第一書房における大正十四年の堀口内大学『月下の一群』の刊行、及び厚生閣の春山行夫による昭和三年の『詩と詩論』創刊は、日本の近代詩に多大な影響を及ぼし、多くの詩のリトルマガジンやエスプリ・ヌーヴォーに基づく詩を誕生させていった。 それは拙稿「シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店」(『ヨーロッパ本と書店の物語』所収)で見たように、同時代のフランスにおいても、『月下の一群』で二十二編の詩が翻訳されているポール・フォールを中心とする新たな詩運動が始まっていた。そしてシェイクスピア・アンド・カンパニイ書店をトポスとして、新たな欧米のリトルマガジンが常備され、フランス人だけでなく、アメリカ人の作家たちも…