1999年3月15日(月)午後4時頃、永眠した。享年33才だった。彼の音楽には独特の浮遊感があった。聴いているものの体を浮かせてしまうような不思議な力が彼のつくり出す音楽と歌声にはあった。人の心に穴が空いてしまったならば、その穴に音楽が入り込み、フワッと浮かせてしまう。例えるのならそんな浮遊感だ。フィッシュマンズの音楽的な評価は一向に、上がる事はあっても下がる事はない。「レゲエだ。 ダブだ。 ロックステディだ。」と、何やら彼らの音楽性をやたらに書き立てるひとがいる。が、むしろそのような音楽評などは、彼の音楽を聴くには必要無い。ただ聴くのみでよいのである。それだけで何かを感じ取る事ができる。歌詞は日常の生活を淡々と唄っているものが多い。だが、よく歌詞の内容を見てみると驚くような歌詞もある。人生と言うものの核心を、人間というものの本質を。しかしそれをサラリと浄化して、大気に放り出してしまう。なかなかできる事ではない。心地よい空気を聴く者に提供している。そしてそれを見て笑っている。佐藤伸治とは、そういう男なのである。本当に惜し人物を亡くした。しかしながら、青い空の下、今日もどこかで佐藤伸治の歌声が空気の中を泳いでいるだろう。彼は私達のこころに刻まれて消える事はない。そう、かれは永遠なのである。
*1:尚、死因などは一切公表されていない。