この時期の個人的な恒例行事として、落語を聞きにいくというのがある。 国立演芸場の8月中席。 桂歌丸師匠が長年トリを取っていた興行だ。 はじめて行ったのはどういうきっかけだったのかもう覚えていないけれど、 ちょうど歌丸師匠の誕生日の8月14日だった。 出演者さんが舞台にケーキを運んできて、客席も一緒に「ハッピーバースデー」を歌って、みんなでお祝いをしたその空気があたたかくて、 それ以来なるべく毎年8月14日に行くようにしていた。 あの細い体で、晩年には酸素チューブをつけて高座にあがる姿が、見ていて心配でもあったけれど、 噺が終わる頃にはいつも、ただ、すごいなという思いにさせられていた。 歌丸師匠…