日本の推理小説における奇書三作品のこと。
中国の三大奇書と区別して、日本三大奇書とも呼ばれる。また竹本健治『匣の中の失楽』を加えて「四大奇書」とする向きもある。
中国の三つの代表的な長編小説。 一般的に「水滸伝」「三国志演義」「西遊記」を差す。 四大奇書と言った場合は「金瓶梅」を加える。 奇書とは古今に卓絶した小説という意味。
日本三大奇書という言葉は本好きではない人でも聞いたことがあるのではないだろうか。日本三大奇書とは、『ドグラ・マグラ』を筆頭に、日本の推理小説におけるアンチミステリの傑作とされる三つの小説の総称だ。その三つの小説とは『ドグラ・マグラ』、『黒死館殺人事件』、『虚無への供物』。メタ構造、ペダンチック、ミステリへのアンチテーゼなど独特な雰囲気が醸し出された小説だ。その三大奇書の影響を色濃く受けた第四の奇書『匣の中の失楽』もあって、三大奇書とまとめて日本四大奇書とも言われる。 最近でも第五の奇書と呼ばれるんじゃないかなと思える小説も出てきている。三大奇書とその系譜に連なる問題作ミステリを紹介したい。 一…
ポケミス読者よ信ずるなかれ (ハヤカワ・ミステリ) 作者:ダン マクドーマン 早川書房 Amazon 私立探偵のマカニスは、とある人物から招待されて、人里離れた会員制狩猟クラブを訪れた。会員たちがクラブの存続問題などで揉めるなか、湖で一つの死体が発見される。さらに、嵐によってクラブは陸の孤島となり……。名探偵、密室、クローズドサークル、連続殺人、古今東西のミステリへの言及――。すべては本格ミステリの舞台として完璧かと思われた。しかし、夢想だにしない展開の末に読者を待ち受けるものは、困惑か狂気か。これはミステリなのか、それとも。ポケミス読者よ、信ずるなかれ――。(粗筋紹介より引用) 2023年1…
ドグラ・マグラは夢野久作の長編小説で、構想十年執筆十年という大傑作だ。この本は小説の枠組みにとらわれず論文、演説、詩、歌、映画、漢文などで物語が構成されていて、あまりに奇妙なもんだから日本三大奇書の一つに数えられている。本記事のタイトルの、なんとも禍々しく文字列「キチガイ地獄外道祭文」は、この本の歌の部分だ。この歌は精神医学の専門家・正木博士が精神病と精神病院の実態を暴き、博士の新しい最先端の精神病院を建設する金を集めるために日本全国各地で歌ったものだ。なんとなく話がつかめたところで、二度か三度下の文章音読してほしい。これは歌の最初の部分から引用したものである。 ▼あ――ア。外道祭文キチガイ地…
鹿島田真希の『ゼロの王国』を読んでいる。鹿島田真希は、生きることの憂鬱を執拗に書いていて、作品によっては読んでいて気が滅入ってくるのもある。『ゼロの王国』も、異常なほど男と女の関係性から生じる女性の不幸を掘り下げていっている。主人公は女性という性を崇拝し、なれるなら自分も女性になりたいと無邪気に宣言する、作者言うところの「聖なる愚者」だ。結婚や恋人関係において女性が背負わされる、奴隷のような献身さや、その不幸をあえて選ぶ自虐趣味を主人公は喜んで引き受けようとする。その聖人(馬鹿だとも言われる)のような振る舞い(飢えている者がいれば、自分のパンを与え、相手が満たされれば自分は飢えても幸せを感じら…
シャットアウトリボン 物防-属防-効果エンカウントしなくなる 買- 宝- 他サブストーリー:「異界の門」クリア報酬 引寄せのリボン 物防-属防-効果エンカウント率が2倍になる 買- 宝- 他ストームヘイルサブストーリー:「断ち切れぬ想い」クリア報酬 ウェルグローブ俯く狩人 EXPブースター 物防-属防-効果EXPの獲得量が1.5倍になる 買- 宝海上 JPブースター 物防-属防-効果JPの獲得量が1.5倍になる 買- 宝海鳴りの洞穴 幸せのブローチ 物防-属防-効果EXPとJPの獲得量が1.5倍になる 買- 宝- 他ウィンターブルーム領主 メリア(キャスティ4章クリア後) キャットリンのまたた…
TOHOシネマズ錦糸町楽天地で鑑賞です。 アリアスター監督の映画です。A24制作です。3時間の長さですが、2時間くらい観たところで苦痛を感じました。「ヘレデイタリー」「ミッドサマー」は配信でみましたが、劇場で観たら同じ感じになったのかな。不快、不安、嫌な気分になる経験は初めてです。 三大奇書と言われる「ドグラ・マグラ」を学生時代に読んだ時に気が狂いそうになる初めての経験をし、そのような感覚が久しぶりに起こりました。しかも映画です。 「エブエブ」のマルチバースの世界が夢の中で起こっているようでした。マルチバースのようなスッキリ感はなく、結構苦しさを感じる現実感を表現していてそこがまた辛いものでし…
西遊記〈上〉 (福音館文庫 古典童話) 作者:呉 承恩 株式会社 福音館書店 Amazon 西遊記〈中〉 (福音館文庫 古典童話) 作者:呉 承恩 株式会社 福音館書店 Amazon 西遊記〈下〉 (福音館文庫 古典童話) 作者:呉 承恩 株式会社 福音館書店 Amazon およそ1年ほどかけて中国三大奇書のひとつ『西遊記』を読み聞かせを終えた。毎晩の寝かしつけでちょっとずつ読んでいたのだが、この福音館版は小学校高学年向けとあり、拙宅の未就学児向けにはかなり難しい(たぶん小学校高学年にも難しい。また、かなり言葉が乱暴だったり、色っぽい描写も含まれている)ので、適宜言葉をわかりやすく置き換えたり…
仕事してきた。 今朝は起きた瞬間に口の中酸っぱくて、嫌な予感濃厚。早上がりさせてもらえるかと思った頃が私にもありましたが、時間きっちり仕事して帰ってきましたわ。 体調は今ひとつですが、明日の朝早く起きちゃって、どうにも気になるようであればエヤコンを掃除する。 「それはいい心がけだな。そんな管理人さんに俺から茶菓子を進呈しよう。どうだ、じじいの茶に付き合ってゆかぬか」 それは掃除させまいとするじじい仕草だな。 「ほれ、小虎も管理人さんと遊びたいと言っておるぞう。のう? 」 虎君は五虎ちゃんに似てみんないい子だから、何かしようとしてる人にそんなことは言わない。 「手伝いたいのはやまやまなんだけどね…
非常に意外な感がする。 まさか天下の『時事新報』に、「キチガイ地獄外道祭文」を発見するとは。 不意打ちもいいとこ、予想だにせぬ遭遇だった。 明治二十年三月三日の記事である、 「西洋諸国にては遺産相続の際などに、一方の窺覦(きゆ)者が他の相続人を癲狂者なりと言ひふらし、医師に嘱して其の癲狂者なりとの診断書を作らしめ、斯くて無理に入檻させ置くその中に、遂に真の癲狂病に罹るの事例少なからず。弊害の容易ならざるものと言ふ可し」 どうであろう、チャカポコチャカポコの不吉なリズムが鼓膜を打ちはしないだろうか。 いや、絶対に打つ。日本三大奇書が一、『ドグラ・マグラ』を読んだ者なら必ず幻聴に見舞われる。筆者に…
はい。タイトル以上の内容はない私的な日記です。 最近巷を騒がせている、とある本があります。そう、飛鳥部勝則の『堕天使拷問刑』です。 www.hayakawa-online.co.jp 知らない方の為に軽く説明を置いておきますと、この作品は2008年に出版されて以来絶版になっていた稀覯本なんですね。絶版になっていた理由に関してはセンシティブな議題だし、僕も全く詳しくないので伏せますが、とにかく流通数が少ない作品だったわけです。それに対し内容がどうもブッ飛んだものらしく、カルト的な人気を博して噂が広がり、結果として中古で2,3万程の値が付く程までに高騰した......って感じの経緯で合ってますか?…
鈍器本という言葉をご存知だろうか?凶器として使えそうなぐらい分厚い本は鈍器本と言われている。ハードカバーの本に分厚い本が多いイメージがあるかもしれないが、文庫本にも分厚い本がある。 この記事では、特に文庫本の中で特に分厚い小説を集めてみた。特に、京極夏彦などの小説が多いが、超重量級文庫を紹介する。 魍魎の匣 / 京極 夏彦 虚実妖怪百物語 序破急 / 京極 夏彦 絡新婦の理 / 京極 夏彦 匣の中の失落 / 竹本 健治 白夜行 / 東野 圭吾 幻夜 / 東野 圭吾 5 / 佐藤 正午 有限と微小のパン / 森 博嗣 細雪 / 谷崎 潤一郎 夜光虫 / 馳 星周 アポトス / 島田 荘司 哲学者…
ほとばしる(著者の)変態性 文字も不気味だがカバーの下も不気味な仕様 作品紹介 小田雅久仁による『禍』は2023年に新潮社より出版された、2011年から2023年に上梓された作品が収録されたジャンル分け不能な7編からなる短編集で、単行本で320ページ程度の作品集である。 日本SF大賞を受賞した神傑作である前作『残月記』と比べると、作品数が多い短編集になっていることと、各作品の書かれた時期がばらけていることから、より一層著者の根源的な部分(というより性癖笑)が発揮されており、短編集ではあるものの非常に読みごたえがある。 収録作中何作かは日常から非日常への移行が急展開極まりなく、いつの間にかとんで…
五年以上前に書いた記事の再録です。ジョージ秋山の『ザ・ムーン』を読み返してないのであしからず。『デロリンマン 1970・黒船編』にザ・ムーンのプロトタイプが登場するみたいです。 三大奇書とかあるじゃないっすか、夢野久作の『ドグラ・マグラ』と小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』と他一作品(中井英夫の『虚無への供物』)の。『ドグラ・マグラ』と『黒死館殺人事件』は1935年の発表なんで、江戸川乱歩が1935年頃に長編の傑作を発表しているか、他の作家で両作品に匹敵する(『孤島の鬼』や『家畜人ヤプー』みたいな)作品を1935年頃に発表していれば、それを入れて三大奇書ってのが収まりがいいと思うんすが、そう上手く…
ついに読んだ日本三大奇書のその一。昭和十年発表だが、それまで作者は十年かけて書いたり消したりしてたそうである。小説の舞台も大正十五年。つまり1920年代に、日本にもこんなこと考えてるヤツがいたんだな、と。エロ・グロ・猟奇でペダンチックなと思やぁ妙に土俗的でもある。文体もスチャラカ、チャカポコの阿呆陀羅経から学術論文風、警察による調書、どこやらの寺の縁起書き、漢文書き下しのような美文、新聞記事、とつぎつぎ飛び移り、こちら読み手としても目眩めくばかりでイヤモウ参った。話の向いてる方向がわからなくなって、やめちまおうと何度も思った挙句、読み終わってけっきょく何だ始めに戻るのかと知ればかえって微苦笑も…