太山寺を囲む標高170メートル前後の山々は、八葉蓮華(はちようれんげ)と称され、コジイやウバメガシを主体とした照葉樹林に覆われています。面積は約11ヘクタールあり、約160種類の植物が自生する県下最大の貴重な自然林(県指定天然記念物)です。
この地は伊川の上流部にあたり、渓谷沿いには磨崖仏(まがいぶつ)や奥の院があります。
太山寺は、かつて41の小寺院(塔頭(たっちゅう))に囲まれ、七堂伽藍を配した壮大な寺院でした。現在は本堂を中心に、阿弥陀堂、三重塔、護摩堂、羅漢堂、釈迦堂、鐘楼、観音堂、仁王門を配しており、周囲には、安養院、歓喜院、成就院、龍象院の4つの塔頭があります。
兵庫県下には、姫路城を代表とする国宝建造物が6箇所14棟ありますが、太山寺本堂は神戸市内で唯一の国宝建造物です。昭和39年に修復された本道は、鎌倉時代に建てられた13世紀の代表的で大規模な仏堂です。
太山寺本堂の建築様式は折衷様式で、和様の技法を主としながら唐様の木鼻をつけ、肘木の曲線は東半分が和様、西半分が唐様を用いています。ほぼ正方形の平面を持つ内部空間は、仏像を安置する「内陣」の側背面を「脇陣」と「後陣」が取り囲み、その前方に礼拝空間である「外陣」が付くという形式で、外陣に並び立つ太い柱の列が印象的です。また、こうした場所ごとに天井のデザインを変えているのも見所の1つです。平成11年11月神戸市
【太山寺山門脇の案内板より転載】
四国へんろ第五十二番札所
瀧雲山(りゅううんざん)護持院太山寺。ご本尊は十一面観世音菩薩。真言宗智山派。
松山市太山寺町
五十一番札所から10.5km、徒歩3時間。
伊予鉄バス太山寺下車、徒歩5分。