「大原御幸」や「芭蕉」のような金春禅竹(1405-1470?)の作品が好きになって、彼の孫、禅鳳(1454-1532)の芸論があることを知って『古代中世藝術論』所収の「禅鳳雑談」だけを抜き出して読んでみた。上・中だけで下は何処なのだろうか。解説(守屋毅による)ではそのことは触れられていない。 貴族や寺社だけでなく、当時から既に「坂東屋」とか町屋の素人の旦那衆との交流が盛んであったということだ。各巻奥書も「藤右衛門尉聞書」とありこれも素人弟子であろうことしか分からないらしい。 そういった由来のためか、世阿弥の残した「花伝書」のような能についての原理的な考え方よりも、謡や舞についての具体的な指南が…