新作の公開記念だとかで、岩井俊二監督の映画『リリイ・シュシュのすべて』が、先日まで動画サイトで期間限定配信されていた。一度見てみたいと思いながら、ずるずると鑑賞の機を逸していた作品だ。約二時間半というかなり長い映画だが、せっかくの好機と思い、時間を見つけて観てみることにした。 中学生の心の闇に迫る内容なので、物語のトーンは終始一貫して鬱々と暗い。いじめの描写などショッキングなシーンも多いため、諸手を挙げて人に勧めるのは少々はばかられる類の映画だが、あまり多くが語られない分、見ようによってはいかようにも解釈できるとても興味深い作品だと思った。さしずめ私は、この映画が思春期の悩める子供たちの姿を限…