アメリカのミステリ(ハードボイルド)作家。1915年カルフォルニア生まれ。1964年『さむけ』で英国推理作家協会(CWA)賞シルヴァー・ダガー賞、翌65年に『ドルの向こう側』でCWA賞ゴールド・ダガー賞を受賞。また同年にアメリカ探偵作家クラブ(MWA)の会長を務め、74年にMWA賞巨匠賞を受賞。1983年没。作家のマーガレット・ミラーは妻。
昨日までより少し寒くなりました。 明日からは本格的な寒さになるそうです。 ストーブを出し、布団を厚いものに変え、マフラーと手袋と帽子も 用意し、準備はしたけれど。 寒いのはやっぱり苦手。 寒さつながり(笑) ↓ 「さむけ」(ロス・マクドナルド 著)を読みました。 原題は「THE CHILL」。chillは悪寒、ぞくぞくするような寒けという意味。 タイトルからは怖い小説、ホラー小説を思わせますが、 果たして・・・ ハヤカワ・ミステリ文庫の初版は1976年。 かなり前になります。私は作者名と題名だけ知っていましたが、 読んだことはありませんでした。 10/17付の毎日新聞書評欄「今週の本棚」の「な…
私立探偵リュウ・アーチャー・シリーズの第4作目の作品。あまり初期と思っていなったけど、比較的初期作でした。前に『悪い男』をロス・マク的と書いたけど、本当にそうだったかなと確かめたくて手に取りました。本作は、昔、読んでいると思いますが、新訳されたようで、絶版が多いロス・マクのなかでも数少ない書店で手に入る作品です。 情景描写や物語の進め方、キャラクターの書き方など、往年のロス・マクらしさがすでに出ていますが、最初驚いたのが、物語がサクサク進むことです。金持ちの婦人が自分のメイドの若い黒人女性を探し出してほしいという依頼シーンから始まるのですが、その若い女性の写真を受け取らず、目の大きさやスタイル…
●『仁木兄妹長編全集1 夏・秋の巻』 仁木悦子 出版芸術社 読了。 長編が二編収録されている。 「猫は知っていた」 数十年ぶりの再読である。当然内容はすっかり忘れており、まっさらの状態で読んだ。引っ掛かる点がひとつ。事件の背景を成すある情報が、(伏字)ことに依存しているのだ。もっともこれは私の好みの話で、作品の質の話ではない。 事件を支えるある仕掛けは、そんなに上手いこといくのか? と思ってしまった。だがこれも作中でそれなりの描写が重ねられているので、あまり気にすることではない。上手くいったから事件が成立したと思えばよろしい。 それ以外は、全般として満足である。伏線が多く、ロジックの興味もある…
耳をすます壁 (創元推理文庫 247-2) 作者:マーガレット ミラー 東京創元社 Amazon ミステリ小説にまったく疎いので、高名な夫のロス・マクドナルド(高校の同級生ですって。キャー!)を読まずしてマーガレット・ミラーのファンになったのでした。 ある時、津村記久子さんのエッセイを読んでいて「マーガレット・ミラーの小説を読み始めたら止まらなくなって完徹」みたいなことが書いてあったことが手に取ったきっかけだった。そんなにおもしろいのか、と。 (ミステリはハマるとホントに止まらない。私は髙村薫『レディ・ジョーカー』とかエーコ『薔薇の名前』とかがそうだった) おもしろい。三作しか読んでないけど全…
「X」(ダッセェ名前だ)のタイムラインに流れてきた猪瀬直樹の古い本の書影をみて、AIだかなんだか、やっている人が、猪瀬直樹を推薦するのかいな、ここらへん、IQが落ちすぎだろう、とおもっていてしまう。 いや、落合陽一さんのことなんだけれど、パフォーマンスをみたことはないし、大学の先生としてはユニークなひと、なんだとおもう。 それでまあ、人文科学なんてどうでもいい、っていうのは、言っていればいいという話なのだけれども、人文科学がどうでもいい、というのと、人文教養がない、というのとでは、全然べつの話なんだよね。 猪瀬直樹の本読んでいるのなんて、人文教養がそもそもないひとだよ。そっちの分野だから、それ…
深夜の突発企画。こう云うのは勢いでやるもんだ。選んだのは十二冊。黄金の十二ゴールデン・ダズンである。 アガサ・クリスティー『オリエント急行の殺人』 アガサ・クリスティー『葬儀を終えて』 アガサ・クリスティー『鏡は横にひび割れて』 アガサ・クリスティー『五匹の子豚』 ドロシー・L・セイヤーズ『ナイン・テイラーズ』 G・K・チェスタトン『ブラウン神父の不信』 エラリイ・クイーン『九尾の猫』 ヒラリー・ウォー『生まれながらの犠牲者』 ロス・マクドナルド『さむけ』 ハリイ・ケメルマン『九マイルは遠すぎる』 コリン・デクスター『ニコラス・クインの静かな世界』 ホルヘ・ルイス・ボルヘス『伝奇集』 アガサ・…
今日はしっかり雪が降った。 出勤時はまだ曇りで助かったけどその後雪になり、夕方からは雨かみぞれか、いずれにしてもちょっと嫌なので、止んでから帰ろうと思ってたら日付が変わってしまった。まあちょっと片付けないといけないこともあったし、いつも寝る時間までは間があるので構わないのだけど。 明日も降るらしい。 気温はギリギリ摂氏でプラスなので、足元がどういう状態かは起きてみないとわからない。ロス・マクドナルド「ウィチャリー家の女」読了。 1950年代後半(多分)のアメリカ西海岸を舞台にしたハードボイルド・ミステリー。 いつか読みたいと思っていた探偵リュウ・アーチャーのシリーズで、評判に違わず面白かった。…
「新潮」の浅田彰インタビューに心躍らせる 新潮 2024年02月号 新潮社 Amazon 新しい年(ねん)がはじまって、殊勝に文芸誌などを開いてみると、浅田彰がインタビューを受けていて、さすが新潮は新潮だな、とおもうものがあるのだった。ニューアカといえば、今はもう、島田雅彦、とならないところがある。今の文学のシーン、というとシーンなどというものがはたしてあるのか、という話になるが、それでも距離感のようなものが感じられる――われわれはもう島田雅彦の問題圏から、遠く離れているのではなかったか。じっさい、彼自身もそれは自覚をしていて、自覚はしているのだけれども「徒然王子」とかあの辺のラインは島田はま…
本書は、これまで「動く標的」「別れの顔」などを紹介してきたロス・マクドナルドのリュー・アーチャーものの短編集。のちに長編「運命」の原案となる「運命の裁き」だけが中編(100ページ強)で、他は50ページ未満の短編が4編あり、加えて作者自身の評論「主人公としての探偵と作家」も収められている。翻訳は日本ではハードボイルドの伝道師である小鷹信光が担当し、巻末にコメント付きの作品リストを付けている。 フィリップ・マーロウの後継者とも言われたアーチャーだが、初期作品にこそマーロウの哀愁を受け継ぐ傾向があったものの、やがて透明な存在として独白するようになり、事件とそれにまつわる人たちを見つめる存在になってい…
みなさま、今年も残りすくなくなってきました。いかがおすごしでしょうか。 タイトルの通りです。2023年の年末まとめ記事はおそらくこれで最後になるかと思います。今年もいろいろ水面下で動いているのですが、かたちになったりならなかったりという感じでヒーヒーいうとります。 来年こそはたくさんよいお知らせをしたいですね。というわけで年末の読書に以下の文章はいかがでしょうか。無料で読める作品もあります。 『百合小説コレクション wiz』著者紹介テキスト作成協力 百合小説コレクション wiz (河出文庫) 作者:深緑野分,斜線堂有紀,宮木あや子 河出書房新社 Amazon 『百合小説コレクション wiz』の…
●『エイプリル・ロビン殺人事件』 C・ライス ポケミス 読了。 明るいトーンのロス・マクドナルドとでもいった作品。人間関係が複雑にからみ合い、過去と現在とが交錯し、やがて人々の隠されていた正体が見えてくる。とにかく展開が速く起伏に富んで、読んでいる間はすこぶる面白い。ただ読んで面白いってのが本書の身上で、ミステリとしての出来栄えを求めてはいけないのだろう。真相に関してちょいとネガティブなことを書いたのだが、もちろん非公開。 ●注文していた本が届いた。『ソーラー・ポンズの帰還』 A・ダーレス 綺想社
『ミステリマガジン』2024年1月号No.762【ミステリが読みたい!2024年版】 海外編のベストテンには興味のあるものがありませんでした。国内編の1位~3位『可燃物』米澤穂信、『君のクイズ』小川哲、『鵼の碑』京極夏彦はまだ読んでませんがいずれ読むつもり。12位『禁じられた館』ミシェル・エルベール&ウジェーヌ・ヴィルは、これまでまったく知られていなかった黄金時代のフランスミステリ。以前華文ミステリ特集のとき「涙を載せた弾丸」(→ここ)が掲載されていた「中国のディクスン・カー」孫沁文の長篇『厳冬之棺』がいつの間にか刊行されていたようです。華文ミステリからは、蔡駿『忘却の河』『幽霊ホテルからの手…
洋楽聴かない人にもオススメの楽曲、この心地よさは、リピート必至なのだ! 多重トランペットの浮遊感 これまでにない心地よさ The 1975の『Sincerity Is Scary』 目次 洋楽聴かない人にもオススメの楽曲、この心地よさは、リピート必至なのだ! The 1975 『Sincerity Is Scary』 歌詞と和訳 歌詞概要 The 1975 The 1975(ザ・ナインティーンセヴンティファイヴ)は、イギリス出身のポップ・ロックバンド。2002年にチェシャー州ウィルムスローで結成され、現在はマンチェスターを拠点に活動している。 メンバーマシュー・ヒーリー(ボーカル・ギター)アダ…
本書(1964年発表)は、正統派ハードボイルドの旗手ロス・マクドナルドが英国推理作家協会賞を受賞した代表作である。一口に正統派ハードボイルドというが、リアルで非情なハメット、あくまで内省的なチャンドラーと作者のトーンは異なる。僕の感じからいうと「客観的な優しい目」を、主人公リュー・アーチャーは持って事件にあたる。本書でもアーチャーは、何をしているかと問われて「人の生活を知ることが商売で、熱情や妄念の対象でもある」と答えている。 事件の発端は、サンディエゴ近くの街の少年院から脱走したトム・ヒルマンを探してくれとの依頼。20歳前の富豪の一人息子なのだが、手のつけられない暴れ者だと少年院は厄介払いし…
資本論はおいておくとして、こうした私の態度はすでにして、当時としては「保守」寄りの態度とみなされるそれであったということは、附言をしておきたく思う。インターテクスチュアリティはナショナリズムと親和性が高い、……というような議論のレベルでもない。信じられない話だが、ひとつの小説作品を読むに際して、それが書かれた背景なり、テクスト間の影響関係なりを吟味し、検討をすることとは、歴史の重層性を前提とした態度にほかならない。この歴史関係をそもそもないものと見なすことが、当時の左派の大勢の見方であった。わかりやすい一例なのだが、オリンピックで高橋尚子がマラソンで金メダルを獲ったことを、素直に、いつものフラ…
【 ちょこっと一休み 】 毎日の仕事やストレスでカチコチに凝り固まった心を ちょこっとだけ一休みさせたい・・・ そんな時には 「本」「音楽」「映画」「芸術」!! この4つの楽しいジャンルが私に〈癒し〉を与えてくれます! てなことで! 自分自身の心に〈柔軟剤〉を投入!! 大好きなコトを徒然に語って ちょこっと「癒しの時間」を過ごしたいと思います。 【 好きな作家さん:海外 】 因みにどんなモノが好きかというと———— 「本」でいえば 「本格ミステリー」が大好きで、 その中でも〈1920~60年までの海外ミステリー〉なんて超最高! 特に1930年代の「ミステリー黄金期」が大好物! 作家さんで言えば…