(英: 古仏: Vert、仏: Sinople)
紋章学における緑色を表すティンクチャー。英語の「ヴァート」は、中期英語では verte といい、ラテン語の「緑色の」を意味する viridis を語源とし、アングロフランス語又は中期フランス語の緑を意味する vert 又は verd を経て英語に取り入れられた。
しかし、フランスの紋章学においては、このティンクチャーは少なくとも1415年以降はシノプル (sinople) と呼ばれていた。古フランス語及び初期の文書では、ヴァートが緑色ということを意味する一方で、シノプルは赤色を意味しており、その名前を得た鉱物の顔料につけられていた名前であった。しかしなぜ、フランス語で単語の意味が変わったかは明らかになっていない。
ジェフ・ヌーンの長編第一作。原題は"VURT"。
ヴァートという新種の麻薬がはびこるマンチェスターを舞台に、ヴァート世界に置き去りとなった最愛の妹を探し続ける主人公の姿を描く。
1994年にアーサー・C・クラーク賞、1995年にジョン・W・キャンベル賞を受賞した。
田中一江訳。ハヤカワ文庫SF(1126)。ISBN:415011126X