能登半島地震で被災した能登唯一の紙すき職人、遠見和之さん(51)=石川県輪島市三井町=が、制作活動を再開した。自宅近くの手すき和紙工房「能登仁行(にぎょう)和紙」は、貯水タンクや原料を煮るかまどが損傷したが、3月上旬に修復が終わった。遠見さんは「全てがこれまで通りとはいかないが、待ってくれる人のために作り続けたい」と語る。(秋田耕平) ◆原料に杉皮や竹の繊維、野の花も 仁行川のほとりに立つ木造の小屋。コウゾの繊維と顔料を混ぜた原料を「すき舟」と呼ばれる水槽に入れ、遠見さんが簀桁(すけた)ですくい上げる。仕上がった和紙は厚手の風合いを醸し出していた。「素材自体の特徴を出した紙作りを心がけている」…