現代文学では、都市が描かれることが多くなる。「失われた時を求めて」第一ペン篇「スワン家のほうへ」と同年に刊行されたアポリネールの詩集「アルコール」(1913年)巻頭の「地帯」と題された詩でも、自由な詩法で現代都市パリの活気に富む生活が、 オフィスで女性が叩くタイプライターの音も含めて歌いあげられている。アポリネールは二十世紀初頭の開放的なパリだけでなく、パリを取り囲む大きな世界までも縦横無尽に闊歩してゆく。 地帯 とうとう君は古ぼけたこの世界に飽いた羊飼娘よ おお エッフェル塔 橋々の群羊が今朝は泣きごとを並べたてる君はもうギリシャやローマの古風な生活に飽きはてた(・・・)Embed from…