高貴なる御方のもとに出仕していたムカ男が、やはり同じ御方にお仕えしていた上﨟女房と恋仲になりました。ところが、ふとしたことから二人は別れてしまいました。お仕えしている御方が同じなので、二人は別れた後も近くで働いているのですが、女の方は御簾の中でムカ男は外。ムカ男の方から御簾の中は見えずとも、女の方からはムカ男の姿が見えるため、いつまでたっても女はムカ男をあきらめ切れません。ムカ男はとっくに女への関心がなくなったというのに。思い余った女は、天雲のよそにも人のなりゆくかさすがに目には見ゆるものから(人って、天の雲のようにどんどんよそよそしくなってゆくのね…そうは言っても私にはその人が見えてるんだよ…