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叙述トリック

(読書)
じょじゅつとりっく
  • ミステリ小説において、文章上の仕掛けによって読者のミスリードを誘う手法。具体的には、登場人物の性別や国籍、事件の発生した時間や場所などを示す記述を意図的に伏せることで、読者の先入観を利用し、誤った解釈を与えることで、読後の衝撃をもたらすテクニックのこと。
  • 叙述トリックを用いる際、虚偽の事柄を事実として書くことはアンフェアとして斥けられる。このため、客観的な記述が求められる三人称よりも、語り手の誤認や詐術が容認される一人称が用いられることが多い。また、手記という形をとる作例も少なくない。
  • 通常のミステリ作品におけるトリックは、犯人が探偵や警察の捜査を撹乱するために用いるものであり、物語の中で完結した形を取る。これに対して叙述トリックは、作者が読者に対して用いるもので、物語とは無関係に成立することが多い。
  • 叙述トリックは、もともと本格ミステリのテクニックとは看做されておらず、邪道とする意見も多かったが、新本格以降の国産ミステリでは、代表的な手法であり、ベストセラーとなった作品も多い。

代表例(ネタバレに注意)

アガサ・クリスティ『アクロイド殺し』 アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
アントニー・バークリー『第二の銃声』 第二の銃声 (創元推理) (創元推理文庫)
フレッド・カサック『殺人交叉点』 殺人交叉点 (創元推理文庫)
リチャード・リーニィ『心引き裂かれて』 心ひき裂かれて (角川文庫)
辻真先『仮題・中学殺人事件』 仮題・中学殺人事件 (創元推理文庫)
綾辻行人『十角館の殺人』『どんどん橋、落ちた』 どんどん橋、落ちた (講談社文庫)
我孫子武丸『殺戮に至る病』 殺戮にいたる病 (講談社文庫)
折原一『倒錯のロンド』 倒錯のロンド (講談社文庫)
東野圭吾『仮面山荘殺人事件』 仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)
筒井康隆『ロートレック荘事件』 ロートレック荘事件 (新潮文庫)
殊能将之『ハサミ男』 ハサミ男 (講談社文庫)
歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』 葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)
貫井徳郎『慟哭』 慟哭 (創元推理文庫)
乙一『GOTH』 GOTH―リストカット事件
伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』 アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
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