脚本家。小説家。東京電機大学卒。
1942年11月14日生まれ。東京都出身。
アニメ、時代劇、現代劇など、多岐にわたって手がける脚本家。
俳優・中村敦夫の実弟である。
テレビ番組の制作の仕事の傍ら、脚本の勉強をし、『必殺必中仕事屋稼業』でデビュー。
1995年『蘭と狗』で第6回時代小説大賞を受賞。この作品は実兄である中村敦夫が脚本を担当して、ドラマ化もされ話題となった。
主に難関突破モノ、復讐モノといった作風を得意とする脚本家と思われる。
「黒崎裕一郎」名義で時代小説を発表している。
→黒崎裕一郎
この記事では朝日放送から必殺シリーズに参加した二人の監督および『必殺シリーズ異聞 27人の回想録』を読むまで私がその存在を知らなかった、ホテルプラザについて紹介しましょう。かんのんホテルは有名ですが、あちらは京都映画が抑えたホテルです。さて必殺シリーズの制作は京都映画が中心でしたが、制作局の朝日放送も関わっていました。二人の社員ディレクターを監督として参加させたり、脚本家の人選にも関わっていました。関西在住者(松原佳成など)だけではなく東京などからも人(田上雄、保利吉紀、中村勝行など)を呼んでいましたが、その時に使ったホテルが当時朝日放送の前にあったホテルプラザでした。まず田上雄さんの証言を紹…
ザ・ハングマンII 第9話「仮病の悪 大手術いびり出し作戦」(脚本:中村勝行、監督:小西通雄、擬斗:伊奈貫太 (C)松竹芸能)より 時は1982年 7月30日金曜日。元国家機関の中心的人物と想像される神島泰三ことゴッドは秘密の組織を作っていた。リーダーは紆余曲折の末、日下部孝介ことマイト(黒沢年雄)になった。メンバーには加納良次ことデジコン(名高達男)、辻雄太郎ことオショウ(植木等)、桑野多美子ことタミー(夏樹陽子)などがいた。なおゴッドの事務所は西新宿にあるビルにあった。さて今回の標的は医者とグルになって仮病で入院した暴力団の組長の松宮(名和宏)である。看護師に化けて病院に潜入したタミーが松…
「必殺」シリーズの映画化第3弾に当たる作品。 仕事人である中村主水が、仲間を殺されたことから、その犯人である枡屋の一味を追い詰めていく様子が描かれていきます。 仕事人の仲間たちが狙われるという映画スケールのストーリーと、その後に待ち受ける大立ち回りが見どころ。 『大殺陣』(1964)を初め、多くの作品を手掛けてきた監督、工藤栄一の手腕にも注目です。放送情報映画 必殺!Ⅲ裏か表か BS141 BS日テレ 2024/2/17(土) 19:00-21:24<過去の放送> 2022/4/8(金) 18:30-20:54 → BS日テレ 2023/9/6(水) 20:00-22:22 → BS松竹東急作…
www.shochiku-tokyu.co.jp「必殺」シリーズの映画化第3弾に当たる作品。 仕事人である中村主水が、仲間を殺されたことから、その犯人である枡屋の一味を追い詰めていく様子が描かれていきます。 仕事人の仲間たちが狙われるという映画スケールのストーリーと、その後に待ち受ける大立ち回りが見どころ。 『大殺陣』(1964)を初め、多くの作品を手掛けてきた監督、工藤栄一の手腕にも注目です。放送情報映画 必殺!Ⅲ裏か表か BS141 BS松竹東急 2023/9/6(水) 20:00-22:22<過去の放送> 2022/4/8(金) 18:30-20:54 → BS日テレ作品概要1986/日…
必殺仕置屋稼業 第25話「一筆啓上 不倫が見えた」(脚本:中村勝行、監督:大熊邦也 (C) 松竹)より 江戸の小石川の新堀河岸が崩れてしまった。土嚢を積んで応急措置を施したのだが、また崩れるかもしれない。相模屋勘右ヱ門(永田光男)は工事に乗り出そうとしたのだが三州屋惣兵ヱ(谷口完)の手代の弥助(五味龍太郎)が妨害。人足は管轄の役人である中村主水に掛け合い、主水はもう一度、担当者に掛け合ってみると約束した。工事の担当は堅物で有名な岡崎左門(小笠原良知)。妻の志乃(市原悦子)は内職で苦労していた。 岡崎は村野様に掛け合った。村野様は 与力 村野「普請元に見積を出させて入れ札で工事を請け負わせてはど…
新・必殺仕置人 第39話「流行無用」(脚本:中村勝行、監督:工藤栄一 (C) 松竹)より 今回は飾り職人藤五郎(江幡高志)の後継者を巡る話。弟子が三人いて一番弟子が清太郎(石沢健)、二番目が定吉(大和田伸也)、そして三番目が宇之助(森下哲夫)だった。藤五郎は腕の良い飾り職人で藤五郎作の簪は高値で売れていた。藤五郎が指名したのは一番弟子の清太郎だったのだが、藤五郎の娘のおくみ(村地弘美)は定吉と恋仲だった。その矢先に清太郎が何者かの手によって殺され、定吉が蝮の久蔵(八名信夫)という岡っ引に容疑者として捕まってしまった。実は犯行自体は宇之助の仕業だったが宇之助は久蔵とグルで更には藤五郎をも殺してし…
必殺仕置屋稼業 第20話「一筆啓上 手練が見えた」(脚本:中村勝行、監督:渡邊祐介 (C) 松竹)より 出張から帰ってきたらお土産を持ってくるのはよくある話。 さて主水が帰ってきた。お土産はない。りつが布団を敷いたりしている最中に母上がやってきた。長い間、主水が不在だったので寂しかったというりつだったが 中村せん「りつ。婿殿はお疲れ。今夜はお一人でゆっくり休んでいただきます。」 だから子供ができないんじゃないのかねえと思うのだが、それはとりあえず置いといて、機嫌が悪くなったりつが主水の脱いだ着物を片付けているとなんと一両見つかった! りつは母上に合図した。それに気がついた母上はりつのところにや…
必殺仕置屋稼業 第20話「一筆啓上 手練が見えた」(脚本:中村勝行、監督:渡邊祐介 (C) 松竹)より さて本題。中村主水は市松、捨三、印玄と一緒に上州藤岡へ向かったのだが 中村主水「どうもさっきから気になるんだ。」印玄「あ?」中村主水「後ろから来る旅人よ。」 それは木枯し紋次郎そっくりの格好をした男(中村敦夫)だった。違いは右目に眼帯をしていることと長い楊枝を咥えていないことだけ。印玄は渡世人ではないかと考えていたが主水は彼が自分達をつけているのではないかと考えた。市松も足の運び方から只者ではないと考えた。そこで「本庄」という立札のたっている辺りで立ち止まり、やり過ごしてみる事にした。すると…
必殺仕置屋稼業 第20話「一筆啓上 手練が見えた」(脚本:中村勝行、監督:渡邊祐介 (C) 松竹)より さておこうのところに上州藤岡からお千代(桑垣浩子)という少女が辿り着き頼み、さらにおこうの差金で風呂屋の釜場で お千代「仕置屋さん、殺して、お願い。」 と一分銀握りしめて頼み込んだ事により上州藤岡への出張は仕置も絡むことになってしまった。頼み料は一人二朱。安値すぎるのでおこうは仲介料を取らなかったようだ。 さて中村主水は旅に出ることになったのだが 中村りつ「あなた、くれぐれもお気をつけて。」中村主水「どうも今度の旅はいやーな予感がするんだ。」 もちろん裏の仕事が絡んでいるからであるが、そんな…
必殺仕置屋稼業 第20話「一筆啓上 手練が見えた」(脚本:中村勝行、監督:渡邊祐介 (C) 松竹)より 脚本を担当した中村勝行さんがハングマンシリーズでも度々連発した難関突破物の一つで中村さんは人情物よりも娯楽編の方が得意だというのがよくわかる話でもあるのだが、とりあえず小ネタから書いていこう。そういえば、今回、お初は登場しないのねえ。 さて南町奉行所では上州藤岡宿の一件で話が盛り上がっていた。ヤクザの石神辰五郎(北村英三)が暴れ回っているので勘定奉行が非公式で協力を要請してきたというのだ。いずれ誰かが現地の情勢調査に飛ばされるかもしれないとの噂で持ちきりの中、中村主水が出勤。すると皆、話をや…
この記事では必殺シリーズの制作では欠かせない、かんのんホテルを取り上げましょう。『必殺仕置人』『新・必殺仕置人』に登場する念仏の鉄などがすむ観音長屋の元ネタです。京都市の岡崎にあったホテルを京都映画の櫻井洋三プロデューサーが抑えて脚本家を住まわせていたのです。『必殺シリーズ異聞 27人の回想録』に櫻井洋三プロデューサーの証言が載っています。 rittorsha.jp 櫻井 10部屋を松竹で押さえて、脚本家10人を放り込んで、僕があっちの部屋、こっちの部屋と回って、それぞれとホン作りですわ。もう家に帰られへん。晩になったらみんなですき焼き、一緒に飲んで食って、その費用は全部こっち持ち。かんのんホ…
この記事では必殺シリーズ第12弾の『江戸プロフェッショナル・必殺商売人』を取り上げましょう。初見の際はそのドラマ性の高さに惹かれたのですが、後から振り返ると「一筆啓上崩壊が見えた」と思ってしまいました。まあそれについては後述しましょう。 この作品は『新・必殺仕置人』の続編ですが、中盤で明かされるように『必殺必中仕事屋稼業』の続編でもあるのです。第1話はこんな感じの話です。絵草紙屋から不忍池のほとりにある灯台の灯台守と「足力屋」と言うマッサージ業に商売替えしていた正八(火野正平)はある夜、二人の仕置人が殺しをするのを見かけます。一人は根津の花街で髪結と箱屋をしていた新次(梅宮辰夫)。もう一人は根…
この記事では必殺シリーズ第11弾の『新・必殺からくり人』を取り上げましょう。 この作品が作られた経緯は『必殺シリーズ異聞 27人の回想録』で櫻井洋三プロデューサーがこう証言しています。 rittorsha.jp 櫻井 山田さんから電話がかかってきまして「櫻井さん、次なにやるの? わたし出ますわよ」と。そう言われたら作らんわけにはいきまへん(笑)。もう「ハイ、ハイ」ですよ、大女優ですから。浮世絵を手がかりにするというストーリーは山内さんのアイデア、そこから毎回の話を作っていったんです。 というわけで制作が決まりました。歌川広重(放送当時は安藤広重の名前が一般的でした)が描いた「東海道五十三次」の…
この記事では必殺シリーズ第8弾の『必殺からくり人』を取り上げましょう。 流石に中村主水を主役の作品を三作連続で作成するのは無理があったのでしょう。山内久司プロデューサーは全編早坂暁さんの脚本でドラマを構築することに決めました。ただ早坂さんは名作が多い代わりに遅筆で有名な方でした。なので当初から14本と言う予定で執筆が依頼されました。ところが第1話の執筆から難航し、結果的に制作されたのは13本でそのうち3本(第6話と第9話が中村勝行で第10話が保利吉紀)が他の人の担当になりました。 この作品の舞台は天保の改革の頃。第1話で鼠小僧が引き回しの時に化粧をしていたこと引き回しの時に現代の銀座の歩行者天…
この記事では必殺シリーズ第7弾の『必殺仕業人』を取り上げましょう。 『必殺仕置屋稼業』の続編で唯一江戸に残った捨三も引き続き登場します。このタイトルは一般公募してつけられました。TBS系列では引き続き東映・毎日放送制作の『影同心II』が放送されていたので、その対策もあったので、中村主水を引き続き登場させたのでしょう。 さて第1話は牢屋見回りに格下げとなり、町に出て袖の下も貰えなくなって困窮を極める中、裏稼業を続ける中村主水が描かれます。この時点での仲間は捨三の他は鍼灸師のやいと屋又右衛門のみ。仕置屋の時代とは違って殺しを行なうのが二人しかいないので腕の立つ殺し屋を主水が探していた、ちょうどその…
新・必殺仕置人 第20話「善意無用」(脚本:中村勝行、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より 軍鶏の清吉(松山政路)は木曽屋善兵ヱ(稲葉義男)に町年寄喜多村勘右ヱ門(永田光男)殺しの罪を着せられてしまった。実行犯は善兵ヱの息子の徳之助(高峰圭二)と善兵ヱの部下の吉次郎(時代吉二郎)。それを勘右ヱ門の娘のお加代(森川千恵子)は知っていたのだが、彼女の目の前で捕り方によって清吉は殺されてしまったのだ。なお清吉は乱暴に遭っていた加代を助けたのだが、暴力沙汰を起こして遠島になった過去があり、島から帰った後は観音長屋に住んでいた。 そして寅の会。挙句は 芝蔵もこれが見納め木曽屋かな 虎漫筆 頼み料は二十五両…