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一夫多妻

(一般)
いっぷたさい

 男性が複数の女性と結婚できる制度、またはそれを合法とする社会制度のことを言う。人間の婚姻形態、交尾ペアの形態では、一夫一妻制についでメジャーであり、一夫一妻と少数の一夫多妻という枠組みで人間の交尾ペア制度を語ることはすこぶる多い。

 日本でも明治期に至るまで、権力者を中心にして、ごく自然に営まれていた制度である。平安中期〜後期、中宮/皇后/女御/更衣のヒエラルキー制度を土台とした皇室の後家システムや、江戸期の徳川将軍家の中に営まれた大奥は、その代表例として様々な時代考証が行われ、数多くの文学作品や映像作品の舞台として取り上げられた。しかし、この時代の日本列島に生息していたオスのほとんどが一夫一妻であったこと、一妻多夫や売春でしか交尾の機会を得られなかったオスがいたことも紛れもない事実である。


 しかし、明治期に入ると、公式の理念では一夫一妻制度を採り、実態としては本妻+妾という一夫多妻制度が権力者や有力者の間で行われていた西ヨーロッパの社会における、社会統制理念としてのキリスト教的結婚観に忠実な観点から、公式な一夫多妻制は貞操概念を逸脱した、野蛮な制度であるとの認識が広まっていく。それに変わって、公式には一夫一妻の対を土台とする結婚という契約制度という概念が一般的であるという認識が広まったためである。以降、日本では公式には一夫一妻制を基調としており、これは明治23年に発効された旧民法人事編31条に記載が見られる。また、現行の法では日本国憲法第24条の、「(1)婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。(2)配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」という規定、および民法第732条、刑法第22章第184条に重婚の禁止規定と罰則規定がみられる。しかし、実際には非公式な形で一夫多妻制は継続している。この点はキリスト教徒の社会と変わらない。


 一方で、イスラム諸国では残っているケースがあるとされている。これは、コーランの婦人章3節に「あなた方がよいと思う2人、3人または4人の女をめとれ」と記載があるため、禁止とはされていないためである。しかし、その前後では「あなたがもし孤児に対し、公正にしてやれそうにもないならば」や「だが(2〜4人の女に対して)公平にしてやれそうにもないならば、ただ一人だけ(をめとれ)」と規定されているため、その条件が必要となる。これは、この啓示が下った時期がちょうど戦乱期であり、戦闘で男性が命を失うことで、未亡人と孤児が大量発生したために許されたものであると考える方が自然である。したがって、イスラームで一夫多妻が合法であるというのは、極めて特殊な状態で、かつ自分が2〜4人の妻に対して、まったく分け隔てなく愛せるという試練まで要求されるとしている。しかし実際には、無論多くの男性がこれを性欲を満たし、子孫をより多く確実に残す手段として用いてきたし、平等に愛してはこなかった。無論、その逆に実態として一夫一妻制のオスが多かったこと、オスの中には売春や一妻多夫でしか交尾の機会を得られなかったオスがいたことも、他の社会と変わらない。


 実際のところ、ほとんどのイスラームを国教とする国では重婚を禁止している。

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