→ マルティン・ルター
ホルバインによるエラスムスの肖像画 第7章 ヴェネツィアの印刷業者 エラスムスは『格言集』刊行を実現するため、予定していたローマ行きを一時中止してヴェネツィアに移り住むようになった もともとヴェネツィアは、十五世紀中葉以来、印刷・出版活動のきわめて盛んな街だった。 当時のイタリアは、現在と違って、食事の量が少なかった。エラスムスのような北の人は、食事の量は多かったため、食事の時は自分の部屋で食べるようにしていた。 第8章 ゆっくり急げ 「ゆっくり急げ(Festina lente)」 ローマの皇帝アウグストゥスの座右の銘だと伝えられるが、さらに遡れば「ゆっくり熟慮して、しかる後素早く行動せよ」と…
「旧・東ドイツのエリアはこことは違う」そう言っていたのはドイツで働いていた頃の現地人社員だった。東西ドイツが統一され20年以上も経っていたが実際多くの旧・西ドイツ市民には統一後の税金が旧東ドイツの復興や格差是正に使われたと不満が多かったようだ。会社の人達もそんな話をしていた。 それは別として自分が憧れていた街は何故が東ドイツに多かった。ザクセンの古都・ドレスデン、ライプツィヒ。いずれにも素敵なオーケストラがありバッハゆかりの地だ。ワイマールやアイゼナハなどにも惹かれていた。ドレスデンでは憧れのシュターツカペレ・ドレスデンの演奏会に酔った。ライプツィヒの聖トーマス教会でバッハの墓に触れ、頭の中に…
今日は当ブログの本題、作成中の年表地図の11ページ目 ”ルネサンスと宗教改革” になります。 歴史年表地図もいよいよ1/3を通過し、全体の1/2、折り返し地点を目指す所にまでやって来ました!。 今回も勿論、あくまで歴史初心者的な目線で見ていきますのでご了承ください😅。 内容途中に誤字や間違いなども,きっと見落としや勘違いなどもあるかもしれませんが、あくまで自家用として作成しているので、その辺はご勘弁。
「キリスト者の自由」は、50ページほどの短い論文ですが、キリストによってもたらされた自由とは何か、信仰とは何か、義とは?、愛とは?が、明瞭に説かれています。 キリスト者の自由・聖書への序言 (岩波文庫) 作者:マルティン・ルター 岩波書店 Amazon ここで掲げられている2つの命題、 キリスト者はすべてのものの上に立つ自由な君主であって、何人にも従属しない。 キリスト者はすべてのものに奉仕する僕であって、何人にも従属する。 これを理解するには、人(キリスト者)は皆、”何人も霊的と身体的との両性質を持っていることを記憶しなければならない。” ということです。 さて、ルターの改革の動機は、以下の…
『現代思想の教科書』という本があるのですが、この本の第12章「宗教について」ーー宗教回帰を問うーー西谷修との対談の中に、このようなことが書かれたあった。それは、ルターの改革によって、現代の政教分離の概念が生じた、というもので、(ルターの改革というのは、調べればすぐにわかることですが、ローマカトリック教会による所与の制度による信仰のあり方からではなく、内面の信仰によって、罪が贖われる、と考えるもの)。信仰は、内面的なもの(信教の自由、宗教的領域)であり、そのことにより、公(政治的な領域)との分離が生まれ、今でいう、多文化理解というものが説明できる、ということを話されています。 そこで自由になった…
今日はうれしいことがありました。探していたものが見つかったのです。なくしたものが見つかったのではなく、前から見つけたいと思っていたものが見つかったのです。 それは宗教改革者ルターが語った言葉です。彼はキリスト者は「義人にして罪人」と語ったとされています。有名な言葉です。ネットで調べても出典が分からなかったのです。今日ルターの『ローマ書講義・下』(ルター著作集第二集9)の中のローマ書4章を解釈している部分を読んでいたら、この言葉に出会いました。 聖徒たちは内的には罪人であり、従って外的には常に義とされている。・・・内的とは、われわれが、われわれの目に、われわれの評価においてどのようであるかという…
黙示録の第三のシンボルには「大きな紅い竜」が、「天の星の三分の一」を引き寄せ「子を産もうとする女の前に立ち、その子が生まれるとすぐに食い尽くそうとする」描写があります。 また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、大きな、赤い龍がいた。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっていた。その尾は天の星の三分の一を掃き寄せ、それらを地に投げ落した。龍は子を産もうとしている女の前に立ち、生れたなら、その子を食い尽そうとかまえていた。黙示録12:3-4 そして、9節には、この竜がサタンであることが明らかにされています。この巨大な龍、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれ、全世界を惑わす年を経…
※2016年に書いた記事の転載です。 宗教改革500周年を記念して作られた限定アイテム ドイツ宗教改革の中心人物、マルティン・ルター。 「たとえ明日世界が滅亡しようとも、私はリンゴの木を植えるだろう。」 など、多くの名言も残しています。 ニュルンベルク市から限定発売です。 ルターはドイツの神学者なのでプレモとコラボしたのかな? おっさんでもプレモになるとこんなにかわいい~。 長いマントも格好いい。 マルタ島の司祭と尼さんと一緒に。 オランダ美術館のコラボアイテムと一緒にパチリ。 どれもお気に入りです。 実際のルターはこんな感じで ワカメちゃんカットのごついおじさんです。 ミュージアムとのコラボ…
小学校五年生のみずほが主人公。 みずほのおじいちゃんは五年前に大腸がんで手術をしますが肺に転移をしてしまいます。おじいちゃんは積極的な治療をせずに毎日を淡々と過ごしていきます。そんなおじいちゃんとみずほのやりとりが心温まります。 表紙を見ててっきり「りんご農家」のお話かと思いきや、ほとんどりんごが関係なかったのは少々残念… 「たとえあした、世界が滅亡しようともきょうわたしはりんごの木を植える」というルターの名言がおじいちゃんからみずほに伝えられます。りんごの影はここだけで残念。ルターの言葉は小学生にはむずかしいかもしれない… 理解のある優しい父母、優しい兄、オシャレで素敵なおじいちゃんおばあち…
ローマ教会のシンボルでもある、サン・ピエトロ大聖堂の改築工事が資金不足で進まなくなり、ローマ教皇のレオ10世がドイツで贖宥状を売り出すことにした。(贖宥状とは、これを所有していれば、犯した罪の償いを軽減されるという、万能な赦免状のようなものです) 贖宥状が売り出されてから2年後に、ヴィッテンベルク大学の神学教授のマルティン・ルターが「贖宥状に対する95ヶ条の課題」を提出し、贖宥は神のみが可能であり、教会にはなしえぬことだと断言し。「人間の罪を身代わりになって宥すことができるのは、神のみである」と提言した。 聖職者たちの贅沢や堕落に対して問題を抱いていた庶民たちは、このルターの問題提起を契機とし…
2024年度共通テスト・世界史Bの解き方問題は以下のURLで拾ってください。① https://www.asahi.com/edu/kyotsu-exam/shiken2024/mondai_day1_jmq2ytbaxq/sekaishi_b.html② https://www.toshin.com/kyotsutest/sekaishi-b_question_0.html 第1問A問1[ 1 ] 正解は①、なぜなら「資料1で、李斯は、……周王が制御できなくなったこと」と「文王と武王は、一族や功臣の多くに、封土を分け与えて諸侯としましたが、その後疎遠となって攻撃し合い」と一致しているからです…
悲しむ人々は、幸いである、その人たちは慰められる。(マタイによる福音書5章4節) 悲しみは、この世にあっては不幸のしるしです。人々はできるなら悲しみから遠ざかりたいのです。悲しみと縁を切りたいのです。けれども主イエスは仰せになります―悲しむ人々は幸いである。なぜ、悲しむ人々が幸いなのでしょうか。主イエスは答えられます。「その人たちは慰められる」。悲しむ人々が幸いであるのは、慰めを受けるからです。 ここでの悲しみは、人間の根本的な悲しみです。人間存在の奥底にある悲しみです。しばらくすれば忘れられてしまうような悲しみではない。痛みをもたらす悲しみがあります。さらに、死をもたらす悲しみというものもあ…
【 大学入試問題で読み解く「超」世界史 】 先日、『大学入試問題で読み解く「超」世界史・日本史』(片山杜秀著、文藝春秋)を読んだ。 以下は、一部抜粋。(その2) 【問題2】宗教改革が「国民」をつくった 下線部B[宗教改革]に関連して、ルターの主張した宗教改革が、ドイツでは農民戦争以降、諸侯と結びついて進められていった理由を、所定の欄の範囲内[100字程度]で説明しなさい。(慶応義塾大学経済学部 2013年度 世界史) 「農民戦争に際して現世の秩序を神が定めたものとしたルターの教えは諸侯に都合のよいものであり、皇帝権と結びついていたカトリックから離れて領邦教会制を樹立することで、諸侯が皇帝から自…
心の貧しい人々は、幸いである、天の国はその人たちのものである。(マタイによる福音書5章3節) 心の貧しい人々は、幸いである。そう主イエスは言われます。豊かなことが幸いであるというのではない。貧しいことが幸いである。天の国ではこの世のものさし、この世の常識はひっくり返されるのです。 心が貧しい。どういう意味でしょうか。「霊において貧しい」と訳している聖書の翻訳があることが参考になります。つまり、これは神の前での貧しさを言っているのです。霊的な御方である神の前で、霊を持つ者として造られた人間のすがたが問われている。心が貧しいというと、何か道徳的な問題かと思ってしまうところがありますが、そうではあり…
CHRISTABEL. Samuel Taylor Coleridge (1816)萩原 學(訳) CHRISTABEL. 前書き。PREFACE. 第一部 PART 1 第1部への結びTHE CONCLUSION TO PART THE FIRST. 第二部。PART II. 第二部への結びTHE CONCLUSION ΤΟ PART THE SECOND. 前書き。PREFACE. 次の詩の第1部はサマセット郡のストーウィで1797年に、第2部はドイツから帰国した後、1800年にカンバーランドのケズウィックで書かれました。以来、私の詩の力は、ごく最近まで、水を差された状態にありました。しか…
前回の記事では、ハプスブルク家が神聖ローマ皇帝に君臨すると皇帝の権力が安定した時代となったことをまとめました。 14世紀になるとイタリアを中心にヨーロッパにルネサンスが起こります。 ルネサンス期に作られた有名は建造物の一つが、現在のバチカン市国にある「サン・ピエトロ大聖堂」ではないでしょうか。 サン・ピエトロ大聖堂の建造が発端となってドイツを中心に大きな改革が起きていくことになります。 ローマ教皇はサン・ピエトロ大聖堂を作るために多額の資金を必要としていました。 そこで教皇は贖宥状(しょくゆうじょう)を購入すれば犯した罪が消えると宣伝しキリスト教徒に販売します。 贖宥状に対して異論を唱えたのが…
インターネット時代 ネットスケープが株式上場し、『Windows 95』が発売されてから、約30年が経ちました。この30年間は、まだ歴史を語れる状況ではないと思います。時代が最近すぎて、何が重要なできごとなのか取捨選択できないからです。 たとえば1999年に登場した『iモード[41]』は、その後の『EZweb』や『J-SKY』とともに、ゼロ年代の日本人にとって重要なインフラでした。しかし、それが世界の歴史の中でどのような位置づけになるのか、まだ分かりません。かつてのフランスの『ミニテル』と同様、ちょっとした挿話程度になってしまうかもしれません。 もしも読者のみなさんの記憶に鮮やかな事件を網羅し…
R・ブローニング『ハーメルンの斑な笛吹き』では、子供たちがトランシルヴァニアへ行ったかのような結末になっている。いくら何でも、これは無理が有り過ぎる。と、読者諸賢には感じられたであろう。 ところが、事実は小説より奇なり。実際にトランシルヴァニアへ移住したザクセン人集団があり、嘗てはトランシルヴァニア・ザクセン人として、特権階級を構成していたことがある。ザクセン人と呼ばれながら、多くはフランケン方言を話していたとも。そしてハーメルンは、ニーダーザクセン(低地ザクセン)州に属する、れっきとしたザクセン(英語読みサクソン)の一部である。 『ドラキュラ』作者ブラム・ストーカーが参考文献に挙げた『トラン…
『ミヒャエル・コールハース チリの地震 他一篇』ハインリヒ・フォン・クライスト 岩波書店[岩波文庫] 2024.04.06読了 ドイツ人作家の小説を読むのはなんと久しぶりだろう。名前は知っていたがクライストの作品は初めてだ。作家たちが好む、つまりプロの文筆家が好むのがクライスト。この文庫本には、表題作2作ともう一つの全3作の中短編が収められている。「他一篇」とするなら、もう一つもタイトルにしてしまえばいいのに、と思うのは私だけだろうか。ちなみにもう一つの題名は『サント・ドミンゴでの婚約』である。 まず一作目『ミヒャエル・コールハース』というのは馬商人の名前で、ある不当な扱いを受けた彼が復讐を試…
みなさんこんばんは。 私は中学校で数学教員をしています。 明日は数学の授業1発目です。 1発目の授業は教科開きと呼ばれていて、先生の数学の授業に対する期待と生徒の数学の授業に対する期待をすり合わせるためにとても重要です。 この教科開きで「なぜみんなは数学を学ぶのか」ということを語る必要があります。 しかし正直、「なぜみんなは数学を学ぶのか」に対して、自分で納得するような答えを持てていません。 そこで、今日は明日の教科開きで何を生徒に語るかを決めるために、「なぜ生徒が数学を学ぶのか」についてつらつらと書いていきます。 「僕自身はなぜ数学を学んできたか」なら答えられるんですよね。 とにかく楽しかっ…
逆境においては、人は希望によって救われる メナンドロス 紀元前342年 - 紀元前292年/291年 砂丘 [http://12019によるPixabayからの画像:title] 希望さえ失わなければ不可能なことなどありません クリストファー・ドリエ・リーヴ 1952年9月25日 - 2004年10月10日 希望は強い勇気であり、あらたな意志である マルティン・ルター 1483年11月10日 - 1546年2月18日
映画「APPELESEED」 士郎正宗の原作漫画「アップルシード」 ▶ 士郎正宗は米国のビルボードで坂本九「上を向いて歩こう」依頼の1位に輝いた「攻殻機動隊」の原作者でもある。 コードネーム化された「APPLESEED」とは、極度に機械化された文明下で 「人間の種の子孫を残す秘密プロジェクト」の事。この映画は つくばエクスプレス「柏の葉駅」のMOVIX劇場で鑑賞した。驚いたのは、映画のエンドロールで mink(シンガー)がエンディングテーマを歌っていた事。前述した TATOO「Doreamy Butterfly」のタイトル曲を歌唱しているのが「mink」だった。 ♪ドリームワールド/Take …
2024年3月の読書メーター読んだ本の数:13冊読んだページ数:3694ページナイス数:25ナイス https://bookmeter.com/users/1470825/summary/monthly/2024/3■「家庭」の誕生 ――理想と現実の歴史を追う (ちくま新書 1760)読了日:03月01日 著者:本多 真隆https://bookmeter.com/books/21615403 ■英語で読む老人と海 (IBC対訳ライブラリー)漁の描写が大半を占め、英文がリライトされているものなのもあって、似た表現が繰り返されていた。その点以外は良かった。対訳で、単語やイディオムもページ下にのっ…
アイザック・ニュートン『プリンキピア』(1687年) 回っているのは地球か、太陽か 印刷技術がなければ、「科学革命」も違った姿になっていたことでしょう。これは17世紀のヨーロッパで生じた科学知識の急速な発展のことです。中でも天動説から地動説への転換は、最も劇的な進歩でした。 ヨーロッパでは、長らく天動説――宇宙の中心に地球があり、他の天体がその周囲を回っている――という宇宙モデルが信じられていました。これは紀元前400年ごろにプラトンが考案したモデルに基づいています[11]。紀元前3世紀にはアリスタルコスが地動説――太陽が宇宙の中心にあり、その周りを地球やその他の惑星が回っている――というモデ…
印刷が世界を変えた 「世界を変えた印刷物」のリストを作るのは難題です。人文学が専門ではない私ですら、思いつく限りに書名を上げていけば数百~数千冊のリストになってしまうでしょう。私の本業である物語創作の観点でいえば、シェイクスピアやディケンズの著作はすべて世界を変えたレベルで重要です。しかし本書の趣旨からは離れるので、ここでの紹介は避けましょう。 また、ホッブスやロック、ルソー、モンテスキューなどの小中学校の社会科で習う思想家の著作をわざわざ紹介しても、学校の勉強のおさらいという趣が強くなりすぎてしまうでしょう。 ここでは私独自の視点から、絞りに絞って5冊を紹介します。 この5冊が紡ぐのは、人類…