そのうちに叔母の夫が九州の大弐《だいに》に任命された。 娘たちをそれぞれ結婚させておいて、 夫婦で任地へ立とうとする時にもまだ叔母は女王を伴って行きたがって、 「遠方へ行くことになりますと、 あなたが心細い暮らしをしておいでになるのを 捨てておくことが気になってなりません。 ただ今までもお構いはしませんでしたが、 近い所にいるうちはいつでもお力になれる自信がありましたので」 と体裁よく言《こと》づてて誘いかけるのも、 女王が聞き入れないから、 「まあ憎らしい。いばっていらっしゃる。 自分だけはえらいつもりでも、 あの藪《やぶ》の中の人を大将さんだって 奥様らしくは扱ってくださらないだろう」 と…