前衛短歌運動を主導した戦後の代表的歌人。
1922年生まれ。1951年、第1歌集『水葬物語』を出版。寺山修司、岡井隆らと前衛短歌運動を展開。1985年から歌誌「玲瓏」主宰。1990年に紫綬褒章。2005年6月9日、逝去。
歌集、評論、小説など多数。代表的歌集に『日本人霊歌』ISBN:4803908656 (現代歌人協会賞)。
塚本邦雄(1920-2008年)は、第二次大戦後の前衛短歌運動の旗手としてよく知られる。 きっかけは、戦後まもなく歌壇・俳壇に対して突きつけられた「第二芸術論」(1946年)だった。これは短歌型文学の前近代性──日本的抒情、表現の狭小、「何を」より「誰が」詠むかを重視する解釈──を否定する評論であり、呼応する形で、塚本邦雄は「現代短歌」を模索し始める。 第一歌集『水葬物語』(1951年)は歌壇からは無視されたものの、三島由紀夫の激賞を受けた。1950年代から60年代にかけて塚本は、寺山修司や岡井隆らとともに、現代短歌の韻律・語法・情景を整備していくことになる。 その後1980年代に俵万智や穂村…
iPhone13ProMax 2024年1月19日(金) 俳句結社誌「麒麟」に6年がかりで連載中の「俳人のための塚本邦雄入門」 第五回目は塚本邦雄の第三歌集『日本人靈歌』を取り上げる回です。 今日、一気に第一稿(ぼくの場合は、第一稿がほぼ完成稿)を書き上げました。 音楽:『moonriders アンコールLIVE マニア・マニエラ+青空百景』
土曜日。雲は多いが午前中はまあまあ晴れ。空気がビシバシに冷え込んでくるのを感じる。休日なのに平日通り起床。体の重さが尋常じゃ無い。魂を地球の重力に縛られているつもりは無いが、肉体は重力に逆らわず布団にくるまりたがっている。やらなきゃいけないことリストを思い浮かべ必死に起床。休暇中は必要を感じなかったサプリに縋る。朝。チーズトースト。バナナ。ヨーグルト。コーヒー。昼。茹でたパスタにバターと刻みニンニク。コンビニサラダ。夜。白米。きのこ類と豚肉メインの鍋。ほうれん草と人参の胡麻和え。塩揉み胡瓜。食後、ウィスキーを少し舐めるに止める。読書のメモ書きを清書(?)。 * 夏至遺文 トレドの葵 (河出文庫…
菊帝悲歌: 小説後鳥羽院 (河出文庫) 作者:塚本 邦雄 河出書房新社 Amazon 『菊帝悲歌 小説後鳥羽院』塚本邦雄著を読む。 NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を見ていたので、歴史的な流れは、それなりに知っていた。ドラマの終盤に後鳥羽院、後鳥羽上皇は登場、歌舞伎役者の尾上松也が演じていた。どうもそのイメージが強すぎて。 鎌倉幕府を開いた源頼朝。清和天皇を祖に持つ清和源氏だったから、それなりに納得できたかもしれない。しかし、伊豆の一豪族に過ぎなかった北条氏が執権として将軍を傀儡のように操るさまは、許されなかったことだろう。実朝の和歌の才能を認めるも、京での暮しを夢見ながらも実行に移せない…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 183.君に逢ひにゆく傷つきに海よりの夕風はらむシャツを帆として (塚本邦雄) 砂子屋書房「一首鑑賞」で井上法子が取り上げていました。 sunagoya.com この歌は一瞬で引き込まれます。塚本邦雄の歌だと知って、なんていうか「やられたな」って思いました。かっこよすぎる。 井上法子の解説には、この歌が草稿の際は実は一部が違っていたことが書かれています。 君に逢ひにゆく愛されに海よりの夕風はらむシャツを帆として 「傷つきに」行くのか、「愛されに」行くのか。鑑賞文には 思いを寄せる「君」に、作中主体は「逢ひにゆく」。語り…
夏至遺文 トレドの葵 (河出文庫) 作者:塚本 邦雄 河出書房新社 Amazon 『夏至遺文 トレドの葵』塚本邦雄著を読む。 短篇小説というと、川端康成の掌の小説、星新一のショートショートなどがある。最近では北野勇作の100字小説なんていうのもある。作者は、「瞬篇小説」と呼んでいたとか。代表的な「瞬篇小説」を収めたそうだ。 最初の作品が『禽』。隣の少女が慟哭している。友だちからもらった鴉の雛が死んでいた。少女は親が殺したと言う。やっと泣き止んだ。妻が断水の知らせを告げに行ったら留守のようだ。玄関わきには、薄気味悪い鴉の剥製が夫が、中の様子を見に行くと死臭が漂っていた。川端も真っ青の作品。つかみ…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 160.十三階より眺むればあかときの救急車にはあぢさゐが似合ふ (塚本邦雄) 砂子屋書房「一首鑑賞」で永井祐が取り上げていました。 sunagoya.com 塚本邦雄の歌を読むとしばしば、 「おまえオレに言いたいことあるだろう」決めつけられてそんな気もする という俵万智の歌が頭に浮かびます。まさに「決めつけられてそんな気もする」っていうか…。「十三階」「あかとき」「救急車」ときて「あぢさゐが似合ふ」と決めつけられれば確かにー、って感じがしてしまう…。アジテーターの才能ありますよね。 この歌の「読み」については永井祐の鑑…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 147.突風に生卵割れ、かつてかく撃ちぬかれたる兵士の眼 (塚本邦雄) この歌のことを何のきっかけで知ったのかは思い出せません。でも、最近色々考えたので引用してみました。 「読み」に関しては、単純に読むのはそれほど難しくないと思います。 突風に生卵が割れる→黄身が潰れ、白身と交じり合った状態で殻からでろりと流出する という現象と、 かつて戦場で兵士が撃たれ、その眼が撃ち抜かれた→おそらくは脳を貫通し、脳実質などの組織と髄液が交じり合って頭蓋からでろりと流出する という現象が二重写しになって提示されます。 生卵が「突風」…
血圧値 119/81/76 酸素飽和度 98% 体温 36.5℃ 体重 68.2キロ 昨日、『東京ダモイ』が、俳句の分析から解決に到る、という話を書きました。 0430 起床 気分快 雨 「推理小説」を定義します。「読ませる機械」です。『東京ダモイ』を読みました。「抑留」について勉強になります。 - にこたろう読書室の日乗 「俳句」って、僕は作らないんだけど、嫌いではない。 シベリア抑留がテーマの小説、ということで、戦争繋がりですぐさま浮かんでくるのはこの一句。 戦争が廊下の奥に立つてゐた 渡辺白泉 白泉、1939年の句です。(白泉ってこの写真しか見たことないなあ。落語家っぽいね。) 日中戦争…
土曜日。暴力的な日差し。 あと三ヶ月なのにまだ夏健在。 朝。フレンチトーストもどきとコーヒー。ヨーグルトに苺ジャム。 セブンイレブンのニューヨークチーズケーキ(三角のやつ)が消え失せて久しいな、と何度目になるか分からない懐古。 昼。豚カツ屋さんでヒレカツとカキフライ。瑞々しいキャベツを貪り食う。 日中、家の用事を済ませたあとは読書とラクガキ。 なけなしの理性で筋トレ。軽く有酸素運動。動きにいろいろと違和感が生じ始め、ストレッチを真剣にやった方がいいことに気づく。 夜。白米ときのこ汁。秋刀魚。蒸し茄子の生姜和え。トマトと胡瓜のマリネ。ビール。 「人形歴史スペクタクル平家物語」の第三部を録画できて…
[私の百人一首] その3 65 眉根よせて眠れる妻を見おろせり夢にてはせめて楽しくあれよ (上田三四二1964『雉』、妻が「眉を寄せて」眠っている、辛い夢を見ているのだろうか、「せめて夢くらいは楽しくあってほしい」と妻をいたわる) 66 あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ (小野茂樹『羊雲離散』1968、作者1936~70のごく初期の歌と思われる、詠まれている相手は、東京教育大学付属中学~高校と一貫して作者の恋人で、後の妻の青山雅子、海辺でデートをしたのだろう、ただただ美しい歌) 67 はかなかりしわれに破れし恋ありてただおびえゐき美貌のまへに (香川進『湾』1957、作者1…
ここのところ、公募にも出さず、かといってネットにその多くを載せることもなく、ひっそりと創作をつづけている。 他者からの評価を得るためではなく、自分自身のための創作をしていきたいと今は考えている。 昼間はとある公募に出そうかとも思ったのだが、それでたとえ賞を取れたとしても、詩集を刊行できるわけでもない。 詩人として詩を書いて生きていくことは第一として考えてはいるけれど、目先の欲だけに囚われたいとも、今は思えない。 無名の人間のまま死んでいくのかとも思うけれど、人生の最期の瞬間を迎えるにあたっては、私自身がどのような人間として振る舞ったかが全てであって、それ以上に大事なものはないのだろうと今は思う…
伊藤海彦『旋律と風景』(国文社 1982年) 伊藤海彦の音楽エッセイ。33の楽曲について、その旋律と分かちがたく繋がっている思い出の風景を綴ったもので、クラシック曲もあれば、タンゴ、シャンソンもあり、東京音頭や尺八曲、大薩摩節という三味線音楽まで入っています。各章のタイトルに楽曲名をつけ、体裁は音楽を起点として文章を綴っているように見せかけてはいますが、実際は、音楽をダシにした一種の青春回想録となっています。読んでいるあいだ心地よい時間を過ごすことができました。 ひところ、よく読んでいた回顧的な音楽エッセイに連なるものがあります。松井邦雄や塚本邦雄、久世光彦など、みんな私より一世代上の人たちで…
今日は快晴.椿を求めて,鎌倉大巧寺(おんめさま)と妙本寺へ行って来ました. 藤沢へ引っ越して初めてのおんめ様. ちょうど利休梅が咲き始めたところ.最も好きな花の一つです. おんめ様の境内は狭いのですが,沢山の種類が植えられています.また,妙本寺には,鎌倉で最も美しいと私が勝手に思っている椿があります. 先日の大船フラワーセンターの椿が,期待をやや下回っていたので,引っ越し手続きのついでに,この三年間最も足繁く通った寺院に足を伸ばした次第. 次の画像は初めの一組がおんめ様,後の二組が妙本寺の椿.妙本寺の二組目の椿が私が勝手に「鎌倉一」と思つている花になります. 以前にも書いたように,また,多くの…
[私の百人一首] その2 34 楽しみは妻子(めこ)睦まじくうちつどひ頭(かしら)並べてものを食ふ時 (橘曙覧(あけみ)「独楽吟」、作者1812-68は幕末の歌人、国学者、平易な歌を詠んだ、この歌も家族愛がほほえましい) 35 君とわがたゞ身二つのかくれ里かくれはつべき里もなきかな (樋口一葉、「ああ、貴方と二人だけで駆け落ちして、誰も知らない里に、二人だけで隠れ住んで人生を終えられたら何て素敵でしょう、でも・・」、「君」は一葉の師の半井桃水か、24歳の短い生涯に唯一の恋) 36 燃えて燃えてかすれて消えて闇に入るその夕栄(ゆふばえ)に似たらずや君 (山川登美子1900、登美子21歳、「君」は…
3/02 林奕含「房思琪の初恋の楽園」白水Uブックス/ISBN: 9784560072516*1 3/02 ラーシュ・ケプレル「蜘蛛の巣の罠 上」扶桑社ミステリー/ISBN: 9784594092511*2 3/02 ラーシュ・ケプレル「蜘蛛の巣の罠 下」扶桑社ミステリー/ISBN: 9784594092528*3 3/04 ジョルジュ・シムノン「ロニョン刑事とネズミ」〈論創海外ミステリ〉論創社/ISBN: 9784846023669*4 3/04 レックス・スタウト「母親殺し」〈論創海外ミステリ〉論創社/ISBN: 9784846023676*5 3/05 リカルド・アドルフォ「死んでから俺…
2005年8月、ながらみ書房から刊行された岡井隆(1928~2020)の回想録。装幀は間村俊一。 『ぼくの交遊録』は、二〇〇〇年の四月号から二〇〇四年の三月号まで「NHK歌壇」に連載された。NHK出版協会ならびに「NHK歌壇」の担当者の皆さんにあらためて感謝申しあげます。おかげで、以前に書いた『一歌人の回想』(ながらみ書房刊)を補うかたちの回想を書くことができたし、この間におきた「乱詩の会」のリアルタイムの記録の断片も入ったし、ヨーロッパ旅行の報告にも役だったのだ。いくつか、繰り返しのある点は、以前の記載と違う点もふくめて)老齢のためのやむをえない欠点だが、なにとぞお許しください。 ながらみ書…
菊帝悲歌: 小説後鳥羽院 (河出文庫)作者:塚本 邦雄河出書房新社Amazon最近、塚本邦雄*1の『菊帝悲歌』を読み始めた。 第1章の「たれおもひけむ――建久五年 1194」は次のように始まる; 一月七日は白馬の節会で、朝早くから無理矢理に起され、退屈な儀式をつぶさに見せられた帝は、午後になると疲れ果ててひどく不機嫌になつた。白馬の節会といふのなら、その名の通り紺青の毛並の駿馬を百頭ばかり引き連れて、左、右馬寮のつはものが武徳殿の東に勢揃へするがよい。それなら宴の後の腹ごなしに、次から次へと騎り験してみてやらうと、彼は怒鳴り散らす。大納言の土御門通親が剃りあとの青青した顎をしやくるやうにして、…
今日、ヤフオクで落札したとある限定本が届いた。ぱっと見た感じは和紙装のかちっとした装丁の本であり素晴らしい。仕事が終わってからのんびり見てみようと思う。 というところで、ふと自分が蒐集している目ぼしい限定本版元がどこだろうと思い、戦前であれば江川・野田・山本、戦後であれば奢灞都館や湯川書房がそれに当たるかと思った。 蒐集に当たっては、江川・野田・山本であれば、高橋啓介「江川・野田・山本の限定本」(湯川書房)が、奢灞都館であれば「奢霸都館刊行 全書籍目録コンプリート・コレクション」(エディション・イレーヌ)が参考になる。いずれも入手は比較的まだ容易である。 湯川書房については、目録が出てはいるも…
こぽこぽ、珈琲 (おいしい文藝)作者:阿川佐和子,泉麻人,井上ひさし,植草甚一,内田百閒,柏井壽,片岡義男,草森紳一,黒井千次,小島政二郎,佐野洋子,清水幾太郎,滝沢敬一,種村季弘,團伊玖磨,塚本邦雄,寺田寅彦,常盤新平,外山滋比古,永江朗,野呂邦暢,畑正憲,星野博美,湊かなえ,向田邦子,村上春樹,村松友視,森本哲郎,山口瞳,吉田健一,よしもとばなな河出書房新社Amazon 1. 書籍について 本書は「こぽこぽ、珈琲」というタイトルのエッセイ集であり、阿川佐和子、泉麻人、井上ひさし、植草甚一、内田百閒、柏井壽、片岡義男、草森紳一、黒井千次、小島政二郎、佐野洋子、清水幾太郎、滝沢敬一、種村季弘、…
松本勝貴氏から恵投された未刊歌集『花の影 風の韻』の感想とお礼を認めた手紙を郵送。氏から同時に恵投されたもうひとつの未刊歌物語集『木霊』を繙(ひもと)く。「あとがき」から。《 これまで五冊の歌集を編み、千首の歌を創った。ずいぶん前からそれらの歌に詞書(ことばがき)を付け、歌物語のやうなものを作ってみたいと思つてゐた。詞書は単なる説明としての散文ではなく、それ自体が作品となるやうなものを理想とした。例へば万葉時代の長歌と反歌のやうなものである。 》《 短歌といふ三十一文字に凝縮されたイメージをやはらかくほぐしながら、内包された世界に具体的背景を与へてゆく作業は楽しいものであった。(引用者・略)出…
今日、土曜日は朝から雨模様の天気。いつ降り出すかわからない。気温が下がって炬燵から出られない。 昨日は雲が多めだったが晴れて、風もなかった。 昨日の午前中、家を出て国会図書館に向かった。今年のはじめての図書館だ。先週から今週のはじめてにかけて、体調がいまいちで、予定があった外出はしたがそれ以外はなるべく休養につとめた。気になる頭痛がおさまったのででかける気持ちになった。 図書館ではます読みたい本を端末でさがして閲覧請求をした。短歌の本もあるが、短歌とは関係ない本も2冊あった。一冊はタッシェン・ジャパンで出したゴッホの画集。もう一冊は『ダイ・ウィズ・ゼロ』というというベストセラ―の本。短歌の本は…
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日曜日。日の出に光るベランダの氷。晴天。草叢に雪はわずかに残っている。厄介な道路の氷も日差しですぐ溶けた。毎年、大学入試のタイミングで雪が舞う。朝。クロワッサン。カフェラテ。飲むヨーグルト。昼。カレー屋さんのカレーをテイクアウト。ビール。夜。白米。なめこと豆腐の味噌汁。カブと厚揚げの煮物。ホッケの開き。納豆。朝食後、日常の用を片付け座椅子に根を下ろす。コンビニの生どら焼きが悪魔的な旨さとカロリー。ぺろりと平らげ、ぼーっと本を眺め睡魔に襲われ、を繰り返す。夕方、申し訳程度に筋トレと軽い運動。再び睡魔。夕食後に少しラクガキ。まだまだ残っている読了走り書きをブログ用にメモし直す。大河はしばらく録り溜…