比喩は心表現の苦しみの中から生まれた 児 島 庸 晃 比喩表現がどうして俳句にとって必要なのだろうかと考え始めて、私の脳中は、ずーっと混乱の毎日である。俳句そのものが視覚からの発想によるものであれば、比喩の発想をする必要はないのではないかと思い、いろんな現実を思っていた。 ところが、俳句作品を調べていて分かったこと。…それは俳句作品の殆んどが比喩表現による十七音表現であった。むしろそれは俳句そのものが比喩であるのかもしれないと思ったほどである。現実の生活で私たちは自分自身を自己劇化して生きている。それは自分自身の気持ち、或いは感情を自己劇化することにより耐えている。それそのものが文芸なのかもし…