17世紀頃に福建人が移民して来る以前から居住していた、台湾の先住民族の呼称。台湾政府(中華民国)の定める中華民国憲法により、「原住民族(拼音: yuánzhù mínzú , 英語: Indigenous Taiwanese / Taiwanese aborigine)」の存在が謳われている。現在、彼らは自らのことを台湾に昔から住んでいたという意味で、「原住民」と呼んでいる。漢語で「先住民」と表記すると、「すでに滅んでしまった民族」という意味が生じるため、この表記は台湾では用いられていない。しかし日本語では「原住民」が差別的な意味合いを含むとして、積極的に「先住民」「先住民族」を使ったほうが良いとする考え方もあり、日本のマスコミでは基本的に「原住」を「先住」と言い換えている。
オーストロネシア語族に属する固有の言語を持つ。一般に共通性が高いとされるオーストロネシア語族において、台湾島内の台湾原住民の諸言語は地理的近さにもかかわらずお互いに全く通じないほど離れている。中国系住民が多数派を占める環境下で台湾原住民は相当に漢語化しており、固有の言語を話せない台湾原住民も多いが、現在では台湾の一部地域で公共の場で台湾原住民語が使われるなど、復権に向けた動きもある。
台湾原住民の諸言語は、そのほとんどが「台湾諸語」と呼ばれるグループに含まれるが*1、「台湾諸語」はオーストロネシア語族の中でも古い形を残している言語とされる。現在マダガスカルからイースター島にまで及んでいるオーストロネシア語族は、民俗学的・考古学的根拠とあわせて、台湾を故地とするという説が有力である。