三好さんは幕末の人物をテーマにした小説を幾つか書いていますが(沖田総司や桐野利秋など)、この「土方歳三」が一番秀作ではないでしょうか。 本人もあとがきで「歳三からお前さんにしてはよくやったよといわれるのではないかと思っている」と書いています。 また、この小説を書いている間、土方歳三が「わたしの書斎を訪ねてきて、数日間滞在し、多くのことを語りかけた。頬をちょっとゆがめて「そんなこともあったかな」「そうだ。そのとおりだ」とか「そいつは、ちょっと違うぜ」と呟いたりして、筆者に男とは何か、あるいは男はどう生きるべきかを伝えて姿を消した」と、書いています。それだけ、思い入れが強かったのですよね、三好さん…