本棚に、1冊の詩集がある。昭和30年代、日本のチベットと称された岩手県北上山系の山間に暮らした子どもたちの詩である。 時折開いてみては、子どもの目線に感心しながら読み返してしまう。何度読んでも、何年たっても、飽きることがない。 =しんでしまった牛=わたしのうちに牛が七とうもいたのにかわいそうに 1とうしんでしまいました牛の子をなせないで(生めないで)おなかをやんでしんでしまいましたときどき「やさしい牛だったのになあ」とかんがえながらわたしはないていますお母さんと しずかに「ねえ、やさしい牛がしんじまったね」といって二人でないています小2の女の子の詩。電気もガスもない山村の家で、家族と家畜が寄り…