世紀頃、北インドで活躍し、法相教学を確立したのが兄無著と弟世親。無著像は老人の顔で右下を見、世親像は壮年の顔で左を向き遠くを見ています。無著像は運助、世親像は運賀が担当しました。 *無著・世親菩薩立像はWeb上で簡単…
私たちの生活世界を支えてきたのが古典的世界観で、それは古典力学が成り立つ世界が私たちの世界だと主張しています。質点(point mass)とその連続的運動からなる古典力学をモデルにしたのが古典的世界観で、素朴実在論や直接実在論と両立するものです。 古典力学の質点モデルは、不変の質点の連続的運動変化です。質点の位置がいつも確定していること、つまり、「質点の確定性原理」が前提され、それによって力学的な決定論が主張され、古典的世界観の骨格をつくっています。こうして、世界は私たちとは独立に実在し、決定論的に変化しています。決定論的な姿で実在する対象からなる確固とした世界、客観的な実在世界は私たちの表象…
ベイアーの忠告に従えば、道徳教育者の使命は、「なぜ私は道徳的でなければならないのか」という道徳的利己主義者の問いに答えることではなく、「どうして私は親戚でもない、不愉快な習慣を持つ、あかの他人のことを心配しなければならないのか」という、もっとしばしば発せられる問いに答えることだ、ということがわかるでしょう。 『人権について』、p163 朝、意外と早く起きる。あさからお風呂周りの掃除と洗濯をする。 ふとしょに本返して本借り手大垣書店でその本を読む。 借りたのはロールズとかローティ、マッキノンとかが人権について書いてる『人権について』で、ローティの「人権、理性、感情」を読んだ。 ローティは人権につ…
* 人間の消滅とポスト・ヒューマニズム ポスト構造主義を代表する思想家の1人であるミシェル・フーコーは『言葉と物』(1966)において「人間の消滅」という挑発的なテーゼを提示して一躍時代の寵児としての地位を確立しました。難解な専門書にもかかわらず「バゲットのように売れた」といわれる同書は中世以降の西洋における「エピステーメー」の変化を主題としています。ここでいう「エピステーメー」とは、ある時代や社会の思考システムの基本的な布置を指しています。そしてフーコーは西洋の歴史におけるエピステーメーはルネサンス期(16世紀以前)、古典主義時代(17〜18世紀)、近代(19世紀以降)という三つの段階の境界…
草木また空に従ひて成す。まさに是れ衆生なるべし。(p172、『伝教大師全集』p183) 最澄と空海 日本仏教思想の誕生 (角川ソフィア文庫) 作者:立川 武蔵 KADOKAWA/角川学芸出版 Amazon 天台智顗に従って、諸法は実相であり一切の衆生は成仏すると説き、比叡山を開闢して爾後の日本仏教に絶大な影響をもたらした最澄。 最先端の思想だった密教を持ち帰り、そこから自分なりの壮大な思想と実践の体系を構築した前近代の日本最大の哲学者、空海。 同じ時代に生きた両者の思想は結構似通っているようだ。と、いうことで、この二人の思想を、共通点・相違点にも触れながらみていきたい。 あかりにとっては、お大…
インターネットが登場したことで、人々はそれまでよりも多くの情報を入手できるようになり、また、不特定多数の人々に自由に発言する機会も増えました。これぞ、民主主義。インターネットが革命を起こし圧政に苦しむ人々を解放し、また、これまで隠されていた事実を多くの人が知るようにもなりました。インターネット。なんてすばらしい発明だ。インターネットは、平和で民主的な社会を創造するこれまでにない画期的な道具だ。と思っている人がいるかもしれません。でも、インターネットは、非民主的であり、真実を求めようとする人を少なくしているのが現実でしょう。