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ライト・ヴァース

(読書)
らいとう゛ぁーす

(英)light verse ライトバースの表記ゆれ有。1930年代、従来の古典的なヴァース(韻文)のような文学性よりも、パロディやナンセンスなどを生かした娯楽的で軽妙な形式の詩をW・H・オーデンがライトバースと定義した。

日本では、1970年代後半から現代詩の専門雑誌で特集を組まれるようになり、1980年代始めに書肆山田が「日本のライト・ヴァース」全4巻と「世界のライト・ヴァース」全5巻のシリーズを出版し、言葉が定着した。主なライトヴァース詩人に松下育男、高階杞一など。

また、短歌では、1985年に岡井隆が提唱したことを嚆矢とし、仙波龍英、林あまり、中山明などが、バブル景気の豊かな消費社会を軽やかで饒舌に詠んだ口語定型の短歌はライトヴァース短歌と呼ばれた。更に1987年刊の俵万智「サラダ記念日」と加藤治郎「サニー・サイド・アップ」は、ライトバース隆盛を大いに推進した。ブーム円熟期には次第に、重い内容を小粋なタッチで詠う手法としてより多くの歌人に取り入れられた。口語文体による短歌は1991年以降、ニューウェイブ短歌に受け継がれた。

夕照はしづかに展くこの谷のPARCO三基を墓標となすまで(仙波龍英)
ひら仮名は凄まじきかなはははははははははははは母死んだ(仙波龍英)
思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ(俵万智)
「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの(俵万智)
白菜が赤帯しめて店先にうっふんうっふん肩を並べる(俵万智)
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ(俵万智)
落ちてきた雨を見上げてそのままの形でふいに、唇が欲し(俵万智)
チューリップの花咲くような明るさであなた私を拉致せよ二月(俵万智)
早春のアンビバレンス日記にはただ〈∞(無限大)〉の記号をしるす(俵万智)
ぼくのサングラスの上で樹や雲が動いてるって うん、いい夏だ(加藤治郎)
荷車に春のたまねぎ弾みつつ アメリカを見たいって感じの目だね(加藤治郎)
バック・シートに眠ってていい 市街路を海賊船のように走るさ(加藤治郎)
もうゆりの花びんをもとにもどしてるあんな表情を見せたくせに(加藤治郎)
海の辺の電話ボックスにて君はうつくしかりし夕映えを言ふ(喜多昭夫)
オレンヂを積む船に手を振りながらさびしく海を信じてゐたり(喜多昭夫)

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