アイヌラックル然り、ポイヤウンベ然り。 アイヌの世界観に於いて、雷神はよく樹木を孕ませ、そして英傑を産ましめた。 前者はチキサニ、すなわち春楡(ハルニレ)の樹木から、 後者はアッツニ、すなわち於瓢(オヒョウ)の樹木から、 それぞれ誕生したのだと、北の大地に伝わる神話は物語る。 (Wikipediaより、春楡) 部族によって父(・)の顔はまま変わる。雷神ではなく日の神だったり、歳神とする場合もあるが、母だけは絶対に変わらない。勇者は必ず、特定の樹木より生ず。 民族学者に言わせれば、これは原始人類が火を手にするまでの最も露骨なメタファーだそうだ。落雷は山火事の原因(もと)である。山火事こそは我らの…