井上洋介

つきよに ふたり。 セミ ジッジッと ないた。 だいぶつさま わらった。 つきよのふたり／井上洋介 文・絵／小峰書店 まるで子供が描いたようなのびのびとして夢が広がるような絵が、大きな絵本いっぱいに描いてあります。 そして、仲良しのふたりの名前がすみっこに、ひらがなで短く書いてあります。 たとえば、 つきよに てっきょうとポンポンじょうき なかよし。。。と。 それから、 チョウチョウとせんろ。 だいぶつさまとセミ。 そんなふうに、月夜に仲良しのふたりをならべています。 なかよしのふたりは、ほとんどが物だったり虫だったりします。 そのふたりの距離感が絶妙で、たとえば、コウモリガサとものほしはなる…

三姉妹の目的は？ 「やまのねこやしき」 日本の民話えほん （教育画劇 １９９９年１２月１５日 初版発行） 文 さねとうあきら（実藤 述） 画 いのうえようすけ（井上洋介） やまのねこやしき (日本の民話えほん) 作者:さねとう あきら 教育画劇 Amazon どんなお話… むかしむかしのお話です。 道に迷った旅人がたどり着いたのは山奥のお屋敷。 美しい三人の娘が泊まっていくようにと 家のなかへ招き入れてくれますが… そこは怪しい猫屋敷だったのです。 三人の娘の本当のすがたは 人間を猫に変えようとする化け猫。 お屋敷で振る舞われた食事や風呂をいただくと もじゃもじゃの毛が生えてきて猫になるという…

さねとうあきら文＋井上洋介絵『ばんざいじっさま』編集・発行「ベトナムの子供を支援する会」１９７３年８月１５日 初版発行 ※絵本は絶版になっています。『神がくしの八月 (定本さねとうあきらの本 1) 』（てらいんく 2003.7.1 1980円）に収載されています。 絵本の「あとがき」には次のようにあります。 １９４５年６月３０日深夜、秋田県北秋田郡花岡町にある花岡鉱山で中国人の暴動が起った。９００人の中国人が鉱山会社から河川改修工事を請負っていた株式会社鹿島組（現在の鹿島建設ー当時は鹿島守之助社長）の残虐な酷使に反抗して蜂起した。しかし、空腹と酷使による疲労とツルハシ以外武器を持っていなかった…

60年代幼年童話の代表作、小沢正の『目をさませトラゴロウ』の魅力を書きました。 政治について考えていると、どこか笑えてきてしまうことがあります。こんな馬鹿らしいことを真面目に批判している自分達って。しかもそれを何世紀もずっと続けているなんて。みたいな、諦めの果ての笑いです。（もちろん、それでも政治家の活動に対し意見を上げ続けなければならないのですが。） 小沢正は、そんな笑いの感覚を持っている作家なのではないかと感じています。最近の政治にイライラしている方にも、ぜひ『目をさませトラゴロウ』を読んでほしいです。こんなヒーローの登場を妄想したり、自身で目指してみたり、してみるのはいかがでしょうか。 …