Robert Bresson (1901-1999) フランスの映画監督。自作を「シネマトグラフ」と呼び、大仰な表現を排したストイックな作風を確立した。
シネマトグラフ覚書―映画監督のノート
ロベール・ブレッソン研究―シネマの否定
ラルジャン [DVD]
ブローニュの森の貴婦人たち [DVD]
ロベール・ブレッソン DVD-BOX 1 (ジャンヌ・ダルクの裁判/湖のランス口/たぶん悪魔が)
ロベール・ブレッソン DVD-BOX 2 (スリ/バルタザールどこへ行く/少女ムシェット)
抵抗-死刑囚は逃げた [DVD]
今年はインボイスと電帳法対応が忙しくて全然観られませんでした…。 1・セルジオ・レオーネ『ウエスタン(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト)』(1968、伊・米) 2・酒井耕・濱口竜介『東北記録映画三部作 第一部 なみのおと』(2011、日) 3・酒井耕・濱口竜介『東北記録映画三部作 第二部 なみのこえ 気仙沼』(2013、日) 4・酒井耕・濱口竜介『東北記録映画三部作 第二部 なみのこえ 新地町』(2013、日) 5・酒井耕・濱口竜介『東北記録映画三部作 第三部 うたうひと』(2013、日) 6・ロベール・ブレッソン『ジャンヌ・ダルク裁判』(1962、仏) 7・シアン・ヘダー『CO…
メルヴィルとブレッソン、同じ匂いはするが似て非なる別物 こう書くと誤解がありそうだが、個人的には双方とも最愛の映画作家である。事実、ジャン=ピエール・メルヴィルとロベール・ブレッソンはよく比較されるし、「海の沈黙」と「抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-」は、第1回岩波ホールセレクションにて上映された。そして、今回の記事の目的は、唯一日本語版の全作品を所持している(VHSを除く)映画作家なのに、未ソフト化の作品がある。そのソフト化を渇望し、啓蒙活動としたい【永久保存版】。 目次 【メルヴィルvsブレッソン】価値観の形成について 【メルヴィルvsブレッソン】ふたりの違いと共通点について 【メ…
1944年ロベール・ブレッソン監督。 18世紀フランスの哲学者ドゥニ・ディドロによる小説「運命論者ジャックとその主人」が原作。ブレッソンが脚色し、ジャン・コクトーがセリフ監修とのこと。 男が女のいうことを額面通りに解釈する悲劇が面白いドラマ仕立てになっているように感じる。 男性の振る舞いが鈍感すぎて女の復讐してやるという気持ちには大いに共感するのだが、そのやり方が。。女にも半ばマゾヒスティックな部分があるのかな。ブレッソン、「ラルジャン」*1を観た時も結論の不条理、だけどそこまでの話法のうまさに惹きつけられたが、この作品にもそれを感じた。 財力にものを言わせて、踊り子をしている没落した家の娘を…
映画『やまぶき』山﨑樹一郎監督最新作 エドワード・ヤンの「恐怖分子」(’86)だ、と本編が始まってからずっとあの映画を想起してみていた。一見関係のない人間関係がある偶然によって繋がって行く。 正社員に、と吉報を貰った砕石工場職員チャンス(カン・ユンス)がさる不運に見舞われ、犯罪に手を染めるのはブレッソン「ラルジャン」('83)も思わせる。 ラルジャン ≪スペシャル・プライス≫【Blu-ray】 [ クリスチャン・パティ ]価格: 1650 円楽天で詳細を見る チャンス、シニカルな役名だ。 「ここではないどこか」へ向かう人々ではなく「どこかから来て(仕方なく)ここにいる」人々。 16㎜フィルム、…
ロベール・ブレッソンはプロの俳優をキャスティングせず素人を起用することが多いのはよく知られた話である。『たぶん悪魔が』に登場する若者たちも非職業俳優であり、その無表情な顔や自然体というよりはなかばぞんざいなふるまいが五月革命以後のパリの空気感、閉塞感を纏っているかのようにスタンダード・サイズの乾いた画面に映っている。そのような有り様が自殺願望に取り憑かれる美青年シャルルを筆頭に、虚無感に苛まれ無気力に生きるしかない登場人物たちの役柄にまさしく適している。ゴダールがそうであるようにブレッソンも音声の処理に多大な注意を払い、映像のみならず映画における音声の存在を重要視している。助監督を務めた人の話…
ロベール・ブレッソン監督による1977年作『たぶん悪魔が』について。ロマン主義的に絶望の中から美を求める主人公が、非人間的な手続きで組み上げられた社会に回収されていく映画として。そして、ブレッソンの映画はその方法によってその社会への抵抗となっているのではないか。 あらすじ 3人の男に表される現代的な精神崩壊の過程 非現実への浮遊 / 主人公の求める美 人間性の剥奪された手作業 / 手続き ロベール・ブレッソンにおける手作業 作品詳細 関連記事 あらすじ 裕福な家柄の出でありながら自殺願望に取り憑かれている美しい青年シャルルは、政治集会や教会の討論会に顔を出しても違和感を抱くだけで何も解決しない…
ロベール・ブレッソン監督による1974年作『湖のランスロ』について。近代化していく社会が破滅する映画であると同時に、近代化し切った社会が破滅する映画でもあるという二重構造となっている。その二つが音によって組み立てられ響き合うようになっている。 www.youtube.com あらすじ 音の対比 行き場のない近代社会の破滅 近代化していく社会の破滅 感想 / レビュー / その他 作品詳細 関連記事 あらすじ 城に帰還したものの、聖杯探しに失敗し多くの戦死者を出したアルテュス王の円卓の騎士たち。その中のひとり、ランスロは王妃グニエーヴルとの道ならぬ恋に苦悩していた。神に不倫をやめると誓うランスロ…
ロベール・ブレッソン監督による1969年作『やさしい女』について。主人公が絶望に至る過程を撮った映画である一方で、監督自身の方法論によってこの映画自体が劇中のマクベスと重ね合わされ、ある種の希望のようになっている。 www.youtube.com あらすじ 抜け出せなさへの絶望 救い / 抵抗としてのシネマトグラフ 作品詳細 関連記事 あらすじ 「彼女は16歳ぐらいに見えた」。質屋を営む中年男は妻との初めての出会いをそう回想する。安物のカメラやキリスト像を質に出す、若く美しいがひどく貧しい女と出会った男は、「あなたの望みは愛ではなく結婚だわ」と指摘する彼女を説き伏せ結婚する。質素ながらも順調そ…
ロベール・ブレッソン監督による1967年作『少女ムシェット』について。 鳥としての少女 冒頭の鳥と同様に、ムシェットは地べたでの生活をしており、どこに行っても罠がある。その中で、物理的にも雨に打たれて泥まみれになるのが描写されていく。母親の死と強姦によって周囲からも疎外され、完全に罠にかかった状態になる。 最後の入水シーンにおいて、ムシェットは映らずに抱えてた死装束と水飛沫だけが映る。鳥と同じくその地べたでの生活から飛び立っていったような、ある種自由になったような印象を残して終わる。 『バルタザールどこへ行く』におけるロバとマリーが一体化したような存在がムシェットであり、喜劇的な雰囲気や前日譚…
ロベール・ブレッソン監督による1966年作『バルタザールどこへ行く』について。 無力な存在としてのロバ 幸せそうな家庭があり、ほとんど結ばれてるような幼馴染がいて、大切に飼われているロバがいるという理想的な状況がある。しかし、その幼馴染は結ばれず、家庭は破産し農具が近代化することでロバは必要なくなる。既存の生活が時代や価値観の変化にのまれて完全に崩れていく。そして最後に最初の幸せだった頃が幻想の様に繰り返されて終わる。 幸せだった時を未だに見つつも、変化に対して傍観することしかできない無力な存在としてロバが配置されており、そのロバの瞳を見る映画であるような感覚もある。成長したマリーが幼馴染の父…
・「①」へ●「新・三つ数えろ」 ●「フレデリック・ワイズマンの足跡 Part.3」 ●「古典映画超講義」●「カメラの前で演じること」 ●「レオス・カラックス 映画を彷徨うひと」 ●「ユリイカ」2020年10月号●〃2022年12月 ●「carteblanche-movie」2009年 ●「kinejun.com」●「Letterboxd」 ●「京都ヒストリカ国際映画祭」2022年 ●「LaCinetek」 「よみがえるブルース」より ・「①」へ ●「DVD&動画配信でーた 2021年12月号」の「新・三つ数えろ」より スカーレット・ストリート(緋色の街) フリッツ・ラング…ジャン・ルノワー…
今回は、私が個人的に愛するコンテンツや推し的な人、キャラクターについて紹介できればと思います。クィアな観点が前提となっていることを一応明記しておきます。あと、好きなコンテンツを羅列したため、長いわりにあんまり中身のない紹介になってしまっているかもしれませんが、ここであげた作品は基本的にどれもおすすめなので興味があれば是非見たり、聞いたりしてみてください。 長くなりすぎて、気づいていない誤字や脱字も多々あると思います。見つけたら適宜修正していきます。 アニメ編 カウボーイビバップ 少女革命ウテナ カードキャプターさくら ノワール キノの旅 中村隆太郎版 蟲師 電脳コイル 日常 少女終末旅行 まち…
映画やアニメの感想など。
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こんにちは。この映画は元々は深作欣二が監督する予定だったそうです。北野武の凄さは色々ありますが僕は自分を客観視出来ていることがあると思います。というかこれが初監督作品ということが驚きです。既に映画として完成されています。この映画は前半と後半で大きく変わります。前半はアンチヒーローもので後半は社会の暗部の権謀術数ものになります。最初に自分を客観視出来ていると書いたのはその前半のことです。自分が監督して主演するというのは実は凄く難しいことです。特に前半のアンチヒーローものは自分を格好良く見せるように作らなければなりません。北野武という人間は多分ナルシストではないのでここのさじ加減は凄くナイーブなと…
宗教を信じられていた時代だったら簡単だった。しかし宗教への敬意は私自身が使っている言葉によって踏みにじられている。私たちが使っている言葉は全体として宗教への敬意が失われたモードに乗っているのだから、私が一言しゃべるたびに宗教から遠ざかるだろう。 (保坂和志『小説の自由』 p.196) 9時半起床。白湯を飲みながらきのうづけの記事の続きを書いて投稿。 11時半をまわったところで寮を出る。おもてはなかなかの雨降り。気温もぐっと下がった。ひさしぶりにコートを着た。第四食堂前にある男子寮の入り口で授業終わりのR.Hくんを待つ。ちょうど授業の終わった時間帯であるので、食堂周辺はものすごく混雑している。C…
実際、掟は、掟の信奉者を寝かしつけるものである。我々も、法律を尊重して生活しているが、それは法律によって自分の精神の一部を眠り込ませるためである。その状態は、分析用語で言えば、超自我と自我の間柄に属する。つまりそれは一つの催眠なのである。掟に従属するということは、起きていながら眠ってしまう催眠状態に自ら進んで陥るようなものなのだ。 書くという行為は、起きていることを前提としている。人よりもはっきりと目覚めていることは、カフカの自己決定の一部であったと思われる。しかし彼は眠りたかった。それゆえ、彼は、眠りの外側を、催眠と同じ状態だと断じることにした。世間と一緒に起きていてどうするのだ? それは実…
我々は朝目覚めたときに、そこが夢の世界ではないことにすぐ気がつく。たった今まで真剣に夢を見ていたのに、夢だったのか、で済ませてしまう。たとえば夢の中でどこかへ行き着こうとして、どうにも行き着けないような夢を見ていたとすれば、いったん起きればもうそこに行くことなどどうでもよくなり、それがどこだったかも気に留めない。これはいささか節操を欠いてはいないか? (保坂和志『小説の自由』より新宮一成「カフカ、夢と昏迷の倫理」) 8時30分起床。10時から一年生2班の日語会話(二)。第12課。教案、全体的にちょっと弱いなという印象。特にアクティビティがまずい。要修正。 死ぬほど混雑しているキャンパスを抜けて…
すでに写真家としてのキャリアをスタートさせていたアニエス・ヴァルダは、1954年にこの映画デビュー作を撮ったけれども、この作品は「ヌーヴェル・ヴァーグ」の先駆け、もしくは「ヌーヴェル・ヴァーグ」の最初の作品とみなされているようだ。 ラ・ポワント・クールトとは南フランスの「漁師の村」として知られる場所の地名で、ヴァルダがさいしょ数日間、この村で写真撮影を行ったのだけれども、そこで「長編映画を撮る」ことを決意した。ヴァルダはそれまでに約20本の映画しか観たことがなかったということで、彼女はこの作品について「カメラをどこに、どのくらいの距離に置き、どのレンズとどんな照明を使うかということだけを考えて…
高い高い草から アスファルトの運動場の縁へと ぼくは君がぼくを観察するのを見る ぼくはぼくに見られてるのに気づいていない君を見る ぼくがかすめ取る盗み見の一つひとつが ぼくの生命に一日を加える 近ごろ君はつかまえにくい あるいはぼくが耄碌してきたのか 君かぼくのどちらかが確かに負けようとしている (サム・シェパード/畑中佳樹・訳『モーテル・クロニクルズ』 p.177) 10時半起床。寝床にとどまりスマホでニュースを見る。いま、いきおいあまって「スマホでぽちぽちニュースを見る」と書きそうになったのだが、もはや携帯電話をぽちぽちする時代ではないのだ。じゃあ、どう表現すればいいのか? 画面をタップし…
どうしてぼくは思うのだろう 「この男はイカレポンチだ」と 彼がクリーム入れを手に取って 「キュートなモオモオちゃん」とそれを呼ぶ時に どうしてかはわかっている。 それは彼がどうしても人々に馴染めずにいる孤独感を 少しもかくそうとしていないから (サム・シェパード/畑中佳樹・訳『モーテル・クロニクルズ』 p.158) 10時起床。寒すぎるので寝床のなかにそのまま小一時間とどまる。花粉症の症状はほぼ解消された。鼻のなかがむずむずすることはまだあるが、鼻水および鼻詰まりに悩まされることはない。日本を出ることによって享受できる最大の恩恵。 ラスクと白湯で軽い食事をとる。きのうづけの記事の続きを書いて投…
全3項目 ●代表作 ●「フリースタイル57 特集:マンガ家による 極私的偏愛映画ベスト10 PART 2」より14本 ●「cookie.shueisha.co.jp」の「集英社 Cookie」プロフィールより2本 「シェルブールの雨傘」より 全3項目 ●代表作 漫画「重版出来!」、 「レタスバーガープリーズ. OK, OK!」等 漫画家として活躍する女性の松田奈緒子が影響を受けた・好きな映画。 ●「フリースタイル57 特集:マンガ家による 極私的偏愛映画ベスト10 PART 2」より14本 激突! スティーヴン・スピルバーグ…スリラー、恐怖、カーチェイス、アクション ※白い肌の異常な夜…
2023年に残念ながら亡くなられた坂本龍一さん。 坂本龍一さんの訃報に海外の友人たちがインスタグラムのストーリーにあげているものを見て気が付きました。 この投稿をInstagramで見る Ryuichi Sakamoto(@skmtgram)がシェアした投稿 身の回りだけの話になりますが、日本でよりも海外で多く話題になっていたので、日本人でここまで世界で話題になる人ってどれほどいるのだろうかと驚いた記憶です。 亡くなられたニュースが頭に残っていたのか巡回していた本屋で置かれているのを見て手にとって読んだ本のうち1冊目が本書「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」になります。これらの本を読んで見た戦…
全6項目●代表作 ●「Conversations With Lav Diaz」 ●「Kustendorf Film & Music Festiva」 ●「出産の世紀(Siglo ng pagluluwal)」で引用 ●「Top 10 off the Top」 ●「The Light of Los Angeles」 「マニラ・光る爪」より 全6項目 ●代表作 「昔のはじまり」、 「北(ノルテ) 歴史の終わり」、 「立ち去った女」等 映画監督、脚本家 等で活躍するラヴ・ディアスが影響を受けた・好きな映画。 ●Michael Guarneri(マイケル・ガルネリ/マイケル・グァルネリ)2021年…
全3項目 ●代表作 ●「The Criterion Collection」の「Willem Dafoe’s Closet Picks」より12本 ●「letterboxd」の「Four Favorites with Emma Stone, Kathryn Hunter, Mark Ruffalo, Willem Dafoe and Yorgos Lanthimos」より5本 「鬼婆(新藤兼人)」より 全3項目 ●代表作 俳優「プラトーン」、 「ミシシッピー・バーニング」、 「スパイダーマン」シリーズ、 「ストリート・オブ・ファイヤー」、 「処刑人」「アクアマン」、 「ジョン・ウィック」「トーゴ…