生物の二大分類の一。真核生物の対義語。核膜を持たず、したがって明確な輪郭をもった細胞核の見られない細胞からなる生物のこと。 真核生物の遺伝子は細胞中の「核」と呼ばれる場所に収められているが、原核生物のそれは核膜による保護を受けず、細胞中にそのまま転がっている。 単細胞の生物であり、かつ、その細胞中に複雑な構造も持たない。よって真核生物よりも原始的な生命であると考えられている。
3ドメイン説によれば、さらに「真正細菌ドメイン」と「古細菌ドメイン」に分けられる。
突如として脱線し始めた生物の分類シリーズ、話は大きなグループから少しずつより細かい区分けに移行しており、とはいえまだ事実上一番上の分類と言える「界」まで見た所で、前回は五界説や六界説という現在主流で考えられている主張を見ていました。 多少のアレンジというかマイナーな分け方はある感じでしたけど、改めておさらいしておきますと、基本的には現在の生命科学(生化学・代謝学・遺伝学・分子生物学・進化学などなど、様々な要因を総合して)の知識では、やはりまず大きく分けて、 「細胞の中で遺伝子DNAを格納している核に膜があるかないか」 の点で一番大きく「原核生物・真核生物」の2ドメインに大別され、(まぁ原核生物…
前回の記事では「対決!みんな集めて重さ勝負」を、生物分類の最上級クラス「界(kingdom)」の各グループで見ていたわけですが、結果はまさかの、どう考えても地球の覇者と呼ぶに相応しい我々人間を代表とする動物界(Animalia)のマス(重量)は断トツ最下位という、「代表面しているのは、自分だけであった…」という大変恥ずかしい話を繰り広げていました。 …いや別に重ければ代表って訳でもないし、そもそも「誰も動物が覇者とか地球の代表とかそんなこと思ってなくない?」って話だったかもしれませんが(笑)、まぁ勝ち負けはともかく、人間の総重量は、まさかのウイルスの総重量よりも小さい(人間0.06ギガトンに対…
シリーズ生物分類学、前回は全生物を最も大きく分けた時のグループである「ドメイン」について、一番聞き慣れない古細菌というものをメインにごく簡単に触れていました。 改めて、最も一般的な分け方である三大ドメインとして挙げられるのは、「細菌・古細菌・真核生物」であり、まぁ個人的には正直、 「細菌も古細菌も、どっちも核に膜のない原始的なクソザコ生物だから、そんなのわざわざ分けずに『原核生物・真核生物』の二大ドメインでもよくない? …っていうかそれ以上に核の膜とか知らんし、『ヒト・それ以外』の2グループでもいいじゃん」 …なんて思えますけど(笑)、まぁ分子レベルで生物を研究する場合、やっぱり「ヒト・それ以…
細菌マイクロバイオームの解析は日常的に行われるようになったが、真菌マイクロバイオームの解析は、頑健なデータベースとバイオインフォマティック・パイプラインの欠如によって、いまだに妨げられている。ここでは、真菌を同定するための分類学的データベース(160万個のマーカー遺伝子)と機能的データベース(340万個の非冗長真菌タンパク質)を組み込んだパイプライン、FunOMICを紹介する。このツールを2,600以上のヒトメタゲノムサンプルに適用したところ、地理、身体部位、疾患に関連する真菌種が明らかになった。相関ネットワーク解析により、菌界間相互作用に関する新たな知見が得られた。このパイプラインと2つの最…
前回の記事では、「哺乳類はX(ばってん)、正式には、哺乳綱と呼ぶのが正しいのです」という分類学豆知識を披露していましたが、まぁ日常生活で「ヒトは哺乳綱だからさぁ…」とか言うのはマジでキショすぎるだけなので、普段は知識をひけらかしたい気分をグッとこらえて「哺乳類」と呼ぶようにしましょう…という大変有用なアドバイスなんかもさせていただいていました。 (…って、言う程そんなアドバイスしてませんでしたし、そもそも日常会話で「哺乳類がどうこう」言ってる時点で何かキモイので(笑)、そんな話してる時点で詰んでます、やめましょう…って方がより適切なアドバイスかもしれませんけどね(笑)。) そして、分類学関連の…
またまた気まぐれに脱線しているシリーズに入っていますが、ふと触れてみた「シー・エレガンス」というゴージャスな名前(の割にただのミミズ(笑))の生物に端を発し、前回はおなじみの動物の学名(ヒト=ホモ・サピエンスみたいな、分類学で定められた、生物種特有の名前ですね)をちょろっと垣間見ていました。 まぁ時間がなかったのでほとんど触れませんでしたけど(レッサーパンダなんかは触れていましたが)、「おなじみの動物」として参考にしていた人気動物ランキング、あれも結構意外というか、個人的な印象とは全然違って面白かったです。 せっかくなので、記事水増しを兼ねて、学名と英語名とゲノム解読年のリストの再掲…だけだと…
心配する必要がないのに心配するのが老人の本性で、その一つが「花はなぜ咲くのか」への解答。花が咲く理由は、風にそよいだり、虫をおびき寄せたりすることによって、花粉を遠くへ運んでもらう必要があったからというのが常識的な解答。ダーウィニズムに従えば、風や虫という環境要因をうまく繁殖に利用するような形質を発現する遺伝子は、その集団内でより増殖しやすい傾向にあるから。この二つの文の最初は日常的な表現、次はそれを生物学的な語彙を使った言い換えで、同じことを別の語彙を使って表現したものというのが一般的な見解。でも、最初の文は花粉を遠くに運ぶという「目的」のために必要だと言っていて、花は「花粉を(遠くに)運ぶ…
微生物群集のホールゲノムショットガン(WGS)メタゲノムシークエンシングにより、多様な生態系に生息する微生物の原核生物や真核生物の機能、生理、進化の歴史を発見することができる。その重要性にもかかわらず、微生物真核生物のメタゲノム研究は、WGSデータから高品質の真核生物ゲノムを同定し、アセンブルすることが困難なため、原核生物の研究に比べて遅れている。この問題に対処するため、本著者らは、WGSメタゲノミクスデータから真核微生物の核ゲノムおよびミトコンドリアゲノムを復元し、アセンブルするバイオインフォマティクスパイプラインであるEukfinderを開発した。ワークフローの一環として、2つの特殊なデー…
機能的に関連する遺伝子は、特に原核生物において、ゲノム上でしばしば近傍にグループ化されることがよく知られている。この現象が起こる進化的メカニズムは様々であるが、未知の遺伝子の機能を予測するのに利用できる。ここでは、現在利用可能な膨大なゲノムデータを活用した、シンプルで頑健な統計的アプローチを提供する。タンパク質のドメインを機能単位とみなし、問い合わせたドメインのゲノム近傍に有意に多く存在する他の機能単位(ドメイン)を探索することができる。この解析は異なる分類学的レベルにわたって行うことができる。また、非常に近縁な多数の株(例えば病原性株)に焦点を当てることが多いゲノム配列決定プロジェクトによる…
2024年度の共通テストの問題を、分析マニアの元高校生物教師が一問ずつ丁寧に解説していきます。今回は、第1問Aの問1の解説です。
はじめに地球とは、宇宙の広大な舞台の中で、私たち人間を含む無数の生命体が暮らす青い惑星です。しかし、この美しい星がどのようにして誕生し、生命が息吹いたのかについては、常に大きな謎となっています。科学者たちは、地質学、天文学、生物学などさまざまな分野を通じて、この謎を解き明かそうと長年にわたって努力してきました。 このブログでは、地球の誕生から生命の起源に至るまでの、壮大な物語を織りなします。私たちの住む星がどのようにして形成され、初めての生命がどのようにして誕生したのかを、科学的な発見に基づいて、誰にでも理解できるように解説していきます。 宇宙の始まりから地球の形成、そして生命の誕生に至る過程…
2024年3月1日に、QYResearchは「原核生物のDNAポリメラーゼ―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2024~2030」の調査資料を発表しました。本レポートは、原核生物のDNAポリメラーゼの世界市場について分析し、主な総販売量、売上、価格、主要企業の市場シェアとランキングに焦点を当てています。また、地域別、国別、製品タイプ別、用途別の分析も行っています。原核生物のDNAポリメラーゼの市場規模を2019年から2030年までの販売量と売上高に基づいて推計と予測しています。定量分析と定性分析の両方を提供することで、企業がビジネス成長戦略を策定し、競争環境を評価し、市場…
青くないブルーチーズを作る 全体に公開・23時間前 くせになる独特の風味と香りのブルーチーズに生えた青緑色のカビに抵抗感のある方もおられるかもしれません。 ロックフォールチーズ(Roquefort)はもともとフランスのブルーチーズということですが、アオカビ属(ペニシリウム属)のPenicillium roquefortiは、世界中でブルーチーズの製造に使用されている真菌です。ブルーチーズは、この真菌の増殖によって形成される色素胞子によって青緑色になっています。 1月8日のnpj Science of Food誌に、英国ノッティンガム大学のチームがこの色が生じる生合成経路を解明し、風味そのままの…
生き物を仕分けるとなれば、ほぼ誰もが動物と植物に分ける筈です。この反射的な分割が私たちの「常識」なのですが、今の生物分類によれば、まず真正細菌と古細菌からなる原核生物と真核生物に分けられ、その真核生物の中に植物と動物があり、その他に原生生物と菌があります。つまり、科学的な知識によれば、動物と植物は六つの基本クラスの二つに過ぎないのです。それを肝に命じながら、私たちの生命観を植物中心に眺め直してみましょう。 私たちの常識的な動物となれば脊椎動物。脊椎動物は胚発生が終わった時には既に成体とほぼ同じ器官をもっています。ですから、胚発生後に新しい器官がさらにつくられることはありません。でも、植物の発生…
英語の授業を受けるのに困ったので、化学科の学部生が使いそうな英単語をまとめてみました。全部で1557語あります。おおもとの単語リストについては、福岡大学 機能生化研究室サイトの化学英単語を参考にしました。単語の追加、削除、内容の編集を行ったため、なにか問題がありましたらコメント欄かhttps://twitter.com/Dy66thまでお知らせください。 www.sc.fukuoka-u.ac.jp 5'→3' direction 5'→3'方向 ab initio 第一原理 ABS アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂 absolute temperature 絶対温度 absorba…