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人類補完機構

(読書)
じんるいほかんきこう

 「Instrumentality of Mankind」

 SF作家コードウェイナー・スミスが創造した架空未来の宇宙的な支配組織。

 地球を壊滅させた〈古代戦争〉の後、圧政を敷くジウィンツ団に対して、〈古代人〉ユーリ・フォム・アハト(後のヴォマクト一族の祖らしい)とレアードが率いる〈いとこ部隊〉が反乱を成功させた結果成立した。
 人類補完機構の目的は、全人類の利益のためにはたらくことである。『酔いどれ船』(ハヤカワ文庫「第81Q戦争」所収)によれば、補完機構のあり方とは以下のようなものである。

 永続的な管理職である長官(男性はロード、女性はレイディと呼ばれる)という人間達の統一組織であり、絶大な権力と厳格きわまる掟を有している。長官たちは各人が、高等法、中等法、一般法の体現者である。また、補完機構を維持し、諸世界間の平和をまもるためであるならば、いかなることでもなし得る権限を持っている。しかし失敗や過ちを犯したら、死罪と不名誉を覚悟しなければならない。
 長官は三人いれば緊急法廷を開き、いかなる判決を下すこともできるが、処罰されることがある。ただし七人いればそのようなことはない。
 補完機構の不変のスローガンは以下のとおりである。

「監視せよ、しかし統治するな。戦争を止めよ、しかし戦争をするな。保護せよ、しかし管理するな。そしてなによりも、生き残れ!」

■人類補完機構の略年表(「シェイヨルという名の星」より抜粋、暦は西暦)

  • 2000年:忘れられた第一次宇宙時代。
  • 3000年:『第81Q戦争』。うちつづく〈古代戦争〉の時代。中国を残し、あらゆる国家が解体。真正の人類は、孤立した都市群に追い込まれ、地球のほぼ全域が〈けもの〉(野生動物?)、マンショニャッガー(ドイツ第六帝国の作り出した人間狩り兵器)、〈許されざる者〉(有尾の獣人?)たちの手にわたる。
  • 4000年:『マーク・エルフ』。ヴォマクト一族の登場。
  • 5000年:『午後の女王』。人類の復活。ジウィンツの圧制と、それに代わる補完機構の支配。
  • 6000年:『スキャナーに生きがいはない』『星の海に帆をかけた女』。第二次宇宙時代。地球人口の再増殖。近隣の星々への進出。旧パラダイスVIIコロニーの生存者たちが、オールド・ノース・オーストラリア(略称ノーストリリア)に移住する。
  • 7000年:『人びとが降った日』。中国の消滅。ノーストリリア星で寿命延長薬ストルーンが発見される。
  • 8000年:『青をこころに、一、二と数えよ』『大佐は無の淵から帰った』。平面航法の発見。反ユートピア社会の初期徴候。
  • 9000年:『鼠と竜のゲーム』『燃える脳』。平面航法の時代。入植される世界は数千におよび、光子帆船時代の二百から飛躍的に増える。
  • 10000年:『ガスティブルの惑星より』。ユートピア社会の安定。寿命四百歳が標準化する。人間の胚のプログラミング。ロボットや下級民(獣人)の使役増える。
  • 11000年:この時期、ダイモン人(超技術を持った謎の種族)出現か。ヴィオラ・シデレアといった異質な惑星へ、人類が適応していく。
  • 13000年:『スズダル少佐の犯罪と栄光』『黄金の船が、おお!おお!おお!』。〈輝ける帝国〉の台頭をはじめ、補完機構の潜在的ライバルの出現。
  • 14000年:『クラウン・タウンの死婦人』。下級民ド・ジョーンの殉教。〈古代の有力宗教〉の再生。ジェストコースト家の創建。
  • 15000年:『老いた大地の底で』『酔いどれ船』。レイディ・アリス・モア登場。宇宙3とその幻影。
  • 16000年:『ママ・ヒットンのかわゆいキットン』『アルファ・ラルファ大通り』『帰らぬク・メルのバラッド』『ノーストリリア』『シェイヨルという名の惑星』。第七世ロード・ジェストコーストの登場と〈人類の再発見〉。〈聖なる叛徒〉の活動。下級民に市民権が与えられる。ロッド・マクバンの遍歴。

*以降は著者の死去によって書かれずに終わった。人類補完機構の終焉が書かれる予定だったという。

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