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地獄への道は善意で舗装されている

(一般)
じごくへのみちはぜんいでほそうさ

意味

現在の日本で一般的な解釈

「良かれと思って行ったことが悲劇的な結果を招いてしまうこと。
または、悲惨な出来事が皮肉にも善意の行いが発端となっていることを言う。

※ここでは、便宜的に(A)とする。
■Aの解釈に近い辞書
The American Heritage dictionary of idioms

"Well-intended acts can have disastrous results"
http://books.google.co.uk/books?id=9re1vfFh04sC&pg=PA542#v=onepage&q&f=false

別解釈

「日本では誤用されている」との主張もある。その論を要約すると

実際には、「天国をめざして信心する人は多いが、そのために善行を続ける人は少なく、結局は地獄へと進む事が多い。地獄への道には、そうした人々が心の中から落としてしまった善意(直訳は「善き意図」)が降り積もっているのだ」・・・という言葉である。
つまり「善意を持っていても、実行がともなわなければ、いずれその人は地獄へ落ちる」という意味になる。

※ここでは、便宜的に(B)とする
■Bの解釈に近い辞書

The road to Hell is paved with good intentions.
《諺》 地獄への道は善意の石畳で舗装されている 《いくら善意があっても実行しなければやはりその人は地獄へ落ちる》 - 研究社 新英和中辞典
http://ejje.weblio.jp/content/the+road+to+hell+is+paved+with+good+intentions


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英語版ウィキペディアでは

http://en.wikipedia.org/wiki/The_road_to_hell_is_paved_with_good_intentions

Meaning

The meaning of the phrase is that individuals may do bad things even though they intend the results to be good. An example is the economic policies of the 1920s and 1930s. These were intended to be a prudent response to the economic turmoil following World War I and the Wall Street Crash respectively, but they were one of the causes of the Great Depression and World War II in which millions of people suffered and died. [3]

Another interpretation is that good intentions may not result in a good outcome because of inaction due to procrastination, laziness or other subversive vice.

※要は(A)(B)の意味が、両方記載されている。


原典

イギリス、ドイツの諺(ことわざ)。
Google Book Search(0~1855年で検索)で確認できた最も古い著書は以下。

  • 「Notes and Queries」著者:William John Thomas, (John) Doran, Henry Frederick Turle, Joseph Knight, Vernon Horace Rendall, Florence Hayllar (1850年発行)
  • 「Notes and Queries」著者:Martim de Albuquerque (1851年発行)
  • 「The mysteries of the Kingdom; sketches expository of our blessed Saviour's parables」著者:Joseph Baylee (1852年発行)
  • 「On the lessons in proverbs」著者:Richard Chenevix Trench (1854年発行)

由来(の有力候補)

「罪人の歩む道は平坦な石畳であるが、その行き着く先は陰府(よみ)の淵である」(旧約聖書続編、シラ、二一-一〇)に由来し、のちにイギリス、ドイツの諺となった。
ボズウェルは「ジョンソン伝(Life of Johnson)」の1775年4月16日の項目で、文頭に"the road to"のない"Hell is paved with good intentions."をジョンソンの言葉として引用。1670年にジョン・レイは"Hell is paved with good intentions."を諺として引用。クレルヴォー修道院のベルナルドゥス(1091-1153)は"Hell is full of good intentions or desires."という言葉を残している。

有名な使用例など

マルクス著『資本論』第1巻第3編第5章第2節「価値増殖過程」

俗流経済学に明るい資本家はおそらく云うであろう、――自分は、自分の貨幣をより多くの貨幣たらしめる意図をもって投下したのだと。
だが、地獄への道は善き意図をもって舗装されている。彼は同じように、 生産することなく金儲けをする意図をもちえたのである。
(資本論第1巻第3編第5章第2節、注釈14がついている部分)

※これは文脈上は、通常(A)と解釈するのが一般的だろうが(B)、つまり「資本家が善き意図を”途中で放棄”⇒道を善意で舗装し/生産しない金儲けに堕落した⇒地獄の道へ向かった」とも解釈できなくは無い?



また、レーニンの著書にも使用例があるため言葉の起源をレーニンとする意見があるが、レーニンが生まれたのは資本論が発行された1867年から3年後の1870年のため起源にはなり得ない。
その他にダンテ著『神曲』という説もあるが、本文中に原文は見つからず、地獄の門に書かれた一文「汝等こゝに入るもの一切の望みを棄てよ」からの類推(「地獄の入り口の門で全ての望みを捨てる」→「入り口、つまり地獄の道には捨てられた多くの望みが落ちている。」)によるものと考えられる。

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