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吉野葛

(読書)
よしのくず

谷崎潤一郎の作。初出:昭和6年1月〜6月「中央公論」
関西に移住して数年、日本文化の伝統が深く沈殿した上方の水になじんだ谷崎が、吉野に旅行したりして、入念な準備のもとに執筆した作品である。
谷崎は、含蓄のある、おぼろげな描き方が日本の古い物語の伝統であり、その手法を現代に生かしたいと「陰翳礼讃」で書いているが、この作品はそうした主張を実験したものであり、みごとに完成している。
参照「読書への招待」旺文社

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