教育課程編成の基準。 学校教育法施行規則の第二十五条、第五十四条の二、第五十七条の二、第七十三条の十、第七十六条などの規定に基づいて文部科学大臣により告示される。 ナショナル・カリキュラム。
文科省HPで、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・盲学校・聾学校・養護学校それぞれの学習指導要領全文を読むことができる。 http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/990301.htm
遅ればせながら、高校化学の学習指導要領が変わったことを知り、社会人になってから修正した知識でさえも細部がずれていることに気づいて、いささか慌てております。元素の周期表、「族」の名前が 1~18 になったのもだいぶ前のことですが、12族の扱いが変わって、「3~12族を遷移元素とよぶ」ようになったとのこと。縦に並んだ亜鉛 Zn、カドミウム Cd、水銀 Hg(亜鉛族)は典型元素ではないのか・・・たしかに、12族まで遷移元素になっている周期表も、11族までそうなっているのも、両方出回ってますね。こうなったら知ったことではないですが、いやはや、古い知識のアップデートは大変な作業です。 亜鉛族の元素の電子…
昨年末、燃焼についてあれこれ書いたところですが、私たちは燃焼という現象なくしては生きていけません。何かを燃焼させたときに発生する熱を利用することこそ、人類の文明の根幹をなしていると言ってもよいくらいだと思います。 熱は物質(物体)の温度を高くするものですが、古くはある種の物質だと考えられていました。ラヴォアジェも「熱素」を元素の一つと考えていたくらいです。しかし、熱素説には摩擦熱の発生の仕組みをうまく説明できないなどの不都合が多く、やがて熱はエネルギーの一種であるととらえられるようになりました。 温度の低い物体に熱が入ると、物体を構成する粒子が活発に運動するようになり、その物体の温度が上昇しま…
次年度の2025年度入試は学習指導要領が改定されてから初めての大学入試になるため、大きな変化点の年になります。この中でも、入試における変更点の大きな1つとされているのが、情報という科目の取り扱いです。今までの2024年度までの入試では、共通テストでは数学ⅡBの代わりとして、情報関係基礎という教科を選ぶことが出来ますが、受験者数は少数派であるため、必須受験という位置づけとは遠いものでした。そんな中で、2025年度入試では情報という教科になり、先日には東京大学が共通テストの「情報」を点数化することが発表されました。このような動きを受けて、今回は次年度の「情報」という科目の大学受験における取り扱いを…
今年度の全国学力・学習状況調査では英語も調査対象となっており、その結果に関してはニュースにも大きく取り上げられました。 毎年、その結果を基に報告書が作成されますが、それには今の中学生の英語力における課題が詳しく記されています。 私が今回注目したのが、「日常的な話題について、事実や自分の考えなどを整理し、まとまりのある文章を書くことができるかどうかをみる」調査問題の結果でした。報告書によると、今回の正当率は 7.7%だったそうです。31年度同調査では1.9%だったことを踏まえると6%改善したと言えますが、まだまだ「書く」ことの指導が不十分であることを痛感します。 今回は「書くこと」に焦点を当て、…
1 とにかく子供たちにやらせてみよう! 2 私の実践について ①Topic、Useful Expressionsを導入する。 ②デモンストレーションを行う。 ③活動中の指導 現行の学習指導要領が実施されて早くも3年目となりました。今回の学習指導要領改訂で大きく話題になったことの一つが、「話すこと」のうち「やり取り」と「発表」の2領域が設定されたことです。詳しくは学習指導要領解説や様々なところで説明されているので割愛しますが、実際のコミュニケーションの場面を想定した『即興で話す』言語活動の実施が改めて求められることとなりました。 1 とにかく子供たちにやらせてみよう! 長年、「学校の授業を受けて…
私たちは、さまざまな情報の中で暮らしており、その情報が正しいかを判断して、処理することは出来ているだろうか。その情報の「正しさ」は何を基準に判断をしているのだろうか。その基準は「信頼できる人が言っていたから」や「大手企業が調べた調査だから」といった理由なのかもしれません。これから先の社会では、よりたくさんの情報が流通するなかで、どの情報が正しいのかを客観的に判断をして、「統計や情報を正しく理解する力」が重要視されるようになるのではないでしょうか。実際に高等学校では現在の高校1年生から「情報」の授業が始まり、2025年には共通テストでも出題されるようになります。そんな「情報や統計に騙されないため…
前回は「確かな学力」を育成するための主要施策を紹介しました。今回はその具体的取り組みを述べようと思います。今回は前半です。 主な取り組みとしては、1つ目に「主体的・協同的な学びによる確かな学力の育成の推進」が挙げられます。確かな学力を育成するための指導方法の工夫・改善の推進については、学校における目標・方針のさらなる明確化の推進が必要とされています。また、カリキュラムマネジメント等による育成を目指す資質・能力の重点化・焦点化を図った計画的な授業実施の推進も肝要です。さらに強化度ごとの学習プロセスの充実や教材などの開発が求められます。 加えて、学校経営及び指導方法についての評価検証プロセスの充実…
前回までで、学習指導要領で定義されている「生きる力」を構成する3要素の2つである「豊かな心」と「健やかな体」の育成方法について取り上げました。今回からは「確かなな学力」について考えようと思います。 確かな学力を育成するための主要施策としては、主体的・協同的な学びによる確かな学力の育成と個々の能力を最大限に伸ばすための環境整備が考えられます。こうしたことを推進するために、教職員各自は、指導方法の工夫・改善が求められています。また、学校管理職や教育委員会は、学級経営及び指導方法についての評価検証プロセスの充実、及び教員の指導力の向上に取り組むことが求められています。 次回以降は、「確かな学力」を育…
「豊かな心」と「健やかな体」も「確かな学力」と並んで、児童生徒が伸ばしていくべきとされているものです。学習指導要領では、これらをまとめて「生きる力」と呼んでいます。ここで問題となるのが、それらをどのように伸ばしていくのかということです。今回は、「豊かな心」の育成方法について述べていきます。 SNS等のコミュニケーションツールが急速に変化し、バーチャルでの体験が増えている時代にこそ表現力や思考力、想像力等を培い、豊かな感性や人間味あふれる心、思いやりの心を育むために、読書活動や文化芸術活動を推進するとともに、様々な体験活動や奉仕活動の充実を図ることが必要です。 まず、読書活動の推進が挙げられます…
ほんとこう言うの好き 掘った芋いじるな 「中学1年の英語が今ヤバいことになってる」 そんな話を同僚がしていました。聞けば、1年時の授業開始時点で基本的な文法やある程度の単語を理解している前提でスタートするとのこと。 筆者の記憶だと、中1の英語なんてのはABCの書き方やABCの歌で順番を覚えるといった、基本のキから始めていたわけです。なつかしいですね、Fが好きな人は自分に素直……えっ、違うの!? そっちじゃない?? あれはケンですか? いいえ、あれは鉛筆です なぜこんな事になっているのか。可哀想なのは子どもたちで、ヨーイドンの時点で格差が発生してしまっているのです。またまた、LITさんってばすぐ…
阿部公彦「文章は『形』から読む」 集英社新書より学習指導要領を読む を読み、考えをまとめてみました 文章は「形」から読む ことばの魔術と出会うために (集英社新書) 作者:阿部 公彦 集英社 Amazon 「論理国語」論争 社会から「社会に出たときに接するような文章」をもっと扱えという声が高まり、駐車場の契約書、著作権についての法律の条文が例として示される 新学習指導要領で「論理国語」論争が起こる「論理国語」ー「社会に出たときに接するような文章」を国語教育に取り入れる科目これは「論理的な文章」や「実用的な文章」を中心に、文学的な文章を排除するもの生徒は文学作品に接する機会が減るー批判筆者は「論…
2025年度から中学校で使われる教科書の検定結果が公表された。国が進める「GIGAスクール構想」で生徒1人に1台の学習端末が配備されたことを受け、教材のデジタル化が一層進んだ。 紙の教科書に記載された2次元コード(QRコード)を学習端末で読み取り、オンライン上の教材にアクセスする。ネーティブの英語の音声をはじめ、理科の実験動画や、小説の作者のインタビュー映像などを見ることができる。 生徒の興味や関心を引き、理解を助ける効果が期待できそうだ。インターネットやデジタル機器が身近にある環境で生まれ育った今の子どもにとって、こうした教材は親しみやすいだろう。 教員たちには、教室内での生徒同士のやりとり…
2022年、高校1年生から新学習指導要領がスタートしました。その新課程に対応し2025年度入試では様々な変更があります。多くの生徒が受験される大学入学共通テストでの主だった変更だけでも、・新教科として「情報」追加・数学:数学②の科目が数学ⅡBCのみになり、試験時間10分増加・国語:近代以降の文章が1問追加され、試験時間10分増加などが挙げられます。(既卒生には「地歴公民」「数学」「情報」に限り、経過措置が設けられます。) そのような変更の中で、多くの受験生・保護者が特に気を揉んでいるのが、先に挙げた変更点の1つである新教科「情報」にどのように対応すれば良いのかということだと思います。重要な点と…
2025年度から中学校で使われる教科書の検定結果が公表された。現行の学習指導要領に基づく2回目の検定で記述内容に大幅な変更は見られなかったものの、紙面に掲載された2次元コード(QRコード)の多さが目を引いた。 1人に1台行き渡っているタブレット端末などを使って生徒が読み取ると、教科書に関連した記述や英語の音声、動画などにつながる仕組みになっている。初登場した前回の数十倍に扱いを増やしたものや、1冊に100カ所以上掲載したものもあり、教科書会社の力の入れようが分かる。 生徒の利便性向上に加え、デジタル対応をアピールした方が、採択時に有利になるとの思惑があるためだ。半面、デジタル教材は各社が自前で…
検定済みの教科書。自分らしさ、性自認に関する記述(松井英幸撮影) 文部科学省の検定に合格し、令和7年度から使われる中学校の教科書で、LGBTなど性的少数者についての記述が増加することになった。 保健体育では、性的少数者に関連し「性自認」「性的指向」など学習指導要領の範囲外の内容が「発展的内容」として全ての教科書に掲載される。英語や社会科地理などの教科書にも関連した内容が入る。 性的少数者への差別をなくす教育は必要としても、男女の性差を否定するような行き過ぎた指導で、思春期の子供たちを混乱させてはならない。 検定結果によると、保健体育では「人間の性は単純に『男性』と『女性』に分けられるものではあ…
僕は従来からフランクルには強く共鳴し、論文を書いたこともあるし、『唯が行く!』で当事者研究の思想的源泉として解説した。苦悩することによって人生は輝きを増す、苦悩することそのものに「体験価値」があるというフランクルの思想は、苦悩だらけの僕の人生を優しく照らしだす陽の光だった。フランクル自身が、強制収容所の生き残りということが、自然に尊敬の念を感じさせる。(横道誠『ある大学教員の日常と非日常』晶文社、2022) こんばんは。昨日は卒業式でした。PTA会長の祝辞、よかったなぁ。若かりし頃の苦悩を、その後の輝きとともに物語ってくれて、ある大学教員の言葉を借りれば、まさに卒業生のこれからの人生を優しく照…
文部科学省は22日、令和7年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。領土問題を巡る教科書の記述では、令和元年度の前回検定に続き、社会科の公民と地理で全社が北方領土と竹島(島根県隠岐の島町)、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を「固有の領土」と明記し、政府見解に沿った記述の定着がみられた。ただ、歴史では全社が領土について取り上げているものの、今回も一部の教科書には明記されなかった。(産経新聞デジタル2024/3/22) 公民と地理は学習指導要領で「固有の領土」として指導することが求められており、写真や地図を多用して領土問題を解説する教科書が目立った。尖閣諸島に領土問題が存在しないことや、竹島を巡…
(写真:読売新聞) 文部科学省は22日、2025年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。QRコード(2次元コード)を学習用端末で読み取って利用できるデジタル教材が大幅に増える一方、掲載内容のQRコード先への移行が進み、国語、数学などは平均ページ数が前回から減少した。全国の小中学生に配備された1人1台の学習用端末を踏まえたデジタル重視の構成が、小学校に続き、中学校教科書にも広がった。 今回は、現行の学習指導要領に基づく2回目の検定で、主に19年度検定に合格した教科書の改訂版が審査された。 昨年度に検定が行われた小学校と同様、紙の教科書とデジタル教材の「融合」が加速し、合格した100点…
教科書検定 デジタル偏重避けたい(2024年3月23日『北海道新聞』-「社説」) 文部科学省はきのう、2025年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。 動画などのデジタル教材につながる2次元コード(QRコード)の掲載が急増した。教育のデジタル化を受けた動きだ。生徒は配布された学習用端末で利用できる。 学校側の要望は強く、教科書会社の教材開発競争は激化している。今後も増えるとみられるがチェック体制は甘く、学校教育にそぐわぬものが紛れる恐れもある。 紙の教科書とノートによる学習の重要性は不変だ。視聴するだけで学んだ気になりがちな動画と違い、文章や図表を手書きする作業は子どもが知識を身に…
「ブラック校則」といったものが話題となりますが、学校において行われる生徒指導というものは多くの問題を含んでいるようです。 「学校での生徒指導」という、至って普通のことのようなものの中に、どのようなものが含まれているのか、高校で長く生徒指導に携わり、現在は大学で教員志望の学生を教えている著者がその経緯や現状を詳しく解き明かします。 著者が現在指導している大学の学生たちに高校までの生徒指導について聞いてみるとほとんどが「厳しい」「怖い」「うるさい」「面倒くさい」「細かい」といったイメージを持っていることが分かります。 彼らも数年先には学校で教員として生徒指導に当たることになるのですが、そういったイ…
デジタル教科書の英文を読みながら、発音をチェックし合う生徒たち=茨城県守谷市立愛宕中学校で2024年3月12日午前11時3分、朝比奈由佳撮影 デジタル技術をどう学びに生かすかが問われる。 2025年度以降、中学校で使われる教科書の検定結果が公表された。各教科でデジタルの活用が進んだのが特徴だ。 数学の教科書では二次元コード(QRコード)の掲載が前回に比べて大幅に増えた。QRコードから専用の教材にアクセスし、端末の画面上で図形を動かすことなどが可能になる。 英語は記載内容が電子化されたデジタル教科書も本格導入される。文中のリンクから動画や音声に飛ぶことができる。 英語の「聞く」「話す」の力を伸ば…
以前、「あきたこまちR 放射線育種が利用されていますが、それが何か?」というエントリーであきたこまちRが育成された方法と、その育種親に使われたコシヒカリ環1号が放射線を利用した育種方法で育成されたこと、それに全く問題がないことをお話しさせていただきました。 agriscientist.hatenablog.jp フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)その時も、簡単には放射線育種の方法についても触れさせていただきましたが、ちょっと説明が足りないような気がしてきたので、ちょっとだけ掘り下げて、しかし初心者向けに解説を試みようともう一度取り上げることにしました。 まず、この解説にはD…
「男女」という生物学的性別を自認する性などと同列に説明する教科書も目立った(松井英幸撮影) 文部科学省は22日、令和7年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。LGBTなど性的マイノリティーについての記述が増加。社会科地理など現行本には記載がない教科にも登場し、教科横断的なテーマとして扱われるようになった。保健体育は学習指導要領で定められた教育内容の範囲外だが、全ての教科書が「発展的な内容」として掲載した。 現行の学習指導要領に沿った中学校教科書の検定は元年度に続く2回目となり、10教科100点が合格した。技術・家庭(技術分野)でイスペットの1点が不合格となった。社会科歴史で2点が「…
介入は明確 強制出向をやめよ 国立奈良教育大学付属小学校に対する教員出向の強要など、国による不当な政治介入が明らかになってきました。日本の教育全体にとっての重大な問題です。 同付属小は地元で、子どもたちがのびのび育ち不登校も少ない学校として知られています。その教育は『みんなのねがいでつくる学校』という本にもなりました。 国も「モデル的」と評価 県教委から介入のため派遣された校長も「本校の教員は子どもに対して実に丁寧にきめ細かく指導していたことは間違いなく、驚くほど前向きに自分の言葉で話せる児童が多い」と大学のホームページに記しています。文科省さえ、国会で「非常にモデル的な良い教育をやってきた」…
今回は、「第4の波 大前流「21世紀型経済理論」」(2023年)を読みました。 第4の波 ~大前流「21世紀型経済理論」~ 作者:大前研一 小学館 Amazon 作者の大前研一さんと言えば、コンサルト系の人が書いた本には必ずと言ってもいいほど出てくる、マッキンゼーで活躍されたコンサルティング業界のレジェンドですね。本書は大前氏が主宰する企業経営者の勉強会「向研会」での講演や連載記事をまとめたものになります。 第4の波とは アメリカの未来学者で大前氏の友人でもあったアルビン・トフラー氏は1980年に上梓したベストセラー『第3の波』で、 第1波:「農業革命」による農業社会 第2波:「産業革命」によ…