東南アジア社会史研究者。1946年生まれ。 70年、東京大学教養学部卒業。79年、同大学院国際関係研究科博士課程修了。88年、コーネル大学Ph.D.取得。摂南大学教授を経て91〜93年、インドネシア日本大使館に専門調査員として勤務。帰国後、名古屋大学教授を経て現在は慶応義塾大学経済学部教授。 92年、『日本占領下のジャワ農村の変容』でサントリー学芸賞受賞。著書に『二十年目のインドネシア』『女が学者になるとき』などがある。
朝日新聞がなにやら言いたげです。
インドネシアは本当におもしろい。 その広大な国土面積と民族・文化多様性から一言で国の特徴を表すことは不可能である。 最近はこの魅惑のインドネシアを多角的に理解することに時間を投資している。 今回はインドネシア研究にあたって、実際に読んだおすすめの本を紹介したい。 1.経済大国インドネシア ‐21世紀の成長条件‐(佐藤百合著) 一冊目は何と言ってもこれ。かの有名なアジア経済研究所の研究者でインドネシア大学(国内トップレベル)の大学院で修士・博士を取得された佐藤百合氏による著書。主にスハルトからユドヨノ政権までを経済成長の観点から分析がなされている。 スハルトの開発独裁政権下において、第一次産品の…
共産党を「相談相手」にしている民青(日本民主青年同盟)が出している新聞(機関紙)に「民青新聞」がある。その2024年2月12日号を興味深く読んだ。 というのは、「ASEAN(東南アジア諸国連合)は『反共の砦』として出発したのではなかった」という歴史観が明確にそこ(民青新聞同号)に見出されるからである。 同紙は「東アジアを戦争の心配のない地域へ ASEANの努力に学ぶ」という「論文」めいた特集を「上」「下」に分けて掲載している。しかも同じ号に「上」も「下」も掲載する破天荒なやり方をしている。 あとで述べるけども、彼らが「相談相手」にしている共産党の「しんぶん赤旗」でもASEANについてのこんな詳…
東南アジア関連の本を読んでいて、“インドネシアは一番民主的な国”という評価をみた。 ぼくの記憶の中に「インドネシアでは共産党員が200万人くらい虐殺されていたと思うけど…」という断片が浮かび上がる。 むろん、それは「昔」の話のはずだから、そのままではあるまい。 いったい、あの事件はどういうもので、今どんな評価がされているのか。そして政体や政治的空気はどうなっているのか知りたいと思っていた。 そこで本書を手に取った。 2020年というごく最近に出た本であったが、ぼくは知らなかった。 インドネシア大虐殺-二つのクーデターと史上最大級の惨劇 (中公新書) 作者:倉沢 愛子 中央公論新社 Amazon…
元旦の「しんぶん赤旗」を読んでいたら、志位和夫の東南アジア訪問についてのインタビューが載っていた。 www.jcp.or.jp 日本共産党は安全保障の枠組みとして、「地域協力」を押し出している。同党の綱領では、なかでも東南アジア諸国連合(ASEAN)を「とくに」とわざわざ名指ししている。まあ、毎年の選挙政策や街頭の訴えなどでも必ずと言っていいほど出てくる。 それくらい“激推し”されているASEANではあるが、実はぼくはASEANについてよく知らない。ASEANも知らないし、東南アジア各国についてもほとんど知識がない。 例えば日本共産党は、ASEANの枠組みである東アジアサミット(EAS)を発展…
「アジアは一つ」という岡倉天心の言葉が切取られて誤解され、独り歩きしてしまった噺は有名だ。 東南アジア各国の小説に興味を抱いた時期があった。量においてはインドネシア作家の作品が圧倒的に多かったが、タイ・ミャンマー・ラオス・マレーシア・フィリピンの作品もある。入手してすぐさま読んだ作品もあり、ぜひ読もうと入手したままツンドクに了った作品もある。 宗教観の相違による習俗や美意識のあれこれはあるけれども、似かよった面も多い。乱暴に申せば、近代化の悩みだ。タイを除けば、西洋宗主国にょる植民地下に育まれた習慣と、独自民族性との相克がある。宗主国の手先となって甘い汁を吸った者と、弾圧され冷飯を喰わされた者…
2021年夏、2週に渡ってNHKでインドネシアの破傷風ワクチン開発と現地ロームシャ(労務者)への人体実験や泰緬(たいめん/タイとベトナム)鉄道等への強制労働、そして戦地では帝国軍人がマラリアの特効薬キニーネを巡って、友軍衛生兵からキニーネを強奪するなどの蛮行を報道した。 放送から1年半、731部隊の研究も取り組んでいる倉沢愛子さん、松村高雄さんが共著で、本書を出版した。戦時中の日本軍占領下のインドネシアで、かなり無謀なやり方で密かに進められていた破傷風ワクチン開発の治験に際してロームシャ(現地人「労務者」)と呼ばれた多くのインドネシア労働者が、何も知らされないままその治験の対象とされ、命を落と…
こんにちは、ハクです。 毎週日曜日、河北新報2版に「書籍紹介」があります。 試しまして、こちらよりご紹介させて戴きます。 書籍数はあまりにも多いので「評」する紹介文がある本だけと致しました。 どうぞ、ぽちっと「折りたたみメニュー」で、ご覧くださいませ。 例)折りたたみメニューはこちらです ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ★★★★[ 紹介文はこちら ]★★ 大当たり!( ´,_ゝ`)プッ 宜しくお願い致します。 ◇ 【著者とひととき】 ①『北関東「移民」アンダーグラウンド』…技能実習生の現実追う 安田 峰俊さん ★★★★[ 紹介文はこちら ]★★ 「技能実習制度の鬼子的な存在」―。ルポライター安田…