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別天神

(読書)
ことあまつかみ

古事記によれば天地開闢*1の初めに高天原に出現したとされる、天津神のうちでも別格の五柱の神。

  1. 天之御中主神(あまのみなかぬしのかみ):高天原に最初に現れた造物主。*2
  2. 高御産巣日神(たかみむすひのかみ)
  3. 神産巣日神(かむみむすひのかみ)
  4. 宇摩志阿斯訶備比古遲神(うましあしかびひこじのかみ):国が出来る以前の、天地が混沌としている時に生えてきたとされる。(*アシカビ=葦の芽)
  5. 天之常立神(あまのとこたちのかみ)

なお日本書紀の記述による天地開闢は構成が異なっており神名にも違いが見られるほか、多くの異説が収録されている。

『古事記』〜上巻冒頭〜

天地初發之時、於高天原成神名、「天之御中主神」。次、「高御産巣日神」。次、「神産巣日神」 
此三柱神者、並獨神、成坐而、隱身也。
次、國稚如浮脂而、久羅下那洲多陀用幣流之時*3
如葦牙因萌騰之物而、成神名、「宇摩志阿斯訶備比古遲神」。次、「天之常立神」。此二柱神、亦獨神、成坐而、隱身也。 
上件五柱神者、別天神。

書き下し文
天地(あめつち)初めて発(おこ)りし時、高天原に成れる神の名は、天之御中主神(あめのみなかぬし)。次に高御産巣日神(たかみむすび)。次に神産巣日神(かみむすび)。此の三柱(みはしら)の神は、並独神(みなひとりがみ)と成り坐(ま)して隠身(かくりみ)なりき。
次に国稚(わか)く浮きし脂の如くして、九羅下那洲多陀用弊流時(くらげただよえるとき)、葦牙(あしかび)の如く萌え騰(あが)る物に因りて成れる神の名は、宇摩忘阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢ)。次に天之常立神(あめのとこたち)。此の二柱(ふたはしら)の神も亦、独神と成り坐して、隠身なりき。
 上の件(くだり)の五柱の神は別天神。


天と地が初めて別れた時、高天原に生まれた神の名は、天之御中主神であった。次に高御産巣日神、次に神産巣日神が現れた。此の三柱の神は、並独神(性別がない)として生まれ、身を隠して姿を現さなかった。
次に地がまだ脂のように水の上に浮かび、くらげのように漂っているとき、葦の芽のように強い生命力を持って生まれた神の名は、宇摩忘阿斯訶備比古遅神。次に天之常立神。此の二柱の神もまた、独神ととして生まれ、身を隠して姿を現さなかった。
 以上この五柱の神を別天神という。

*1:かいびゃく・・・開き始め。はじまり。

*2:但し、天之御中主神を祀る古社が見つかれないため、中国道教の影響によって作られた神と思われ。日本書紀の最初・国常立尊の方が古いようである。また、文脈からみると、造物主というよりその天地開闢という現象そのものかもしれない。

*3:久羅下那洲多陀用幣流・・・流字以上十字以音

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