哲学者(1889-1960)。 旧制第一高等学校在籍中、歌舞伎座に出入りし、脚本演出を手伝う。 東京帝国大学卒業後、ハイデガーに師事する。 帰国後、日本古来の「風土」や東洋の伝統的特質を考察し、独自の思索を展開する。
『風土―人間学的考察』 『自叙伝の試み』 『イタリア古寺巡礼』 『桂離宮―様式の背後を探る』など
一条真也です。今日は、2024年3月11日。能登半島地震の発生から71日目であり、東日本大震災の発生から13年目となるこの日、名著『天災と日本人』寺田寅彦著・山折哲雄編(角川ソフィア文庫)を紹介いたします。「寺田寅彦随筆選」というサブタイトルがついています。著者は、1878年-1935年。東京生まれ(高知県出身)。熊本の五校で夏目漱石に英語を習う。東大物理学科を卒業し、ヨーロッパ留学後、東大教授。理化学研究所、東大地震研究所の研究員としても活躍。物理学者、俳人、随筆家。 カバー裏表紙には、「長い時を経て日本列島に築かれた文明の本質を、自然科学と人文学の両面から明らかにした寺田寅彦。その鋭い考察…
『教養は培養である。それが有効であるためには、まづ生活の大地に喰ひ入らうとする根がなくてはならない。 和辻哲郎『偶像再興・面とペルソナ 和辻哲郎感想集』(講談社)』 教養は大切です。 それをどのように培うのかについて示唆されているフレーズです。 一番注目するべきは「根」だと言うのです。 人間で分かりやすくするならば、「腸」という事ですね。 肉体を養うためには、栄養が必要不可欠です。 どれだけ、良いモノを食べたとしても、胃で分解し、腸で吸収しないならば、身になりません。 これは、最近のアレルギーの研究でも、腸環境に注目する傾向があります。 これが、丈夫なら人間的な生命力の基礎は盤石です。 もう一…
NHK Eテレの「ロッチと子羊」をたまに見るが、ためになることが多い。今日は和辻哲郎の考えが紹介されていた。 行為は常にすでに共同的なものであり、自分だけの行為は存在しないということである。失敗も成功も共同行為であり、自分が1番をとったり、賞を獲得しても、自分だけで成し遂げたものではないし、また、1番になれなかったり、賞を取れなかったとしても、自分だけの責任でもない。人間は「じんかん」と読むらしい。 人と比較したり、うらやんだりすることがあまり意味のないことに思えてくる。 ランキング参加中雑談・日記を書きたい人のグループ ランキング参加中知識
厚生労働省ホームページに掲載されている「非正規雇用の現状と課題」の資料には、2010年以降に非正規雇用の増加が続いていることが記載されています(下記)。 出典:正規雇用労働者と非正規雇用労働者の推移(厚生労働省の報告書より)この資料と同じく、労働者の平均給与の推移をみると、やはり2010年頃を境として、平均給与がガクンと落ちていることが分かります。 出典:平均給与(実質)の推移(厚生労働省の報告書より)このことから、非正規雇用が増えたことで、労働者の給料が上がらなくなり、その結果、日本経済全体が低迷していると読み解くのが自然だと思います。わたしは非正規雇用そのものを悪い雇用とは思っていません。…
引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 三島由紀夫『文化防衛論』ちくま文庫 (2006) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "しかるに世間・世の中という言葉は、右のごとき社会の意を現しつつ、なおその上に古い伝統に従って何らか場所的なもの、絶えず推移するものという意を含んでいる" P37『人間の学としての倫理学』 三島由紀夫 "少し長くなりますが私の法秩序に対する考えを簡単に申しますと、私はこれからの日本にとってあぶない考えが一部にあると思う。それは秩序のためならイデオロギーなんかどうでもい…
(1) 「日本人の精神風土」を基準とする賃労働者への不信感の表明 黒田寛一は『実践と場所第一巻』(こぶし書房)で、「賃労働者としての日本人も、日本人らしさのようなものを喪失して無表情になり、日本人の精神風土とはおよそ無縁な存在になりさがり、彼らの感情も情緒も情動も干からびたものになっている。」(黒田前掲書572頁)と書いた。疎外された労働を強いられている労働者が、たとえばコールセンターで顧客からの理不尽なクレームに対応させられ、あるいは秒単位で作業効率を計測される倉庫作業で疲れ切り、何も考えずにひとりになりたいと思う彼、彼女らが、「無表情」でいてはいけないのか。むしろ、黒田はかれらの無表情の中…
読んだ本 引用元:版元ドットコム ゲーテ『ゲーテ全集 13 新装普及版』潮出版社 (2003) 高橋和巳『我が心は石にあらず』河出文庫 (2017) 三島由紀夫『文化防衛論』ちくま文庫 (2006) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 三作目の小説を本格的に書き始めた。 一作目と二作目を繋ぎ合わせ、物語を再構成していきたい。 ベンヤミンが「力は即興にこそ宿っている」と書いていた。即興といえば、個人的にはフリースタイルラップ(即興ラップ)に最近魅了されている。暴言も多いが、勝ち残っていく人たちが紡ぎ出す言葉には力を確かに感じ…
76 古代の日本において尊ばれた、神や他人を欺かず偽ることのない心のありようを、漢意という。 ✕「清き明き心」。漢意は国学で否定された外来思想。 77 古代の日本において見られた、自然物や自然現象すべてに精霊が宿るとする信仰を、神仏習合という。 ✕「アミニズム」と言う。神仏習合は、仏教の中に日本の神々が融合され、一つの信仰体系として再構築されたたことを言う 78 古代の日本における、山川草木などのすべての自然物に霊魂が宿るというアニミズムの思想があり、この思想は、社会秩序を重んじるものであり、これを乱す行為を罪や穢れとして忌み嫌った。 〇 ケガレを忌み嫌う → 祓い・禊が求められることになる。…
比較ワイン文化考教養としての酒学麻井宇介 著中公新書昭和56年5月15日 印刷昭和56年5月25日 発行 (1981年) ワイン仲間が読んで興味深かったという話をしていたので、図書館で借りてみた。1981年の本で、かなり年季が入っている。書庫の本で、かつ、図書館圏内で「1冊」とのシールが貼ってあった。 そして、なんとまぁ、、、、こんなの初めてだわ、、、ってくらい、書き込みが、、、。かぎかっこや、傍線が沢山、、、、。多分、鉛筆。時には、文字の丸囲みも。でもなぜか、薄茶色に日焼けしたページに鉛筆の線は嫌な感じがせず、あぁ、誰かもこの本を興味深く読んだんだな、、、と、書き込みをした人にちょっと親近感…
日本の風土とわたし 風土は人の心や性格や、人と人の関係のあり方に深くかかわってきます。 人々が暮らす共同体では、長い年月をかけて知恵を出し合って社会を作ってきたわけで、その知恵が人が使う言葉に表れてくるのは当然だといえます。 「目には目を、歯には歯を」とは、人が誰かを傷つけた場合、その罰は同程度のものでなければならない、もしくは相当の代価を受け取ることでこれに代えることもできる、という意味です。 では、殺された場合はどうするか?というと、本人はもういないので、代わりに主として身内が相手を殺すということになります。 江戸時代には、殺された武士の身内の仇討という形で、義務としての報復がありました。…
日本哲学入門 (講談社現代新書) 作者:藤田正勝 講談社 Amazon 西洋哲学と出会って150年、日本の哲学者たちは何を考え、何を目指してきたのか。日本哲学のオリジナリティに迫る、第一人者による入門書の決定版! 【本書のおもな内容】・日本最初の哲学講義はいつ行われた?・「哲学」という呼び名はこうして生まれた・西田幾多郎の「純粋経験」を知る・経験と言葉のあいだにあるもの・言葉の創造性を考える・人間の生のはかなさと死に迫る・心によって生かされた身体とは・田辺元が生み出した「種の理論」・「自然」という言葉の歴史・和辻哲郎の「風土論」・美とは何か、芸術とは何か・移ろうものと移ろわぬもの・光の世界と闇…
哲学の巨匠、和辻哲郎(1889~1960年)のようなダイナミックな発想で、分野を超えたユニークな著作をたたえる「和辻哲郎文化賞」に、長年アイヌ民族を取材してきた元北海道新聞記者、小坂洋右(ようすけ)さん(62)が選ばれた。学芸員から記者になり、海外での民族調査にも加わってきた。今、伝えたい思いとは。(木原育子) ◆カヌーなどで歴史を追体験、世界観に迫る 「アイヌ民族への偏見やデマは減らないどころか増えている。多くの人にアイヌ民族を知ってもらう機会になればうれしい」。3月上旬、札幌市内。小坂さんが受賞の喜びをそう語った。 アイヌ民族に学び、新法見直しの議論の必要性を訴える小坂さん=札幌市内で 賞…
『批評』(復刻版)合本にて全6巻。原本は昭和14年8月創刊、山坂あって最終号は昭和20年2月発行。文芸批評の同人雑誌だ。復刻版刊行にさいして、総索引や解説を付して、歴史研究の一次資料たるの便宜が整えられた。 「山坂あって」というのは、同人雑誌維持の苦労を味わった者であれば容易に想像がつくはずの、窮境やらゴタゴタによって、間遠になった時期もあるという意味だ。しかも窮屈な軍国主義下であり、戦時下である。同人各個の身の上にも身辺事情にも、苦境異変数えだしたら切りがあるまい。徴用された者も、病気療養した者もあったろう。姿を隠さねばならなかった者すらあったかもしれない。むしろよくぞここまで、この雑誌が発…
・ ・ ・ 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。 ・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・ 戦国時代最大の危機は、中世キリスト教会・イエズス会修道士会による日本に対する宗教侵略であった。 ・ ・ ・ 2020-05-10 ⚔37)─1─徳川幕府は世界の三流国化で貧しくとも平和と安定を達成した。~No.159 2020-08-13 ⚔37)─2・A─徳川家康の田舎的国防策は現代の国際的国防戦略とは違う。~No.160 2023-12-19 ⚔37)─2・B─徳川家康は正統皇室と伝統祭祀が永く存続する事を願っていた。~No.160 2023-12-21 ⚔38)─2・B─開明…
曇りの水曜日。寒い。 仕事をしたら夕方には眠くなった。あまり体力が続かない。 出隆の自伝にはたまに和辻哲郎が出てくるのだけれど、売れっ子学者としてではなく、たいていは大学で苦戦する人として語られる。大学時代の同級生は優秀なお金持ちの「紀尾井町の連中*1」こと岩下壮一と九鬼周造でとてもかなわないと思わされ、若手時代は藤岡事件の発端となる論文を発表して大騒動を引き起こし、京大に着任するときは日本史の研究者などからかなり多くの反対票を入れられ、留学中はホームシックになる。京大から東京大学の倫理学の教授になったときも、実際は給料が二級も下がるうえに名誉教授の称号がもらえなくなるという「左遷的転任」で、…
北九州市から新幹線で隣となった画家の三反さんと語り合いながらの旅となった。 ーー 京都駅で待ち合わせた妻と合流。 東寺。公開されていた五重塔を見学。 御影堂。司馬遼太郎が京都での待ち合わせに使った場所。 『国宝 東寺 空海と仏教曼荼羅』を購入。 以下、空海について。 空海「物の興廃は必ず人に由る。人の昇沈は定めて道に在り」 空海(くうかい、宝亀5年(774年) - 承和2年3月21日(835年4月22日))は、平安時代初期の僧。弘法大師(こうぼうだいし)の諡号(921年、醍醐天皇による)で知られる真言宗の開祖である。 高野山をひらいたのが空海43歳の816年。それから1200年余。空海は835…
編集 3月1日誕生日の全国35万人の皆さんおめでとうございます (拙句)母子草その傍の優しき父 雅舟 【花】ハハコグサ(キク科) 【花言葉】 いつも思う優しい人 【短歌】母子草その名教えし一瞬の母のない子の表情を忘れず 養護施設に預けられた子供たちと、庭掃除をしていたときのことでした。花の名前を聞かれ「母子草」と教えました。その時、あの子の見せた硬い表情を忘れません。 【季語】 母子草 父子草 ごぎょう(春の七草) 【俳句】 母子草母逝きてより身近なり 神田 豊子 猫の眼の高さに咲けり母子草 西園寺明治 我ら知らぬ母の青春母子草 寺井 谷子 【三行詩】優しい人は誰も「母」なのか 心の海に溺れて…
ここでは、本ブログで全集に触れている記事へのインデックスを作成します。 リンクがない項目は、将来記事をつくる予定です。 なお、個人名を冠した全集については、当該人物の姓の五十音順で並べます。 【あ】 ・『アインシュタイン選集』(全3巻、共立出版)・『アウグスティヌス著作集』・『安部公房全集』(全30巻、新潮社)・『ベッカー版アリストテレス全集』・『新版アリストテレス全集』(岩波書店)・『ハンナ・アーレント批判校訂版全集』
趣のある看板を訪ねて、歩き始めています。 今回は、京都市の三条通の一本北側の道である、姉小路通。 京の通り名数え唄にある、「丸、竹、夷、二、押、御池、姉、三、六角・・」に出てくる「姉」ですね。 姉小路通は、東は高瀬川にかかる姉小路橋から始まります。 ちなみに通り名は、「あねこうじ」とも言われますが、「あねやこうじ」と呼ばれることが多いようです。 姉小路橋の北西角には、「従是西 徳川時代対馬宗氏屋敷跡 付 桂小五郎寓居跡」の碑が建っていました。 西へ歩き、河原町通を越えます。 最初に出会ったのが、変体仮名で「生楚者゛」と書かれた切り文字看板。 「きそば」のお店のようですが、明らかに営業してはいま…
なんかここで出てきたようだが。 急に具合が悪くなる 作者:宮野真生子,磯野真穂 晶文社 Amazon wikipedia:マルティン・ハイデッガーがなんか言ってるそうだ:『死は確かにやってくる、しかし今すぐというわけではない』*1 現代医療の現場は、確率論を装った《弱い》運命論が多い wikipedia:エビデンスにもレベルがあるそうで:研究デザインの種類とエビデンスレベル | セラピストプラス | 医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報 医療者が「患者の意思を尊重」という時、その患者の意思の中に医療者の意思が相当に組み込まれている 「(がん*2が)治る」ことと「がんが治らない」ことの間には…
芥川の切支丹物である『るしへる』(1918)に「七つの恐しき罪に人間を誘さそう力あり,一に驕慢(きょうまん),二に憤怒(ふんぬ),三に嫉妬(しっと),四に貪望(とんもう),五に色欲,六に餮饕(てっとう),七に懈怠(けたい),一つとして堕獄の悪趣たらざるものなし。」(青空文庫)とある。人間を誘う罪を7つあげ,その1番に「驕慢」を挙げている。これは,戦国武将の多胡辰敬が書き残した家訓(『辰敬家訓』)の1つである「身持ちが身の程を超えれば天罰を蒙る」と同じであろう。「身持ち」とは日常の身の処し方のことである。この教訓を和辻哲郎(2024)は「埋もれた日本」というエッセイで「これはギリシャ人などが極力…
2023年10月7日、パレスチナの支配勢力ハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けて武力衝突が勃発した。ハマスはイスラエルの都市にロケット弾を撃ち込み、多数のイスラエル民間人を殺傷・拉致した。これに対してイスラエルはガザの北部から南部へと激しい空爆と市街戦を展開している。一時は人質の一部解放や数日間の停戦などが実現し、事態が幾分改善に向かうに思われた場面もあったが、現在でもイスラエルはハマス(もはやパレスチナ?)殲滅の方針を堅持しており、激しい戦闘を続けている。 ロシアのウクライナ侵略に加えてガザで紛争までも起こり、テレビで日常的に戦況を耳目にするにつれて、戦争が身近に感じられる時世になった。僕と…
・ ・ ・ 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。 ・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・ 日本哲学は日本民族の独自の哲学であって、中国哲学や朝鮮哲学とは全然違う。 日本には、哲学や思想はあるがイデオロギーはない。 ・ ・ ・ 2024年1月25日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「西田幾多郎に田辺元、三木清…日本の哲学がギリシア哲学、フランス哲学に負けていない「意外な理由」 哲学という言葉でどのような印象が浮かぶだろうか。どこか難解で、複雑な思考を要するものという印象を持つ方が多いように思う。 近年では哲学や文学のような人文学の分野よりも、法学や経営学に代表…