上下分離方式とは、鉄道、空港、道路、港湾などの運輸事業を、施設の保有と管理を行う下部(インフラ)主体と、事業の運営にあたる上部(営業)主体に分離すること。
社会的基盤として重要な施設の維持・管理にかかる経費は大きく、経営の厳しい状態にある事業者の大半は、下部(インフラ)の保有にかかる費用が経営を圧迫している。そこで上下分離方式では、官民が役割を分担し、下部にあたる施設を公的主体が保有・維持することで安全面を向上させ、一方では上部にあたる運輸事業を民間企業が行い、インフラのリース料や保守料を公的主体に支払うというかたちをとる。
新たな運輸事業を整備する場合も同様であり、上下分離方式は以下の二つに大別される。
鉄道の場合:
「上下分離方式」とは聞きなれない言葉ですが、鉄道の車両(「上」に該当する部分)を、第3セクターである青い森鉄道株式会社が保有して旅客の輸送を行い、鉄道のレール、駅舎、ホーム等の施設(「下」に該当する部分)を県が保守管理する方式です。
青森県 並行在来線対策
空港の場合:
上下分離方式は、空港経営を、3空港の土地や滑走路を建設・保有する「下物法人」(公的法人)と、空港ごとに管理・運営に当たる「上物法人」(民間会社)に分離。上物法人は下物法人に使用料を支払い、下物法人が負債を返済する。
毎日新聞
道路の場合:
例えば高速道路の場合、上物法人と下物法人に分け、上物の管理・運営部門は民営化し、下物である保全・建設部門は政府など公的支援で従来計画通りの建設を継続するという虫の良さだ。毎日新聞 社説
この方式でいくと道路公団では、上物法人が民間会社になり、高速道路を建設する下物法人はこれまでと同じように道路建設法人になって道路を造り続ける。