工学系の一分野で、入力および出力を持つシステムにおいて、その状態変数ないし出力を自由に制御する方法全般にかかわる学問分野を指す。主にフィードバック制御を対象にした工学分野の学問である。応用分野は機械系、電気系、化学プロセスが中心であるが、ものを操ることに関する問題が含まれれば制御工学の対象となるため、広範な分野と関連がある。
この記事ではPID制御についてまとめます。以下の動画では、PID制御について約8分で解説しています。概要を述べただけの動画ですが、YouTubeでは1.6万回視聴されていて、制御工学チャンネル内でも最も視聴されている動画の一つとなっています。ここでは、ブロック線図の構造や、PID制御器の中身(連続・離散)、設計法、シミュレーションについて触れたいと思います。 youtu.be PID制御とは 制御目的 制御器の内部構造 比例動作 微分動作 積分動作 離散時間系のPID制御 基本的なPID制御器設計法 限界感度法 ステップ応答法 北森法 周波数領域での設計 VRFT, FRIT 非反証制御による…
この記事ではMATLABを用いた制御について画像・動画を交えて説明します。特に、状態フィードバック制御に焦点を当てて説明を行います。MATLABシミュレーションについて説明した動画や関連記事リンクは最下部に置いています。 状態フィードバック制御については以下の記事でまとめています。 >>状態方程式に基づく制御のまとめ 状態フィードバック制御の基礎事項 MATLABソースへのリンク 実行結果 リアプノフの安定判別法 MATLABソースへのリンク クレーンの振れ止め制御 以下のリンクでは、クレーンの振れ止め制御のMATLABファイルを置いています。MATLABソースへのリンク(アニメーション) M…
この記事では状態方程式に基づく制御について1つの記事にまとめます。状態フィードバック制御の個々のトピックの詳細を説明した記事へのリンクは都度貼っています。 状態方程式の基本事項 可制御性と可観測性 可制御性 次数ごとの可制御性行列 可観測性 次数ごとの可観測性行列 同値変換による状態座標の変更 同値変換の前後で保存される性質 状態方程式の同値変換手順 極配置による状態フィードバック制御 状態フィードバック制御と自律系 配置された極と制御性能 スカラシステムの極と応答 極と安定性 極配置と制御性能 可制御正準形の極配置 可制御正準形の制御則と構造 2次の場合の特性方程式 最適レギュレータによる状…
前回、以下の記事のように制御工学チャンネルのリニューアルを行いました。 blog.control-theory.com 今日は、その続編として制御工学チャンネル内で何を変えているかについて書いていこうと思います。 制御工学チャンネルはこちらから www.portal.control-theory.com 今は、Google search consoleで、googleからの検索があるか見ているところですが、今のところほとんどアクセスはありません。新規ドメインに変更後、周知されるためには時間がかかるのかもしれません。 search.google.com また、ページの性能を評価するために、pag…
伝達関数に基づく制御の動画まとめページの紹介です。 www.portal.control-theory.com 制御工学において,伝達関数に基づいた制御は古典制御として教えられており,重要な分野に位置づけられます。PID制御も伝達関数ベースの制御手法となります。リンク内には,140以上の動画があります。 以下のページでは,10本のYouTube動画があり,ラプラス変換やボード線図,ブロック線図などについて解説しています。PID制御のシミュレーション動画も含まれています。 www.portal.control-theory.com 以下のページでは,動画が7本あり,主にPID制御のゲイン設計につ…
制御工学チャンネル(YouTube)の登録者は現時点で7960名です。 →8000名達成です! www.youtube.com 登録者の推移は以下のようになっています。 制御工学チャンネルの登録者推移 おおよそ、年間2000~3000名のペースということで、今年の目標はそれをキープすることで登録者10000人を達成することになります。 すでに、動画本数は390本になり、動画にできるような基本的な制御工学のネタもほぼ尽きてきています。そのようなことから、今後は、動画以外のアプローチを行うか、英語チャンネルに力を入れるかというところです。 10000人という数字は、目指していた数字ではあるので、こ…
今回は、おススメの理工学書について紹介したいと思います!! 今回紹介する書籍はこちら!! MATLAB/Simulinkによるわかりやすい制御工学 作者:昌克, 川田,勝博, 西岡 森北出版 Amazon Twitterでもおすすめの理工学書の紹介をしてます!! 購入した時期 購入するに至った経緯 特徴 こんな方におすすめ まとめ
はじめに P計画 Pythonの数式処理ライブラリSymPyには力学系を取り扱うためのsympy.physics.mechanicsというモジュールがあります(以降,“SymPy Mechanics”とも呼びます)。本ブログでは前回,このSymPy Mechanicsの仕組みを活用して車輪形倒立振子の運動方程式を導出しました。 前回の最後に「次回はシミュレーションとアニメーションを扱う」と宣言していましたが,やはり,(i) 線形制御理論を活用した制御設計のためには線形化による状態空間モデルが必須であるとの思いから,また,(ii) SymPy Mechanicsには運動方程式を線形化する仕組みも…
はじめに P計画 前々回,前回にて台車形倒立振子の運動方程式を導出し,シミュレーション,アニメーション,線形化,最適レギュレータの作り方について書き散らして参りました。本記事以後,いよいよ台車形から車輪形の倒立振子に歩みを進め,運動方程式の導出,シミュレーション,アニメーションについて書いていきます。ただし本記事では紙面(?)の都合上,SymPyにおいて力学系をシステマティックに取り扱うsympy.physics.mechanicsというモジュールを用いた運動方程式の導出に焦点を当て,シミュレーションとアニメーションは次回に譲りたいと思います。 まだまだシミュレーションでしかありませんが,ここ…
はじめに P計画: 倒立振子の思ひ出 筆者のメインPCは11年物のSandy Bridge (Intel Core i7-2600K)を使用した骨董品です。そのHDDの奥底から,はるか昔の実験レポートが出土しました*1。今でも図1のようにMicrosoft Wordで開くことができます。 図1: はるか昔の実験レポートの表紙と最初のページ そう,筆者は過去に台車形倒立振子を触ったことがあったのでした。読み返してみると,非線形な運動方程式としてのシミュレーションはしておらず,ほぼいきなり線形化したモデルから始まっていました。ベルト駆動の台車をガタガタさせながら,鉄の棒を倒立させていたことを懐かし…
こないだのBG3感想日記に書いた「ソリッドで一見しては把握できないようなメカニクスが、実験と調査にたいしてたしかにこたえてくれる感覚」について、まとまらないながらもすこしだけ。 科学と工学 まず、これに類する感覚が述べられたブログの記事を読んだことがあるはずと振り返ってみたところ、あったあった、phi16さんのこの記事だ。 ゲームの話 - Imaginantia 今回の話にまつわるポイントとしては下記だろうか。 「観測と制御」の先にあるのは「知識欲・理解欲」なのかもと思いました。つまりゲームを識ることそれ自体が楽しいのです。 そしてこのためには、「システムとプレイヤーの間の信頼関係」がなきゃな…
3月14日発売の本 3月15日発売の本 3月16日発売の本 3月17日発売の本 3月18日発売の本 3月19日発売の本 3月20日発売の本 3月14日発売の本 因果推論 ―基礎から機械学習・時系列解析・因果探索を用いた意思決定のアプローチ―作者:金本拓オーム社Amazon 理系のための伝わるビジネスコミュニケーション力 ―入社1年目の文章・プレゼン・会話術―作者:堀越智,廣川克也,宮澤貴士オーム社Amazon エネルギー管理士試験[熱分野]徹底研究 (改訂3版)作者:不動弘幸オーム社Amazon 瓜を破る 9巻 (ラバココミックス)作者:板倉梓芳文社Amazon 海が走るエンドロール 6 (ボ…
広島大学においてMSCS2024が開催されます。初日、新幹線で広島に向かいワークショップに参加しました。17~20のMSCSの会期について、雑記記事としてまとめています。 MSCSのページはこちら: MSCS 2024 (sice-ctrl.jp) MSCSについて これまでの発表 今年のプレゼンスライド 教育セッション 参加初日 初日夜めし 2日目に向けて? 参加2日目 2日目夜めし 参加3日目 受賞式 技術交流会 2次会 参加4日目 番外編(教育セッションの盛り上がり) MSCSについて MSCS(制御部門マルチシンポジウム)は今年で第11回です。その前身の制御部門大会が第12回まであり、…
ゼミナール 制御技術入門 「ゼミナール 制御技術入門」内容紹介 「ゼミナール 制御技術入門」目次 「ゼミナール 制御技術入門」Amazonでの購入はこちら 「ゼミナール 制御技術入門」楽天市場での購入はこちら ゼミナール 制御技術入門 インプレスグループで理工学分野の専門書出版事業を手掛ける近代科学社は、2024年1月19日に、近代科学社が著者とプロジェクト方式で協業するデジタルを駆使したオンデマンド型の出版レーベルである近代科学社Digitalレーベルより、梶原宏之氏著書による、はじめてPID制御に触れる人のための入門書「ゼミナール 制御技術入門」を発売した。 梶原宏之Profile 195…
(2つの経済学の可能性を考えます) 1)経済学の課題 経済学が解決すべき課題は、貧困の解消です。 このために、経済成長を最大化する方法を研究してきました。 コブ=ダグラス型関数は、よく使われる生産関数のひとつです。 コブ=ダグラス型関数は次の形をしています。 Y=A*f(K,L) Y = 総生産量(通常は1年の総生産量) K = 資本ストック L = 労働投入量 A = 全要素生産性 ここでは、生産関数は、資本ストックと 労働投入量の関数です。 つまり、生産を最大化するには、資本ストックと 労働投入量を増やす必要があります。 生産関数は、一工場または、一部門の生産をモデル化しています。 複数の…
2024年 合格実績【高校入試】 中3生 全14名の合格校 浦和高校大宮高校蕨高校常盤高校明治大学付属中野高校桐生第一高校栄北高校春日部共栄高校栄東高校 東医コース特待B 栄東高校 東医コース特待B大宮開成高校 先進コース特待開智高校 Tコース1号特待広島商船高等専門学校(国立)電子制御工学科細田学園高校 特進武南高校浦和学院高校S特コース浦和実業高校自由の森学園高校 今年の中3生(全14名)全員が本当によく頑張りました。今年も驚異的な難関合格率となりました。笠原塾には、質の高い授業と充実したサポートがあります。ぜひ1度、体験授業にお越しください。
2023年度クラシックマウス 機体解説記事になります。 今回はソフトウェア編になります。 機体の概要は↓ b4rracud4.hatenadiary.jp
この記事ではRLC回路の過渡現象についてまとめます。本記事の元となった関連動画は最下部に置いていますので、理解のためにそちらもご覧ください。 微分方程式について RLC回路の過渡現象について RLC回路の過渡現象解析 解析手順 RLC直列回路の例 TinkerCADによるシミュレーション実行 [動画]RC回路の過渡現象 [動画]RLC回路の過渡現象 自己紹介 微分方程式について 以下は,過渡現象について説明した動画になります。 youtu.be また、以下は、微分方程式の解法について説明した動画になります。RC回路の過渡現象に触れる前に視聴することをお勧めします。 youtu.be RLC回路…
この記事では状態方程式表現されたシステムの状態フィードバック制御についてまとめます。状態方程式表現されたシステムの最適レギュレータについて説明した動画を最下部に置いています。 なお、状態フィードバック制御の全体像は次の記事でまとめています。 状態フィードバック制御・状態方程式に基づく制御のまとめ 最適レギュレータの状態フィードバック制御構造 最適レギュレータの考え方 最適レギュレータ問題の解 数値例を用いた最適レギュレータの検証 関連動画 MATLABシミュレーションによる最適レギュレータ 関連ページ(最適制御) 自己紹介 最適レギュレータの状態フィードバック制御構造 それでは状態フィードバッ…
本記事では、不安定零点を持つシステムの制御方法について述べます。以下の文献の簡易版です。より詳細について内容を知るためには,以下のリンクからご覧ください。 www.jstage.jst.go.jp 不安定零点 以下が、不安定零点を持つ制御対象伝達関数の一例です。 伝達関数において、零点は分子多項式 = 0 を満たす s であり、一つ目の対象の零点は s = 1 であり、二つ目の対象の零点は s = 1 ± i です。双方ともに実部が正の値を取っています。零点の中で一つでも不安定零点を持つと制御が極端に難しくなります。 不安定零点を持つシステムの実例 制御系を設計では,多くの場合において制御系の…
この記事では状態方程式表現されたシステムの状態推定(オブザーバ)についてまとめます。状態方程式表現されたシステムの状態オブザーバについて説明した動画は最下部に置いています。オブザーバは,観測できない情報を計算機内で観測することからソフトウェアセンサー(ソフトセンサ)とも呼びます。 なお、状態フィードバック制御の全体像は次の記事でまとめています。 状態フィードバック制御・状態方程式に基づく制御のまとめ 状態オブザーバの概要 状態オブザーバの基本的な考え方 オブザーバの立式 関連動画 状態オブザーバの研究 関連ページ(状態オブザーバ) 自己紹介 状態オブザーバの概要 それでは状態オブザーバーについ…
この記事ではメールの書き方についてまとめます。電子メールの書き方について説明した動画や関連記事リンクは最下部に置いています。 電子メールについて 電子メールの基本事項 送信事例 電子メールの利点と注意点 送信者は好きな時刻に送付でき、受信者も都合のよい時間に読むことができる 記録、データが残る 多くの人に連絡することができる(複数の宛先,メーリングリストなど) データ・ファイルを一緒に送付できる 場合によっては読まれない、開かれないことがある 書き方によって誤解を招くことがある 電子メールの書き方に関する動画 参考資料・記事 電子メールについて電子メールは、他者に連絡する手段として広く利用され…
制御工学の授業や参考書で紹介されるPID制御のアルゴリズムは位置型PID制御です。それに対してDCSなどのデジタル制御では速度型PID制御が用いられます。今回は速度型PIDについて解説します。 位置型PID制御 速度型PID制御 速度型PID制御の利点 手動→自動のモード切替時のバンプレス動作が容易に実現できる。 リセットワインドアップ対策が不要。 参考資料 位置型PID制御 基本となる位置型PID制御の出力MVの演算式は以下の通りです。 \begin{align}MV = K_P \left(E + \dfrac{1}{T_I} \int{E dt} + T_D \dfrac{dE}{dt}…