よしもと・たかあき(1924〜2012) 詩人、文芸評論家、思想家。1924年(大正13年)11月、東京・月島生まれ。東京工業大学電気化学科卒業。主著に『転位のための十篇』『固有時との対話』『共同幻想論』『マス・イメージ論』ほか。 名前の『隆明』は本来は「たかあき」であるが多く「りゅうめい」と呼ばれる。小説家・よしもとばなな(吉本ばなな)は次女。 数年前、伊豆で海水浴をして溺れかけた。 2012年3月16日、肺炎のため死去。
『批評』(復刻版)合本にて全6巻。原本は昭和14年8月創刊、山坂あって最終号は昭和20年2月発行。文芸批評の同人雑誌だ。復刻版刊行にさいして、総索引や解説を付して、歴史研究の一次資料たるの便宜が整えられた。 「山坂あって」というのは、同人雑誌維持の苦労を味わった者であれば容易に想像がつくはずの、窮境やらゴタゴタによって、間遠になった時期もあるという意味だ。しかも窮屈な軍国主義下であり、戦時下である。同人各個の身の上にも身辺事情にも、苦境異変数えだしたら切りがあるまい。徴用された者も、病気療養した者もあったろう。姿を隠さねばならなかった者すらあったかもしれない。むしろよくぞここまで、この雑誌が発…
吉本隆明という「共同幻想」 呉智英 筑摩書房 / 2012年12月7日発売 吉本隆明という「共同幻想」 作者:呉 智英 筑摩書房 Amazon 吉本隆明という「共同幻想」 (ちくま文庫 く 27-3) 作者:呉 智英 筑摩書房 Amazon f.2024/1/26p.2012/12/13 吉本を読んでなくても面白い! 吉本を読んでなくてもよく分かる! 吉本隆明。戦後最大の思想家? 本当だろうか?「学生反乱の時代」には、多くの熱狂的な読者を獲得し、少なからぬ言論人や小説家が多大な影響を受けた。 だが、その文章は「正しく」読み取れていたのだろうか。その思想は「正しく」理解されていたのだろうか。 難…
最近、本を読む時間が激減していることを痛感している。本よりもスマホに手が伸び、そして動画鑑賞。一つ動画を見てしまうと、関連動画が次々現れ、ますます深みに入ってしまう。以前は、年間40冊、週あたり1冊というのが目標であり、自分なりのペースだった。読み終えた後は、手帳に書籍名とワンフレーズ感想、そして◎○△で自分なりの評価も書き残していた。週末や寝る前のひとときが読書タイムだった。カバンの中やベッド脇にはいつも読みかけの本が入っていた。速読などできないので、読み終えるのに結構時間もかかった。 今も、基本的に本は好きだし、読みかけの本は直ぐに手の届くところに置いている。しかし、とにかく1冊の本を読み…
若き日の一時期、なんとかして理解しようとムキになってはみたものの、容易には歯が立たなかった本というものがある。今想えば、肩の力を脱いて、平易に読めばさほどの本でもなかったものを、未熟ゆえにそうはできなかったという苦い思い出である。それもこれも手遅れだ。再読もしくは参照の機会ありそうなものだけを残して、おおかたを処分する。 吉本隆明については、初期評論からは『藝術的抵抗と挫折』『高村光太郎』『言語にとって美とは何か』(全二巻)のみを残す。また『源 実朝』『最後の親鸞』を残す。他は出す。『情況』のような時局的発言もあったが、拙宅内のどこに収納したものか、今即座には出てこない。見つかったら順次出す。…
"> ">僕の99%は過去の時間で出来ている。当然だろう、今、いるこの瞬間もすぐ過去になり、自分の未来の時間との接点は、ほんのわずか。99.99%は過去の時間で出来ている。歳も60も過ぎ、残された時間も少ない。 例えば20歳の人でも彼や彼女の思考のすべては、99.9%過去の時間の集積で完成している。ただ彼らには、これから蓄積されるであろう、数十年分の時間の固まりへのアクセスが許可されているという事なのだ。 僕ら、オヤジ達にはそのアクセスできる時間の固まりが、縮みはじめたゴム風船のようにいくら息を吹き返しても全然膨らまないのだな。結果、過去に膨らました、幻想の時間を旅することになる。 先月は40…
田舎に住んでいると「移住・定住促進」という言葉をよく耳にする。私自身は論理的に考えて,私の住む町だけが人口を増加させることはできないという意見を持ち続けている。けれどそんな考えはなぜか少数だ。先日,仕事で東京から来られた方がこの話を耳にして,「人口って増えたほうがいいのですか?だとしたらなぜですか?」と問われ,ハッとした。逆説的に考えてみることは何か大きな方針を決めるときには大切なプロセスだけど、忘れていることも多いと痛感した。 今やインターネットを使わない日はない。おそらく使わない人もほとんどいない。誰もがネットニュースを見て,SNSでコミュニケーションを取り,動画で時間をつぶす。そんなこの…
新潮文庫1998 対談本で面白いと思うものはほぼほぼないのに、古本屋で見つけたらついつい買ってしまって後悔する。今回も後悔する方の一冊だった。 3人はわかり合っているのかもしれないけれども、読者は置いてけぼり。もしかしたら当の3人だって相手の言っていることが分かっていないのかもしれないと思うくらい。 1998年の本。読んで感じたのは、東日本大震災で日本人の価値観や考え方が大きく変化を迫られたということ。原発や自然について話している部分があるが、分からないなりに違和感を感じた。 印象に残ったのは四季についての話。和歌の世界において早い段階で日本に四季があると規定してしまい、それが今のいままで続い…
カードキャプターさくら(クリアカード編)宮沢賢治原作 狐の母親と子狐 第何話か・・ は良かったですね。 クリアカード編は、YouTubeで、無料はないので、有料サイトで視るか、再放送をテレビで放映するのかを待つしかないですね。 例えば、子孫繁栄、戦後間もない社会では言われていたし。 戦前は、国家(天皇陛下)のために子供を産むことが大義です。 戦後を可成りすぎて・・・。 自由を謳歌する社会には、正義がない 正義を謳歌する社会には、慈悲がない 慈悲(教会)が強すぎる社会には、自由がない 三権分立といいますか。 国会は、政治的な発言 司直は、正義(司法としての大綱)(憲法判断は、最高裁判事の政治思想…
生涯現役 (新書y) 著者 : 吉本隆明 洋泉社 f.2023/8/5p.2006/11/14 from amazon site 内容(「BOOK」データベースより)老いてなお現役であるための決意と覚悟の書!「老い」は、階段を踏み外すように突然訪れる。われわれはこう考えがちである。「老い」は自然にやってくると。だが、黙っていたら老いなんて誰でも同じようにやってくるなんて思っているのは、大いなる錯覚である。「老い」と対峙せず、若さを保とうとするとすれば落とし穴に落ちる。生涯現役であるために、われわれはどんな場所にたてばよいのか?己をめぐる幾多の困難を前に、一度として目をそらさずに発言し続ける著者…
共同幻想とは、複数の人間の中で共有される幻想のことです。日本の思想家である吉本隆明が用いたことで有名となった言葉です。 吉本隆明は、共同幻想を「人間が集団を形成するときに生み出される幻想」と定義しています。家族、社会、国家、民族など個人を超える集団の秩序やそれへの帰属を理解するための観念をいう。 具体的には、次のようなものが共同幻想に当てはまります。 家族友人・恋人職場・学校国家法律企業経済株式組合宗教吉本隆明は、共同幻想は人間の集団生活を維持するための必要不可欠な存在であると考えています。しかし、共同幻想は、時に人間の自由を抑圧したり、暴力や差別を正当化するような役割を果たすこともあると指摘…
総武線新小岩駅南口から歩いて10分くらいの中川の少し手前にある雑貨屋の2階、四畳半一間に半畳の流し付きのアパートに6年くらい暮した。法政大学社会学部に復学した1975年春から、北海道然別湖畔のホテルにバイトに出発する1981年4月末までだ。 大学は5年で卒業した。その後1年丸の内にあった社員50人ほどの貿易商社で働いた。 大学ではあまり授業には出ず、結局単位がなかなか取れなかった。語学の授業は再試験が当たり前、体育の授業は武蔵小杉だかで開講していて、遠方のためなかなか行かなかった。次年度、飯田橋付近の体育館で開講する補講を申込んだが受講者が多くて受講できず、その翌年3年になって受講した。が、ひ…
『ガンダム』における実存とキャラクター 〜その時代背景との影響関係? 私小説的キャラクターの実存性 実存的キャラクターの社会的背景 〜60年代の学生運動 学生運動後と『機動戦士ガンダム』 情報化社会とイメージの実体化 内面のリアリティ 〜実存からキャラへ、似姿から願望へ…? 気になったら読んで欲しい本 安彦良和『アニメ・マンガ・戦争』 絓秀実『増補 革命的な、あまりに革命的な』『1968年』 吉本隆明,大塚英志『だいたいで、いいじゃない』 大塚英志『「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか』 宮台真司『制服少女たちの選択』 『ガンダム』における実存とキャラクター 〜その時代背景との影響関係? 私小…
森永卓郎がすごい。私の表現力ではすごいとしかいえない。 ザイム真理教 作者:森永 卓郎 三五館シンシャ Amazon なぜにこんなに森永卓郎がすごいのかだ。ガンにかかって自分の死期がわかっていらしゃるのだ。 ザイム真理教という思い切ったタイトルもそういうことが影響しているようだ。つまり森永卓郎は命がけなのだ。 昔三島由紀夫は自決した。この件を私は覚えていない。吉本隆明の記述によれば三島由紀夫は死ぬ気だったようだ。つまり命がけで自衛隊の決起をうながした。だが自衛隊は決起しなかった。これは命がけが効果を表さなかったということだ。 そして橋本治の記述によれば自衛隊員からのヤジがひどかったのだそうだ。…
鎌倉FM「理系の森」の第1回をインターネットサイマルラジオで聞きました。鎌倉FMは多摩では入らないので、ウェブ上で全国のFM放送局が参加する同時配信(サイマル)プラットフォーム。 スムーズに会話ができていたので、まあまあかな。 再放送は18日(月)の19時半から。 鎌倉FM - JCBAインターネットサイマルラジオ|コミュニティエフエムのポータルサイト (jcbasimul.com) 2回目は来週、3回目は再来週の土曜日の16時半から。だんだん、面白くなっていくはず。 ーーーーーーーーーーーーー 向田邦子直木賞受賞作品の『思い出トランプ』をオーディブルで聴きました。 人間の弱さ、ずるさ、後ろめ…
市井の片隅に生まれ、そだち、子を生み、生活し、老いて死ぬといった生涯をくりかえした無数の人物は、千年に一度しかこの世にあらわれない人物の価値とまったく同じである。 「カール・マルクス」『吉本隆明全著作集12』より 高峰秀子の養女になった斎藤明美サンは、高峰に会ったときに「人間には上・中・下がある」という持論をぶつと、ひとこと「そうよ」と即答されたという。 そのとき生まれて初めて自分の意見を肯定してくれる人に出会えた、と思ったそうだ。 自分は、吉本隆明と高峰秀子(斎藤明美)は、どちらも正しいと思う。 (ちなみに吉本と高峰は共に1924年生まれの生誕百周年) すなわち、二つの命題は矛盾しない。 ち…
お釈迦様の名言集について お釈迦様の名言集 生きる指針となる言葉を求めて 人生は喜びと苦しみに満ち溢れています。私たちは皆、幸せを求め、苦しみから逃れようと生きています。しかし、人生の真の幸福とは何か、苦しみから解放される道はどこにあるのでしょうか? 2500年以上前にインドで生まれ、仏教を開いたお釈迦様は、人生の真理と苦しみからの解放について多くの言葉を残しました。彼の言葉は、現代でも多くの人々に深い影響を与え続けています。 この名言集では、お釈迦様の言葉を厳選し、人生の指針となるような言葉を紹介します。 お釈迦様の言葉は、私たちに生きるヒントを与えてくれます。彼の言葉を通して、自分自身を見…
今から思うといままでいろんなことがうまくいかなかったのは当然だった。自己像セルフイメージが「自分はダメ人間」だったからだ。基本OSだそうだったと言ってもいいし既定値がそうだったといっても良い。繰り返し書いているがこれは事実の問題ではなく認識の問題だ。 ネットでからんだだけだが尊敬している加藤秀視もやはり認識を問題にしている。 自分を愛する技術 作者:加藤秀視 徳間書店 Amazon 私の話でいうとガンバッて結果を出すことに固執している時期が長かった。でもガンバッて結果を出したとしても基本OSが「自分はダメc人間」であることにはかわりはなかったのだ。だから基本OSを変更する必要があった。でも基本…
鳥山明の色紙 1980年 鳥山明の色紙 2008年 定常宇宙論とビッグバン宇宙論 ▶ ドラゴンボールの「天下一武道会」以降、人気と物語のインフレーション(膨張)に歯止めがきかなくなった鳥山明は、少年ジャンプの編集長宛の年賀状に毎年、「今年こそは連載終了させてください。」と書いて送っていたそうだ。 その頃は生活費は十分あっただろうし、そもそも漫画家や詩人や将棋指しは紙と鉛筆、将棋盤と駒があれば趣味を楽しむのにお金がかからない。そもそも彼の作風は こういう表面張力の円みを帯びたガバナンス(万能性)があるので、吉本隆明がいう「対幻想」が「共同幻想」に拡散して、パブリックドメイン(公共財)といえばきこ…
当然のことだが、誰もが初めは素人。ただ、始めた途端、行き着いたかのような人も。いずれにせよ、気づいて人は変化をしていく。仮に熟練しても素人の感覚を忘れていいのか、どうか。つながっていくために。※太極拳の師匠が言っていた。「下手なほうがいいのです」 理由は、どこにあるのか?「すぐに上達してしまう人は、やめてしまうから」 ▲『富士さま』(写真)先日の富士さま。「へえっ」と、「スゲッ」の両方の感覚が同時に訪れた。しばし、嬉しく呆然と。「写真を撮るかな」 www.youtube.com【読んだ/今日も少しだけ】 想い出したことがある。 父親の納骨式のときのことだ。 老いた檀家総代の親族が、墓場で立ち小…
1972年5月、国文社から刊行された宮城賢(1929~2008)の第2詩集。装幀は安達三男。著者は熊本県八代郡氷川町生まれ。 私家版処女詩集『亡郷歌』を出してすでに七年の歳月がすぎた。二百部刷ったその小詩集は、この新詩集と交替するかのように、その最後の残部が私の手もとからつい最近翔び立っていったばかりである。まずこのことを私は喜ぶものである。 その私家版が詩の私道に人知れず置かれた小さな道標であったとすれば、このたびの詩集は詩の公道にいささかの含羞をもって打込まれるわが最初の里程標ということになろうか。 この詩集に集めたもののうち『亡郷歌』は前記私家版のままに残し、『考現集』および『絵のない木…
結局自分はこういう人生だったのかなとさっき思った。狂一日ずっとブログの文章を書いていた。そして気がついたらもう夕方の6時だった。 吉本隆明が「10年いっちょ前説」を唱えている。 ひきこもれ <新装版> ひとりの時間をもつということ (SB新書) 作者:吉本隆明 SBクリエイティブ Amazon 吉本の10年いっちょ前説のポイントは身体だ。吉本は著述家だ。著述家でいうと「10年物書きをやっていると腰が悪くなる。そしてその頃に物書きで食べていけるようになっている」。これが吉本の10年いっちょ前説だ。 私が午前中から文章を書いていて(’途中タバコを吸ったりご飯を食べたりしたが)気がついたら夕方の6時…
⭕️ 2017年の雪アートにて。まつだい農舞台のカバコフの作品がある棚田の斜面にて。久しぶりに試みました。夕方で雪面が凍って固かったことを記憶しています。 この斜面に誘発されて何人かの方が雪のボディスタンプ試みていました。数年後に亡くなられたHさんも「一度やってみたかった」と言って身を投げ出してその跡を撮影して満足した様子でした。 ⭕️ 急に思い立って明日見に行くことになりました。 ⭕️ 今日の朝日新聞より 「ことばが伝わるすぎている」との言葉に共感しました。 また政治家関係、芸能、スポーツなど空虚なお決まり言葉が垂れ流しされています。 最近、いくつかの言葉があれは生きて行ける。と考えるように…
晴。 未明起床。 ●オカタケの「ふくらむ読書」【22】パーフェクトデイズ |春陽堂書店 よい紹介で、『PERFECT DAYS』を俄然観に行きたくなる。ただ、田舎なので、近くの映画館で上映していない。 スーパー。いい天気。 昼。 一昨日古いメガネが壊れたことは既に書いたが、外出用メガネの度が強すぎて、パソコンの画面を見たり、本を読んだりするのがむずかしいことが判明した。これでは不便なので、室内用のメガネを買いに、イオンモール各務原のキクチメガネへ行ってくる。前のメガネももっていって測定してもらったが、あれでも結構見えるらしかった。レンズの傷がひどかったということか。簡素なフレームとふつうの(?…