動産の取引において、動産を占有している者を信頼して取引関係に入った者は、その占有者が無権利者であっても、その動産について権利を取得するという制度。善意取得ともいう。(民法第192条)
商法においても、株券の即時取得が問題となっていたが、株券廃止制度の下では、即時取得は起こりえない。
即時取得が成立するには次の五つの要件を満たす必要がある。
民法第186条1項の規定により、平穏・公然・善意の要件は推定される。
取引行為とは、代表的には売買行為があげられる。
即時取得の立法の沿革として、中世ドイツのゲルマン法(Hand wahre Handの原則)の起因する。
ゲルマン法下においては取引行為は不要とされていたが、日本民法典においては取引行為を要求している。
取引の安全の観点から、取引行為の存在と、善意無過失要件を、要求している。
取引行為要件は、「目的物を単に譲り受けたような人間を、元の所有者を排除してまで保護するのは、妥当ではない」との観点から要求されていると思われる。
権利外観法理と比較すると帰責性を要求していない点、取得時効と比較すると動産に限定されない点・取引行為を要求していない点に、差異を見出すことができる。
ちなみにその物が盗品または遺失物の場合。
被害者または異質者は、盗難または遺失の時より二年間はその盗品または遺失物の占有者から原則として無償で返還を請求できる。ただし、占有者が競売などにより善意で買い受けたときは有償である。(民法第193条、民法第194条)
ちなみに、特別法による規定も存在する。