2022年発表の本書は、国税調査官出身のフリーライター大村大次郎氏の「世界の歴史・経済論」。もちろん世界を動かしている最大のものは、イデオロギーや宗教、軍事力ではなく「お金」である。その視点から、通常表には出てこない真実がいくつも紹介されている。 面白かったのは、タックスヘイヴン(TH)の黒幕。筆者はこれを英国(勢力)だという。最大の経済大国である米国は、同時にTHの最大の被害者なのだが、英国の老獪な政治力によってTH叩きを果たせずにいる。これはポンドが基軸通貨だった19世紀に英国が作った仕組みで、今でも生き延びている「裏金融社会」なのだ。これを含めて、国内取引中心のウォール街よりも、国際金融…