釈尊の生きていた年代は諸説あるそうが、中村元先生によれば紀元前五世紀頃で、この頃のインドは商工業が発達し、貨幣経済が栄えて都市部に富が集中し、富裕層が生まれ、カネが物を言うようになり、王さまなどよりカネのあるやつの方がエライという世となっていた。 たとい奴隷であろうとも、財宝、米穀、金銀に富んでいるならば、王族もバラモンも庶民も、かれに対して、先に起き、後に寝て、進んでかれの用事をつとめ、かれの気に入ることを行い、かれには快いことばを語るであろう。(『マッジマ・ニカーヤ』)中村元『原始仏教』 物質的に豊かになったのに伴って社会は享楽的になり、バラモンたちも堕落して行った。今に伝わる仏典の中で最…